概要

ビバリーは、エットレ・ソットサスが1981年に設計したサイドボードである。メンフィス・ミラノの最初のコレクションで発表された。木材を基調に、プラスチックラミネートと天然の瘤杢(ブライヤー)を組み合わせる。二枚扉の収納部と、傾斜した上部の棚板を備える。

特徴・コンセプト

本体には斜めの支柱が配される。垂直の支柱なら本体の矩形と平行になり、面の区切りとして働くだけになる。斜めに置けば、左右の面が非対称に分かれる。この支柱を境に、素材と仕上げが切り替わる。

二つの支柱

斜めの支柱には天然の瘤杢が、その右側の支柱にはクロームメッキが用いられる。瘤杢は高級家具に用いられてきた材で、クロームは工業製品の仕上げにあたる。異なる時代の素材を一つの家具に並べることで、様式の違いが対比として現れる。

用途を持たない部材

クロームの支柱には、赤い電球が取り付けられる。照明としての機能を担うわけではなく、家具の要素としては用途を持たない。すべての部材が機能に対応するという前提から外れる箇所にあたる。

ラミネートの扱い

プラスチックラミネートは、木目や石目を印刷した表面材である。素材そのものの性質を見せるというモダニズムの方向に対し、表面の模様が中身と対応しない材にあたる。メンフィスはこの材を積極的に用いた。

エピソード

1981年9月、ミラノでメンフィス・グループが最初のコレクションを発表した。

ビバリーは、この展覧会において中核を成す作品の一つと位置づけられ、カールトンやカサブランカとともにデザイン界に波紋を広げた。もっとも、当時のメンフィスの作品群には批判的な評価も少なくなく、装飾的にすぎるという声も上がった。

ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドは、モンテカルロの住まいをメンフィス家具で満たしたことで知られる。音楽家デヴィッド・ボウイもまたメンフィス作品の熱心な収集家であり、2016年11月にサザビーズで行われた「Bowie/Collector」のメンフィス作品の回では、落札総額が約138万7,000ポンドに達した。

評価と影響

メンフィスは1981年に活動を始め、装飾と色彩を家具に持ち込んだ。素材の性質から形を導く方向とは逆に、表面の模様や部材の配置を先に決める進め方をとる。

2022年にはミラノ・トリエンナーレで「Memphis Again」展が開催され、1981年から1986年にかけて設計・製造された作品が展示された。4館の公開データでは、ビバリーの収蔵は確認できていない。

基本情報

名称 ビバリー(Beverly)
デザイナー エットレ・ソットサス(Ettore Sottsass)
発表年 1981年
ブランド メンフィス・ミラノ(Memphis Milano)
種類 サイドボード
素材 木材、装飾的プラスチックラミネート、天然瘤杢(ブライヤー)、クロームメッキ金属
寸法 幅175cm × 奥行48cm × 高さ228cm
製造 イタリア製、ハンドメイド
付属 真正性証明書、保証スタンプ