概要
フリッツ・ハラー(1924-2012)は、スイスの建築家である。鋼の骨組みを規格化し、部材を組み合わせて建物をつくる建築システムを開発した。1963年、USMの工場のためにこの考え方を家具に適用し、球状の継手と管を組み合わせる収納システムを設計している。建築の側では3種の工法体系を残した。
バイオグラフィー
1924年10月23日、スイスのゾロトゥルンに生まれた。製図工の訓練を受けたのち、オランダとスイスで実務を経験している。建築の学位は持たない。
1949年、父の事務所を継いでゾロトゥルンで設計を始めた。1950年代から鋼の骨組みによる建築を手がけている。
1961年から1965年にかけて、USMの工場と事務所の建物を設計した。1963年、その事務所で使う家具として収納システムを設計している。
1966年から1971年にかけて、MINI・MIDI・MAXIと呼ばれる3種の建築の工法体系を開発した。1977年から1990年までカールスルーエ大学で教えている。2012年10月15日に没した。
デザインの思想と方法
ハラーが扱ったのは、建物を規格化した部材の組み合わせでつくるという問題である。部材の種類を限り、接合の方法を統一すれば、多様な建物を同じ体系で建てられる。この考え方を家具に適用したのが収納システムにあたる。
継手を一種類にする
収納システムは、球状の継手に6方向から管を差し込む構成をとる。継手はすべて同じもので、差し込む管の数と方向で骨組みの形が決まる。部材の種類を増やさずに構成の幅を得る方法である。
骨組みと面を分ける
管と継手で骨組みをつくり、そこに金属板の面を取り付ける。面は扉、引き出し、棚板、背板のいずれにもなる。骨組みが構造を、面が仕切りを担うという役割の分担がある。
後から組み替えられるようにする
継手と管は繰り返し着脱できる。設置後に段を足す、幅を広げる、扉を引き出しに替えるといった変更が可能で、部材は再利用される。事務所の配置が変わっても家具を捨てずに済む。
建築の体系を家具に移す
MINI・MIDI・MAXIの建築システムは、規模と用途に応じて部材の寸法を変えた3つの体系である。規格化した部材で多様な建物をつくるという考え方が、収納システムにも通じている。
USMハラーの歴史や他の製品について詳しくはUSMハラー ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
USM ハラー システム(1963年)
球状の継手に6方向から管を差し込む収納システムである。継手はすべて同じもので、差し込む管の数と方向で骨組みの形が決まる。金属板の面が扉、引き出し、棚板、背板のいずれにもなる。当初はUSMの事務所のために設計された。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号1411.2001)。→USMハラー モジュールファニチャー
USM ハラー テーブル
同じ継手と管で脚部を構成し、天板を載せた卓である。収納と同じ部材で作られ、並べたときに寸法が揃う。→USM Hallerテーブル/デスク
USM 工場・事務所(1961-65年、ミュンジンゲン)
鋼の骨組みによる建物である。収納システムは、この事務所で使う家具として設計された。建物と家具が同じ考え方で構成されている。
MINI・MIDI・MAXI(1966-71年)
規模と用途に応じて部材の寸法を変えた3つの建築の工法体系である。MINIは小規模、MIDIは中規模、MAXIは大規模の建物を対象とする。規格化した部材で多様な建物をつくるという方針による。
教育(1977-1990年)
カールスルーエ大学で建築の設計を教えた。都市の構造を論じる著作も残している。
評価と影響
ハラーは一般に、規格化した部材の組み合わせで建物をつくる体系を開発した建築家と評価されている。家具の設計は、その考え方を別の規模に適用したものにあたる。
USMハラーの収納システムは1963年の設計で、現在も同じ構成で生産が続いている。継手と管が繰り返し着脱できるため、設置後の変更にも対応する。
建築の学位を持たず、製図工の訓練から実務に入った経歴も特徴として挙げられる。1977年から1990年までカールスルーエ大学で教えた。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。
- MoMA ハラー システム(1963年) 収蔵番号 1411.2001
V&A、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。スイス国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1961-65年 | 建築 | USM 工場・事務所 | ミュンジンゲン、スイス |
| 1963年 | 収納 | USMハラー モジュールファニチャー | USM |
| 1963年〜 | テーブル | USM Hallerテーブル/デスク | USM |
| 1966-71年 | 建築システム | MINI・MIDI・MAXI | スイス |
| 1977-1990年 | 教育 | カールスルーエ大学 教授 | カールスルーエ、ドイツ |
| 1950-2000年代 | 建築 | 学校・工場・公共建築 | スイス各地 |
プロフィール
| 生没年 | 1924年10月23日〜2012年10月15日 |
|---|---|
| 出身地 | スイス・ゾロトゥルン |
| 国籍 | スイス |
| 活動拠点 | ゾロトゥルン |
| 分野 | 建築、家具 |
| 主な協働ブランド | USM |
Reference
- USM
- https://www.usm.com/
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- gta Archiv, ETH Zürich
- https://gta.arch.ethz.ch/archiv