概要

フラワーポット シリーズは、デンマークのヴァーナー・パントンが1968年に発表した照明器具の一群である。向かい合う二つの半球でランプ本体を構成するという単純な原理を全モデルが共有し、ペンダント、テーブルランプ、ポータブルランプへと形式を広げている。

現在はデンマークのアンドトラディション(&Tradition)がライセンス生産を行っており、サイズと色の展開を含めて複数のモデルが並行して生産されている。

共通する設計原理

本体は大小二つの半球で構成される。上側の大きい半球が光源を収め、下側の半球はその半分の直径で、開口を上に向けて向かい合う。下側の半球は外から見えない金属のフレームで支持され、支持材が輪郭に現れない。

この配置により、光源は下方から直接見えない位置に隠れる。半球の内面は白く塗装されて反射面として働き、光は上側の半球の内側で反射してから間接的に下へ届く。二つの半球の直径比が2対1に定められているのは、この反射の経路と輪郭のまとまりの双方に関わる。

形状が単純であるため、色の展開が製品の性格を大きく左右する。塗装仕上げのほか、金属の素地を生かした仕上げも用意されている。

成立と展開の経緯

フラワーポットが発表された1968年は、パリやローマ、アメリカで学生運動が起こり、既存の価値観に対する異議申し立てが広がった年にあたる。パントンはデンマークの家具デザインが無垢材と職人技を軸としていた時期に、プラスチックや鮮やかな色彩を積極的に用いた設計者であり、この照明もその流れに位置づけられる。

最初に発表されたのはペンダント形式のVP1である。以後、より大径のVP2とVP7、テーブルランプのVP3とVP4、充電式のVP9などが加わり、器具の形式とサイズの選択肢が広がった。半球二枚という基本構成は、いずれのモデルでも変更されていない。

メンバー一覧

発表年 区分 製品名 位置づけ
1968年 ペンダントライト [interior slug="flowerpot-vp1-verner-panton"] シリーズの起点となったペンダント形式。
1968年 テーブルランプ [interior slug="flowerpot-vp3-table-lamp-verner-panton"] 同じ半球構成をテーブルランプに展開したモデル。

このほか、大径のペンダントVP2とVP7、アーム付きテーブルランプVP4、充電式のポータブルランプVP9などが生産されている。

評価と影響

フラワーポットは、光源を隠して間接光を得るという照明設計上の課題に対し、幾何学的に単純な形で解を与えた例として参照される。同時期のデンマークにおける照明設計が、シェードの断面形状を精緻に詰める方向へ進んでいたことと比べると、対照的な解法にあたる。

1960年代末の色彩と造形を代表する製品として扱われることが多く、色の選択が空間の印象を決めるという性格から、現在も定期的に新色が追加されている。

基本情報

シリーズ名 フラワーポット シリーズ(Flowerpot Series)
種別 共通の設計言語による製品群
デザイナー ヴァーナー・パントン
ブランド アンドトラディション(ライセンス生産)
発表年 1968年
共通構造 向かい合う二つの半球。直径比は2対1
配光 下側の半球で光源を隠し、内面の反射による間接光

Reference

このシリーズの製品