概要
USMハラーは、スイスの建築家フリッツ・ハラーとUSM社のパウル・シェアラーの協働によって1963年に生まれたモジュール式の家具システムである。クロームメッキの真鍮製ボールコネクター、スチールチューブ、粉体塗装のスチールパネルという三つの要素で構成され、組み替えと拡張ができる。製造はスイス・ミュンジンゲンの工場で行われている。
特徴・コンセプト
ボールコネクターという接合
フレームを構成するのは、クロームメッキを施したスチールチューブと、それを接合する球状の真鍮製コネクターである。球であるため、どの方向からもチューブを接続できる。特定の向きに限定された継手であれば、拡張できる方向もそこで決まってしまう。接合点を球にすることで、上下・左右・前後のいずれにも伸ばせる構造になっている。この方式は誕生以来変わっていない。
建築の構造から来た発想
ハラーは、鉄骨によるモジュラー建築を手がけていた建築家である。柱と梁を規格化された部材で組み、必要に応じて増築できるという建築の考え方を、家具の寸法に置き換えたのがこのシステムにあたる。収納家具というより、空間を構成する要素として組み立てられる。
組み替えられること
一度組んだ家具を分解し、別の構成で組み直せる。引越しや用途の変更があっても、同じ部品を使い続けられる。小さなサイドボードから始め、部品を足して壁一面の収納へ拡張することもできる。パネルの代わりにガラスパネルを選べば展示用の家具になり、扉、引き出し、棚板、仕切り板を組み合わせて構成を決められる。
規格が長期にわたり維持されているため、初期の部品と近年の製品を組み合わせて使うことができる。修理や部品の追加にも対応する体制がとられている。
色の展開
パネルはスチール製で、粉体塗装による表面処理が施される。標準色は、ニュートラルな色から彩度の高い色まで幅がある。オフィス向けには、音響に配慮したパネルも用意されている。
エピソード
USMハラーは当初、USM社自身の社屋のために開発されたものである。建築の設計を担当したハラーが、そこに置く家具も同じ原理で組み立てられるよう設計した。ボールコネクターの特許は1965年に取得されている。
評価と影響
必要な部分だけを交換・再構成できる性質は、製品を長く使い続けることを可能にする。2007年にはグリーンガード認証を取得しており、ヨーロッパの家具製品として初めてこの基準を満たしたとされる。オフィスから住宅まで、幅広い場所で用いられている。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、クロームメッキスチールによるハラー・システムを収蔵番号1411.2001で登録している(2001年、製造元からの寄贈。制作年1963年、寸法は構成により可変)。
USMの歴史や他の製品について詳しくはUSMブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | USMハラー モジュールファニチャー / USM Haller |
|---|---|
| デザイナー | フリッツ・ハラー、パウル・シェアラー |
| ブランド | USM |
| 発表年 | 1963年(ボールコネクターの特許は1965年) |
| デザインの成立国 | スイス |
| 分類 | モジュール式収納家具 |
| 主要素材 | フレーム:クロームメッキスチールチューブ/コネクター:クロームメッキ真鍮/パネル:粉体塗装スチール |
| 構造 | ボールコネクターにより三次元方向へ拡張可能。分解・再構成ができる |
| 製造 | スイス・ミュンジンゲン |
| 認証 | グリーンガード認証(2007年) |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(1411.2001) |
Reference
- Haller System | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/82156