USM(USMハラー)
USMは、1885年にスイスのミュンジンゲンで創業された、140年近い歴史を誇るファミリーカンパニーです。錠前業と金属加工からその歩みを始めたUSMは、1965年に誕生した「USMハラーシステム」により、モジュラー家具の最高峰として世界的な名声を確立いたしました。建築家フリッツ・ハラーとUSM三代目経営者ポール・シェアラーによって開発されたこの革新的なシステムは、チューブ、ボール、パネルという3つの基本要素から構成され、無限の拡張性と柔軟性を実現しています。
メイド・イン・スイスの精密な品質と、時代を超越するタイムレスなデザインを兼ね備えたUSMハラーは、2001年にニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに選定され、モダンデザインの象徴的存在として認められました。オフィスや公共施設から住宅空間まで、あらゆる環境に適応し、世代を超えて使い続けることができる持続可能な家具として、世界中で高い評価を得ています。
ブランドの特徴とコンセプト
建築から生まれたモジュラーシステム
USMハラーの最大の特徴は、建築の構造原理から発展したモジュラーシステムにあります。フリッツ・ハラーが考案したフレキシブルな建築システムを家具設計に応用し、必要に応じて拡張や縮小、組み替えが可能な革新的な構造を実現しました。この独創的なボールジョイント接合システムは、1965年に特許を取得し、以来60年以上にわたって基本デザインを変えることなく、時代を超えて愛され続けています。
普遍的な美しさと機能性の融合
シンプルかつ洗練されたデザインは、いかなる時代にも色褪せることのない普遍的な美しさを備えています。クロームメッキのスチールチューブと真鍮製のボールコネクターで構成されるフレームは、構造的な美しさと卓越した耐久性を両立させています。14色の豊富なカラーパリエーションを持つパネルは、空間のイメージに合わせて自由に選択でき、単色でシンプルに、あるいは複数色を組み合わせてオリジナルのデザインを創造することが可能です。
サステナビリティの体現
USMの製品哲学は、「Rethink(再考)」「Redesign(再設計)」「Revalue(再価値化)」という3つのRに集約されます。一度組み立てた家具を分解し、引越し先や新しい環境で再構築できる構造は、ライフスタイルの変化に柔軟に対応し、世代を超えて価値を保ち続けます。50年前に製造されたパーツが現行製品と完全に互換性を持つという設計思想は、真のサステナビリティを実現しています。高品質の素材と熟練した職人による精密な製造により、何十年にもわたって使用できる耐久性を誇り、2007年にはヨーロッパ製品として初めてグリーンガード認証を取得しました。
ブランドヒストリー
創業から発展へ(1885-1960年代)
USMの歴史は、1885年にウルリッヒ・シェアラーがスイスの首都ベルン近郊の町ミュンジンゲンで、金属加工および錠前業の会社を設立したことに始まります。社名の「USM」は、創業者ウルリッヒ・シェアラー(Ulrich Schärer)のイニシャルと、創業の地ミュンジンゲン(Münsingen)の頭文字を組み合わせたものです。20世紀初頭には窓用金具の製造を開始し、その後、建築用装飾蝶番や精密板金加工へと事業を拡大していきました。第二次世界大戦後の経済成長期には、金属加工と金属薄板加工の技術を活かし、着実に発展を遂げます。
革新の時代(1961-1969年)
1961年、創業者の孫にあたるポール・シェアラーがUSMに入社し、シェアラー家の3世代目として経営を担うことになります。チューリッヒのスイス連邦工科大学で工学を学んだポールは、建築やデザインの分野に深い関心を持ち、ミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエといった近代建築の巨匠を敬愛していました。彼は自社工場を時代に即したフレキシブルで近代的なパビリオンとして生まれ変わらせる構想を抱き、スイス人建築家フリッツ・ハラーに新工場とオフィスの設計を依頼しました。
ハラーは、必要に応じて建物の広さを拡大・縮小できるフレキシブルなモジュラー構造の建築システムを設計しました。この革新的な建築に感銘を受けたポールは、1962年、ハラーと協働してUSMのオフィス用に家具システムの開発に着手します。建築の構造をそのまま家具の設計に落とし込んだモジュラー式の家具が誕生し、特徴的なボール状のコネクターを使用するこのシステムは「USMハラー」と名付けられ、1965年に特許を取得しました。
当初は自社オフィスでの使用のみを予定していましたが、その汎用性、耐久性、デザイン性の革新性はすぐに注目を集めました。1969年、フランス・パリにあるロスチャイルド銀行から600台のワークステーションの大量注文を受けたことをきっかけに、USMハラーの商業生産と販売が本格的に開始され、瞬く間に世界中のオフィスで採用されるようになりました。
世界的認知と発展(1970年代-現在)
1969年にはポールの自邸も完成しました。ハラーが設計したこの住宅は、鉄骨とガラスによるモダニズム建築として、半世紀を経た現在も当時の姿のまま残されています。その後、USMハラーは世界各国の先進企業や公共施設で採用され、オフィス家具のスタンダードとしての地位を確立していきます。
1992年、フリッツ・ハラーはドルトムント大学工学部の名誉博士号を取得しました。2001年には、USMハラーシステムがニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに選定され、モダンデザインと芸術の象徴的存在として歴史に名を刻みました。同時期にクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館のコレクションにも加えられています。
2007年には環境に配慮したものづくりが評価され、ヨーロッパ製品として初めてグリーンガード認証を取得しました。2008年には日本に初の完全子会社を設立し、翌2009年には東京・丸の内にシグナチャーショールームを開設しました。現在、USMの流通網は北海道から九州まで日本全国に広がり、世界40か国以上に輸出され、410を超える認定代理店とのパートナーシップによって支えられています。
現在は4代目が経営を担う家族経営の会社として、創業当時から変わらずミュンジンゲンに本社工場を構え、メイド・イン・スイスの品質を守り続けています。2025年にはUSMハラーシステム誕生60周年を迎え、タイムレスなデザインと持続可能性の象徴として、ますます高い評価を得ています。
主要プロダクトと特徴
USMハラーシステム
USMを代表するモジュラー家具システムで、1965年の誕生以来、基本デザインを変えることなく進化を続けています。クロームメッキのスチールチューブ、真鍮製のボールコネクター、メタルパネルという3つの基本要素から構成され、これらを組み合わせることで無限に近いカスタマイズが可能です。サイドボード、テレビボード、ワゴン、デスクユニット、ワードローブ、壁面収納など、あらゆる用途に対応できる柔軟性を持ちます。
14色のカラーバリエーション(ピュアホワイト、グラファイトブラック、パールグレー、ベージュ、各種ビビッドカラーなど)を提供し、単色でシンプルに統一することも、複数色を組み合わせてオリジナルのデザインを創造することも可能です。ドロップダウンドア、引き出し、ガラスパネル、各種仕切りやボックスなど、豊富なアクセサリーパーツを組み合わせることで、個々のニーズに完璧に応えることができます。
特筆すべきは、1995年の阪神淡路大震災を受けて日本市場向けに開発されたラッチ機能です。強い揺れが来た場合に扉パネルが開かないよう再設計されたこのシステムは、現在では世界中のUSM製品に採用され、安全性の向上に貢献しています。
USMハラーテーブル
上品な印象ながらも頑丈な構造で耐久性に優れたテーブルシステムです。最小750mm×750mmから最大3000mm×1000mmまでの天板サイズと、370mm、700mm、740mmの3種類の高さを選択でき、ダイニングテーブル、ワークデスク、ミーティングテーブルなど、あらゆる用途に対応します。すっきりとしたラインとエレガントなデザインは、洗練されたオフィス空間からカジュアルなインダストリアル空間まで、幅広い環境に調和します。
USMハラーE
USMハラーのフレーム内部に照明とUSBポートを組み込んだ革新的な照明システムです。ワイヤレスで高いエネルギー効率を実現しながら、美しい照明シーンを演出します。現代のテクノロジーニーズに対応しながら、USMハラーの美しいデザインを損なうことなく機能を拡張しています。
ワールド・オブ・プランツ
USMハラーに植物を組み込むことができる専用システムです。スチール家具の冷たい印象を緩和し、室内環境と職場環境を改善する豊かな緑の風景を空間にもたらします。リビングとダイニングの間仕切りなど、抜け感を保ちながら適度に視線を遮ることができるユニットに最適です。
USMキトス
高さ調節システムを備えたテーブルで、手動操作により700~1200mmの間で希望の高さに設定できます。特許を取得したこのメカニズムは非常に堅牢で耐久性があり、個人用デスクからグループワークステーション、ミーティングテーブルまで幅広く使用できます。
デザイナー:フリッツ・ハラー
フリッツ・ハラー(Fritz Haller、1924-2012)は、スイスを代表する建築家であり、USMハラーシステムの生みの親です。スイス・ゾロトゥルンに建築家ブルーノ・ハラーの息子として生まれ、オランダの著名な建築家ヘリット・トーマス・リートフェルトの下で建築を学びました。
ハラーは、必要に応じて建物の広さを拡大・縮小できるフレキシブルなモジュラー構造の建築システムを考案し、高効率かつ柔軟性の高い建築原理で知られるようになりました。1961年にUSMから工場設計を依頼された際、この建築原理を用いた革新的な工場を完成させ、これに感銘を受けたポール・シェアラーの依頼により、1962年から家具システムの開発に着手しました。
1963年、ポール・シェアラーとの協働により、画期的なモジュラーファニチャーシステム「USMハラーシステム」を共同開発し、大きな成功を収めました。その後、南カリフォルニア大学やカールスルーエ大学の教授、産業建設研究所長に就任するなど活躍の幅を広げながら、自らのスタジオで精力的にデザイン活動を継続しました。1992年にはドルトムント大学工学部の名誉博士号を取得し、2001年にはニューヨーク近代美術館の永久コレクションに加えられ、歴史に名を刻みました。
ハラーの建築とデザインに対する哲学は、機能性と美しさの完璧な融合にありました。「形態は機能に従う」という近代建築の原則を体現しながら、同時にタイムレスな美しさを追求し、半世紀以上にわたって愛され続ける製品を生み出しました。2012年に逝去しましたが、彼が生み出したUSMハラーシステムは、今なお進化を続けながら世界中で使用され続けています。
基本情報
| ブランド名 | USM(ユーエスエム)/ USMハラー(USM Haller) |
|---|---|
| 創業 | 1885年 |
| 創業者 | ウルリッヒ・シェアラー(Ulrich Schärer) |
| USMハラー開発 | 1963年(1965年特許取得) |
| 開発者 | フリッツ・ハラー(Fritz Haller)、ポール・シェアラー(Paul Schärer) |
| 本社所在地 | スイス・ベルン近郊ミュンジンゲン(Münsingen) |
| 日本法人設立 | 2008年 |
| 日本ショールーム | 東京都千代田区丸の内2-1-1 丸の内MY PLAZA 1・2F(2009年開設) |
| 主な受賞・認定 |
ニューヨーク近代美術館(MoMA)永久コレクション(2001年) クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館コレクション グリーンガード認証(2007年、ヨーロッパ製品初) |
| 公式サイト | https://www.usm.com/ja-jp/ |