装飾の否定と機能への還元を掲げたモダニズムに対し、歴史的な様式の引用や装飾、複数の意味の重ね合わせを認める立場を指す語。
ポストモダン
ポストモダンとは、装飾の否定と機能への還元を掲げたモダニズムに対し、歴史的な様式の引用や装飾、複数の意味の重ね合わせを認める立場を指す語のこと。英語では Postmodern、Post-Modernism と呼ぶ。
解説
建築の議論から始まった。1966年、ロバート・ヴェンチューリがニューヨーク近代美術館から『建築の多様性と対立性』を刊行し、純粋さと制限を求める当時の主流に対して、複雑さと矛盾を抱えたままの建築を擁護した。この本は後にポストモダンの出発点とされる。語そのものを建築の運動として定義したのは、1977年にチャールズ・ジェンクスが刊行した『ポスト・モダニズムの建築言語』で、ここでモダニズムの終わりが宣言された。
家具や工業製品にこの立場が及んだのは1970年代末から80年代である。造形上の特徴として挙げられるのは、幾何形の意図的な誤用、素材の階層を崩す扱い、そして機能から導けない色と柄の導入である。フィリップ・スタルクのコステスチェアは、三本脚という構成の理由を機能ではなく給仕の動線という物語に置いた例にあたる。メンフィスは、この立場をもっとも直接に製品化した集団として知られる。
基本情報
| 英語表記 | Postmodern / Post-Modernism |
|---|---|
| 指す時期 | 建築では1960年代後半以降、家具では主に1970年代末-1980年代 |
| 主な文献 | ヴェンチューリ『建築の多様性と対立性』(1966)、ジェンクス『ポスト・モダニズムの建築言語』(1977) |
語として使うときの注意
この語は、時期を示す用法と立場を示す用法が混ざりやすい。1980年代に作られたというだけの理由でポストモダンと呼ぶことはできず、逆に80年代を過ぎてもこの立場を採る仕事はある。また、哲学や文学で用いられるポストモダンとは議論の系譜が別であり、建築・デザインの文脈での用法は、まずモダニズムに対する立場の名として読むほうが誤解が少ない。
Reference
- Complexity and Contradiction in Architecture(Wikipedia)
- https://en.wikipedia.org/wiki/Complexity_and_Contradiction_in_Architecture
- Charles Jencks and the historiography of Post-Modernism(The Journal of Architecture)
- https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13602360902867434
- Post-Modern Classicism - The Ironic International Style(The Cosmic House)
- https://www.thecosmichouse.org/explore/text/post-modern-classicism-the-ironic-international-style