Memphis Milano(メンフィス・ミラノ)
Memphis Milanoは、1981年にミラノで結成された設計者の集団と、その製品を製造・販売する事業体である。Ettore Sottsassの呼びかけで各国の設計者が集まり、機能と趣味の良さを判断の基準としない家具や照明を発表した。製造は指物師Renzo Brugolaが担い、Artemideの経営者Ernesto Gismondiが会長として事業の枠組みと資金を用意した。設計者による制作は1988年までで、現在も当時の設計にもとづく製品が生産されている。
事業と製造の実体
Memphisの製造は、指物師Renzo Brugolaの工房が担った。BrugolaはSottsassの旧知の協力者で、設立時の中心人物の一人にあたる。少量で複雑な形状の製品を、設計者と直接やり取りしながら製作する体制が採られた。
用いられた素材の選び方に、この集団の性格が表れている。プラスチック積層板は当時、台所や事務什器の表面材として使われる安価な材料だったが、Memphisはこれを模様入りで家具の全面に用いた。カールトン・ルームディバイダーは積層板で覆った棚板を斜めに組む構成で、木目や単色の仕上げを前提とした当時の家具の常識から外れる。Shiro Kuramataは色ガラスを混ぜたテラゾーを卓に用い、Javier Mariscalは積層板を盆に転用した。
事業の枠組みはErnesto Gismondiが用意した。Artemideの経営者として製造と流通の実務を知る立場から、Memphisの会長を引き受け、製品化と販売の体制を組んでいる。展示と販売の場は、Mario & Brunella Godaniが運営していたミラノの画廊Arc '74が提供した。
沿革
結成
1980年12月、Ettore Sottsassの自宅に若い設計者が集まり、新しい集団を作ることが決められた。名称は、その場で繰り返し流れていたBob Dylanの楽曲に含まれる語から採られている。この集まりに加わったのは、Martine Bedin、Aldo Cibic、Michele De Lucchi、Nathalie Du Pasquier、Matteo Thun、George J. Sowdenらだった。
1981年9月19日、ミラノの家具見本市に合わせて、画廊Arc '74で最初の展示が行われた。家具、照明、陶器を含む55点が並べられている。この展示は各国の雑誌で取り上げられ、集団の名は短期間で国外へ広がった。
参加者の広がりと終息
その後、Andrea Branzi、倉俣史朗、Marco Zanini、Peter Shire、Gerard Taylor、梅田正徳、Michael Graves、Hans Hollein、磯崎新、Javier Mariscalらが加わった。参加者の出身は欧州、米国、日本にわたり、単一の様式ではなく、各人の造形をそのまま並べる構成が採られている。
Sottsassは1985年にMemphisを離れた。強い主張は長続きせず、それ以上展開できないというのがその理由として伝えられている。設計者による新規の制作は1988年まで続いた。
現在
現在、Memphis Milanoの商標はAlberto Bianchi Albriciが管理し、1981年から1988年までに設計された製品の生産が続けられている。
デザイナーとの協働
Memphisは、企業が外部の設計者へ委嘱する通常の関係とは異なり、設計者自身が集まって製品を作り、それを製造・販売する体制を組んだ点に特徴がある。設計の方向を統一する主体を置かず、参加者それぞれの案をそのまま製品にする方針が採られた。
設立に関わったのはEttore Sottsass、Martine Bedin、Aldo Cibic、Michele De Lucchi、Nathalie Du Pasquier、Matteo Thun、George J. Sowdenらで、製造をRenzo Brugola、事業の運営をErnesto Gismondiが担った。その後、倉俣史朗、梅田正徳、磯崎新ら日本の設計者や、Michael Graves、Hans Holleinら建築家が加わっている。
Ettore Sottsassの設計思想や経歴について詳しくはEttore Sottsassプロフィールページをご覧ください。
Michele De Lucchiの設計思想や経歴について詳しくはMichele De Lucchiプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
Ettore Sottsassの設計では、1981年のカールトン・ルームディバイダーとカサブランカがある。いずれも棚板を斜めに組み、全面を模様入りの積層板で覆う構成を採る。ビバリーも同じ年の製品にあたる。
Michele De Lucchiのファースト・チェアは、円板と球を金属の枠に取り付けた構成の椅子である。梅田正徳のタヒチ ランプは、家具の輪郭に動物や器物を思わせる形を持ち込んだ製品にあたる。
基本情報
| ブランド名 | Memphis Milano(メンフィス・ミラノ) |
|---|---|
| 結成 | 1981年(1980年12月の会合を経て) |
| 中心人物 | Ettore Sottsass(設計)、Renzo Brugola(製造)、Ernesto Gismondi(会長) |
| 拠点 | イタリア・ミラノ |
| 設計者による制作期間 | 1981年〜1988年 |
| 事業内容 | 家具・照明・生活用品の製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.memphis-milano.com |
Reference
- Memphis Milano - History
- https://memphis.it/en/history/
- Memphis Milano - Ettore Sottsass
- https://www.memphis-milano.com/ettore-sottsass/
- Design Museum - Memphis
- https://designmuseum.org/memphis
- Casati Gallery - Memphis Group
- https://www.casatigallery.com/makers/memphis/