グレーテ・ヤルク:デンマークモダニズムの先駆的女性デザイナー
グレーテ・ヤルク(Grete Jalk, 1920-2006)は、20世紀中盤のデンマーク家具デザイン界において、卓越した創造性と技術革新により国際的評価を確立した女性デザイナーである。女性デザイナーが極めて稀少であった時代に、彼女は清潔で快適なライン、経済性と品質の両立、そして成形合板における革新的実験により、デンマーク家具の世界的名声を高めることに多大な貢献を果たした。代表作である1963年のGJボウチェアは、戦後デザイン革新の傑出した事例として、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに収蔵され、今日なお賞賛を集めている。
生涯と教育:機能主義からの進化
グレーテ・ユール・ヤルクは、1920年6月18日、デンマークの首都コペンハーゲンに生まれた。高等学校では現代言語と哲学を専攻し、当初は法学と哲学の研究を志したが、途中でこれを断念し、デザインの道へと進路を変更した。この決断が、デンマークデザイン史における重要な転換点となった。
1940年から1943年にかけて、ヤルクはコペンハーゲンの女性向けデザイン学校(Drawing and Applied Art School for Women)で学び、家具職人カレン・マルグレーテ・コンラッドセン(Karen Margrethe Conradsen)の指導のもと、家具製作の基礎技術を習得した。その後、デンマーク王立美術アカデミーの家具学部に進学し、「デンマークデザインの父」と称されるカーレ・クリント(Kaare Klint)から直接指導を受けた。クリントの下で、彼女は歴史的家具形態の再構築、人間工学、そして伝統的工芸技術と合理的デザイン原則の統合を学んだ。
1946年、ヤルクはデンマーク王立美術アカデミーを卒業し、同年、コペンハーゲン家具職人ギルド競技会で一等賞を獲得した。この早期の成功は、彼女の才能が広く認められる契機となった。1950年から1960年まで、彼女は母校であるデンマーク王立美術アカデミーで教鞭を執り、次世代のデザイナーたちに影響を与えた。
1951年、ヤルクは第9回ミラノ・トリエンナーレに参加し、彼女のデザインは国際的な賞賛を獲得した。この成功に後押しされ、1953年、彼女は自身のデザインスタジオを開設した。この時期から、ポール・イェペセン(Poul Jeppesen)、フリッツ・ハンセン(Fritz Hansen)、グロストロップ・メーベルファブリック(Glostrup Møbelfabrik)、フランス&サン(France & Søn)といった著名なデンマーク家具メーカーとの協働が始まった。
デザイン哲学:経済性、機能性、そして社会的進歩
グレーテ・ヤルクのデザイン哲学の核心は、経済性と高品質の両立にあった。彼女は、素材の使用を最小限に抑えながらも、優れた品質を維持する家具を創造することを目指した。この哲学は、効率的な大量生産を可能にし、デンマーク家具の国際的競争力を高めることに貢献した。
ヤルクのもう一つの重要な信念は、デザインが社会的および技術的進歩を受け入れるべきというものであった。1947年、彼女は独身の職業女性のための「自立した女性の書斎」をデザインした。これは、ソファベッド、収納スペース、デスクを一体化した革新的な家具セットで、戦後の女性の社会進出という時代の変化に対応したものであった。
1963年には、「ウォッチ・アンド・リスン・ユニット」を発表した。これは、テレビ、レコードプレーヤー、ステレオシステムを隠すのではなく、展示し保管することを意図した収納システムで、テレビがリビングルームの中心となる新しい生活様式を予見したものであった。彼女の収納ユニット、コーヒーテーブル、キャビネットは、通常、多目的に使用できるよう設計されており、多機能的なリビングルームという現代の要求に応えていた。
アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)の積層曲木家具やチャールズ&レイ・イームズ(Charles and Ray Eames)の成形合板デザインに触発され、ヤルクは新しい素材と生産技術の実験に積極的に取り組んだ。彼女は、素材の特性を深く理解し、それぞれの素材が持つ可能性を最大限に引き出すことに情熱を注いだ。カーレ・クリントから学んだ機能主義的原則を基盤としながらも、彼女は次第にその制約から脱却し、より自由で表現豊かなデザイン言語を確立していった。
作品の特徴:有機的フォルムと素材の革新
グレーテ・ヤルクの作品を特徴づけるのは、流麗で有機的な曲線、清潔で快適なライン、そして素材の革新的使用である。彼女のデザインは、視覚的な優雅さと実用的な快適さを見事に統合している。
成形合板の革新
ヤルクの最も重要な貢献の一つは、成形合板技術における革新である。1955年、彼女は家具製造業者ポール・イェペセンと接触し、丸みを帯びた積層形態のデザインを提示した。しかし、これらの革新的なデザインが実現するまでには7年の歳月を要した。当時の一般消費者にとって、これらのデザインは極めて非伝統的に映ったが、展覧会やコレクターからは高い評価を受けた。
彼女の成形合板作品は、純粋な技術的大胆さと形態実験の卓越した例である。狭い曲率半径を持つ曲木は、当時の生産技術を限界まで追求するものであった。従来のデザイナーたちが、座面と背もたれの有機的性質と構造フレームとの間のシームレスな移行を見出すことに失敗していたのに対し、ヤルクのリボンのような合板片は、優雅に基部へと折り込まれ、わずか2つの部品で椅子を構築することを可能にした。
素材の多様性
ヤルクは幅広い素材を扱う能力を持っていた。主要な素材には以下が含まれる:
- チーク材:温かみのある赤金色の色調と美しい木目が特徴
- ローズウッド:豪華で重厚な雰囲気を醸し出す
- オレゴンパイン:軽快で明るい印象
- オーク:堅牢で耐久性に優れる
- 成形合板(チーク、オレゴンパイン):複雑な曲面の実現
- 管状スチール:モダンで軽量な構造
- 籐(ラタン):自然素材の温もり
- レザー・ビニール:洗練された表面仕上げ
形態的特徴
ヤルクのデザインの形態的特徴として、以下が挙げられる:
- 彫刻的なアームレスト:波打つような曲線が背中の湾曲にフィット
- テーパード(先細り)脚:視覚的軽快さと優雅さ
- 統合的デザイン:座面、背もたれ、フレームの一体化
- 隠された接合部:洗練された仕上がり
- 女性的な曲線:柔らかく包み込むような形状
機能的特徴
ヤルクの家具は美的価値だけでなく、高い機能性も備えていた:
- 多目的性:引き出し式座席付き収納ユニット、収納付きデイベッド、折りたたみ式テーブル
- 効率的生産:迅速かつコスト効率の良い製造に適したデザイン
- 空間節約:コンパクトで現代的な住空間に適応
- 快適性:人間工学に基づいた座り心地
主要代表作品:デザインの傑作
GJボウチェア(GJ Bow Chair / GJ Chair)(1963)
グレーテ・ヤルクの最も有名な作品であり、「戦後デザイン革新の驚異的な事例」と評されるGJボウチェアは、成形合板技術の頂点を示す傑作である。この椅子は、わずか2つの同形の成形合板片で構成され、ほぼ不可能とも思える形態に曲げられている。リボンのような合板が優雅に折り重なり、座面、背もたれ、フレームが一体となった有機的で彫刻的な形態を創出している。
1963年、ヤルクはこのデザインでイギリスの新聞デイリー・メール(Daily Mail)主催の国際家具コンペティションにおいて一等賞を獲得した。同年、この椅子はニューヨーク近代美術館(MoMA)に購入され、以来、永久展示されている。また、メトロポリタン美術館のコレクションにも含まれている。
しかし、その複雑な生産方法ゆえに、大量生産は不可能であった。ヤルクの生涯において、この椅子はわずか約300脚しか製造されず、現存するものは極めて少数である。デザインの革新性にもかかわらず、1960年代後半には合板家具への関心が薄れ、プラスチックの滑らかさが市場を席巻したため、広く普及することはなかった。
2008年、デンマークの家具メーカー、ラング・プロダクション(Lange Production)がGJチェアの独占再生産権を取得した。デンマーク王立美術アカデミー、デンマーク美術デザイン美術館、トラフォルト美術館など、複数のデンマーク文化機関が、形態、機能、仕上げの保持に協力した。現在は、オリジナルの木材種であるチーク材とオレゴンパイン、さらにウォールナットとブラックステインアッシュ材でも生産されている。
モデル118ラウンジチェア(Model 118 Lounge Chair)(1950年代)
1950年代にフランス&サン社のためにデザインされたモデル118ラウンジチェアは、ヤルクの初期の成功作の一つである。チーク材のフレームに美しい木目があり、彫刻的なアームレストと流線型のデザインが特徴である。座面と背もたれにはコイルスプリングが使用され、優れた快適性を提供する。
このデザインは、シンプルさと快適さの理想的なバランスを示しており、緩やかに湾曲したアームレストが座る人を優しく包み込む。現代の復刻版では、クヴァドラット(Kvadrat)社の高品質テキスタイルが使用され、90%新ウールと10%ナイロンの混紡生地「Remix 3」が、美しい奥行きと質感を生み出している。
モデル218イージーチェア(Model 218 Easy Chair)(1960年代)
グロストロップ・メーベルファブリック社のために1960年代にデザインされたモデル218イージーチェアは、ヤルクの成熟期の作品である。チーク材フレームと緩やかに湾曲したアームレストが特徴で、座る人に多様な姿勢の可能性を提供する。オリジナルのベージュのクッションは、北欧デザインの典型的な落ち着いた色調を反映している。
ウォッチ・アンド・リスン・ユニット(Watch and Listen Unit)(1963)
1963年にデザインされたこの革新的な収納システムは、テレビをリビングルームの中心として位置づけるという新しいコンセプトを体現している。精巧なホームエンターテインメントシステムのためのスペースを持ち、ステレオシステム、テレビ、レコード、テープ、スピーカーを収納する区画が設けられている。
このユニットは、テレビやオーディオ機器を隠すのではなく、展示し保管するという考え方の転換を示しており、現代生活を家具デザインの中心に据えるヤルクの姿勢を明確に表している。
コーヒーテーブルとダイニングテーブル(1950-60年代)
ヤルクは、様々な形態のテーブルをデザインした。彼女のコーヒーテーブルの多くは、天板の下に巧妙に収納スペースが組み込まれており、実用性と美しさを兼ね備えている。「サーフボード」形状のテーブルは、彫刻的なトレイスタイルの天板と波打つような縁が特徴で、特に人気が高い。
ローズウッドやチーク材で製作されたダイニングテーブルは、延長可能な設計のものも多く、隠された拡張パネルにより、必要に応じてテーブルのサイズを変更できる。これらのテーブルは、ポール・イェペセン社やグロストロップ社により製造された。
その他の重要作品
ヤルクは、上記以外にも多数の優れた作品を生み出した:
- ブックケースと収納システム(1950-60年代):可動式の仕切りを持つモジュール式デザイン
- ソファセット(1950-60年代):2人掛けから3人掛けまで、チーク材とローズウッド製
- デイベッド:座面背もたれが開いて収納スペースになる驚きの実用性
- 折りたたみネスティングテーブル:省スペースのための革新的デザイン
- バーカート/ドリンクトローリー:大きな車輪付きの二層式チーク材カート
- 調節可能スツール(1961年):現代住宅のための多用途座席オプション
功績と業績:デザイン界での評価
グレーテ・ヤルクの長いキャリアは、数多くの賞と認知によって特徴づけられている。彼女の功績は、デンマーク国内だけでなく、国際的にも高く評価されている。
主要な賞と栄誉
- 1946年
- コペンハーゲン家具職人ギルド競技会 一等賞(卒業と同年の快挙)
- 1951年
- 第9回ミラノ・トリエンナーレ 出展、国際的賞賛を獲得
- 1953年
- ゲオルグ・イェンセン・コンペティション 一等賞
- 1963年
- デイリー・メール国際家具コンペティション 一等賞(GJボウチェアに対して)
- 1974年
- デンマーク家具賞(Danish Furniture Prize)受賞
- 1981年
- デンマークデザイン協議会(Danish Design Council)メンバーに任命
主要な展覧会と文化活動
- 1951年:第9回ミラノ・トリエンナーレ出展
- 1956年以降:ヨーロッパの家具フェアで定期的に展示
- 1968年:「Two Centuries of Danish Design」展、ロンドン・ヴィクトリア&アルバート博物館
- 1968年:「Les assises du siège contemporain」展、パリ装飾芸術美術館
- 1974年:デンマーク外務省の委託による巡回展のキュレーション(世界25都市で開催)
- 1980年:コペンハーゲン・ベラセンターでの国連女性会議「デンマーク女性によるデザイン」展のデザイン
出版と編集活動
ヤルクは、デンマーク家具デザインの記録と普及にも多大な貢献をした:
- 1956-1962年:デザイン誌『Mobilia』の共同編集者(Gunnar Bratvoldと共に)
- 1968-1974年:『Mobilia』の単独編集者(Bratvoldの死後)
- 1987年:『Dansk møbelkunst gennem 40 år(40年間のデンマーク家具デザイン)』全4巻を編集出版。コペンハーゲン家具職人ギルド展覧会1927-1966年を包括的に記録した資料として、デザイン史研究において不可欠な文献となっている。
美術館コレクション
ヤルクの作品は、世界の主要な美術館の永久コレクションに収蔵されている:
- ニューヨーク近代美術館(MoMA):GJボウチェア(1963年収蔵)
- メトロポリタン美術館:GJボウチェア
- デザインミュージアムデンマーク:複数の作品とオリジナルドローイング
- トラフォルト美術館(コリング):1963年の家具セット
教育者としての貢献
1950年から1960年まで、ヤルクはデンマーク王立美術アカデミーで教鞭を執り、次世代のデザイナーたちに影響を与えた。また、後年には、権威あるID賞の審査員を務め、デンマークデザイン界の発展に貢献した。
評価と後世への影響:パイオニアとしての遺産
女性デザイナーのパイオニア
グレーテ・ヤルクは、家具デザインが「ほぼ排他的に男性の職業」であった時代に活躍した数少ない女性デザイナーの一人である。当時、彼女は皮肉を込めて「強い弱者の性の素晴らしい例」と評されることもあったが、彼女の才能はデザイナーとしての実力により広く認識され、賞賛された。
ヤルクは、女性の権利の重要な擁護者でもあり、デンマークの女性解放運動に積極的に関与した。彼女は、良いデザインは性別に関係なく、すべての人がアクセスできるべきであると信じており、彼女の作品はこの哲学を反映している。1947年の「自立した女性の書斎」は、この信念の具体的な表現であった。
デザイン思想への貢献
ヤルクの作品は、カーレ・クリントから学んだ機能主義的原則を基盤としながらも、それを超えて進化した。初期の作品は、伝統的家具デザインの再構築と人間工学に重点を置いていたが、1960年代までに、彼女は独自の明確なスタイルを確立した。クリントの他の弟子たちとは異なり、彼女は徐々に人間工学様式を放棄し、時代と社会変化を反映した、意識的に現代的な新しいスタイルへと移行した。
彼女の「女性的な曲線」と「優雅な隠された接合部」を持つ家具は、デンマークデザインの伝統に新しい感性をもたらした。彼女の作品は、実用性を犠牲にすることなく美的洗練を追求するという、スカンディナビアモダニズムの理想を体現している。
素材と技術への影響
ヤルクの成形合板における実験は、この素材の可能性を大きく広げた。GJボウチェアに代表される彼女の技術的大胆さは、後続のデザイナーたちに影響を与え、合板という素材が単なる経済的な選択肢ではなく、芸術的表現の媒体であることを示した。
1960年代後半、デンマークでは合板家具への関心が薄れたため、彼女のより実験的なデザインの多くは大量生産されなかった。しかし、21世紀に入り、これらのデザインは再評価され、ラング・プロダクション社による再生産が実現した。これは、真に革新的なデザインは時代を超えて価値を持つことを証明している。
国際的評価の向上
ヤルクは、デンマーク家具デザインの国際的評価を高めることに計り知れない貢献をした。1974年のデンマーク外務省委託による巡回展では、世界25都市で展示が行われ、彼女がキュレーションした折りたたみ式展示空間は大きな成功を収めた。このプロジェクトは、立方体形の波板ダンボール箱を使用し、シルクスクリーンのテキストとロゴが印刷されていた。開梱後、これらの箱はスタンドや壁面ディスプレイとして使用でき、支持棒を追加することで、ショーケースや照明器具として機能した。この革新的なアプローチは、展示デザインの分野でも彼女の創造性を示している。
現代における再評価
今日、グレーテ・ヤルクはデンマークデザイン史において高く尊敬される人物であり、彼女が受けた賞だけでなく、コペンハーゲン家具職人ギルドの仕事を閉鎖前に記録することへの献身的な努力によっても評価されている。1987年に出版された4巻の著作は、1927年から1966年までのギルド展覧会を包括的に記録した、デザイン史研究における貴重な資料となっている。
ヤルクの家具は、今日でも世界中の個人および公共のコレクションで見ることができ、ヴィンテージ市場では高値で取引されている。彼女のデザインは、「タイムレスな優雅さと機能的美しさ」により、コレクターやデザイン愛好家から高く評価され続けている。
持続的な影響
グレーテ・ヤルクの遺産は、彼女のデザインが今なお新鮮で独創的であることに示されている。2008年のラング・プロダクション社によるGJチェアの再生産は、50年以上前のデザインが現代の審美眼にも完全に適合することを証明した。
彼女の影響は、経済性と品質の両立、社会的進歩への対応、素材の革新的使用という点で、現代のデザイナーたちにも引き継がれている。特に、持続可能性と多機能性が重視される現代において、彼女の哲学は極めて関連性が高い。
グレーテ・ヤルクは、「デンマークデザインの良心」と評されるほど、品質のあらゆる側面への誠実さと真摯な関心を持っていた。彼女の大胆で実験的な素材と形態の使用方法は、デンマークデザインの象徴となり、彼女をデンマークデザインの偉大な人物の一人として位置づけている。
結論:タイムレスなモダニズムの体現
グレーテ・ヤルク(1920-2006)は、20世紀デンマークデザイン史における最も重要な人物の一人である。女性デザイナーが極めて稀少であった時代に、彼女は自身の才能と革新性により、国際的な評価を確立した。
カーレ・クリントの厳格な機能主義を基盤としながらも、彼女はアルヴァ・アアルトやチャールズ&レイ・イームズの有機的デザインに触発され、独自の表現言語を確立した。経済性と高品質の両立、社会的・技術的進歩への対応、そして素材の革新的使用という彼女のデザイン哲学は、現代においてもその価値を失っていない。
代表作であるGJボウチェアは、成形合板技術の頂点を示す傑作であり、わずか2つの部品で構成されながら、有機的で彫刻的な美しさを実現している。この椅子がMoMAの永久コレクションに収蔵され、今なお賞賛を集めていることは、彼女のデザインがタイムレスな価値を持つことの証である。
デザイナーとしての活動に加え、ヤルクは教育者、編集者、キュレーターとしても活躍し、デンマーク家具デザインの記録と普及に多大な貢献をした。『Mobilia』の編集と『40年間のデンマーク家具デザイン』の出版は、デザイン史研究において不可欠な資料となっている。
グレーテ・ヤルクの遺産は、単に美しい家具を生み出しただけでなく、女性デザイナーの道を切り開き、デンマーク家具の国際的評価を高め、そして素材と形態における革新の可能性を示したことにある。彼女の誠実さ、品質への真摯な関心、そして実験への大胆さは、「デンマークデザインの良心」として、今後も多くのデザイナーたちに影響を与え続けるであろう。
作品一覧
| 年月 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1946年 | 椅子 | 家具職人ギルド受賞作品 | - |
| 1947年 | システム家具 | 自立した女性の書斎(ソファベッド・デスク・収納一体型) | - |
| 1950年代 | 椅子 | Model 118 ラウンジチェア | France & Søn / France & Daverkosen |
| 1950年代 | テーブル | サイドテーブル(ペア) | P. Jeppesen |
| 1950年代 | 収納 | ブックケース | P. Jeppesen |
| 1950年代 | ソファ | 3人掛けソファ | Johannes Hansen |
| 1952年 | 椅子 | ラウンジチェア(黒ラッカー管状スチール&ラタン) | Laurids Lønborg |
| 1953年 | 椅子 | He-Chair & She-Chair(試作品、火災により焼失) | - |
| 1955年 | デザイン提案 | 丸みを帯びた積層形態デザイン | Poul Jeppesen(製品化は1962年) |
| 1959年 | 椅子 | ダイニングチェア(チーク&レザー、6脚セット) | P. Jeppesen |
| 1960年代 | 椅子 | Model 218 イージーチェア | Glostrup Møbelfabrik |
| 1960年代 | 椅子 | アームチェア(管状スチール&レザー) | Fritz Hansen |
| 1960年代 | 椅子 | ラウンジチェア | Cado |
| 1960年代 | テーブル | コーヒーテーブル(各種) | Glostrup Møbelfabrik / P. Jeppesen |
| 1960年代 | テーブル | サーフボード型コーヒーテーブル | Glostrup Møbelfabrik / P. Jeppesen |
| 1960年代 | テーブル | 延長可能ダイニングテーブル(チーク) | Glostrup Møbelfabrik |
| 1960年代 | テーブル | 円形ダイニングテーブル(ローズウッド)Model PJ 2-5 | P. Jeppesen |
| 1960年代 | テーブル | ネスティングテーブル | P. Jeppesen |
| 1960年代 | カート | バーカート/ドリンクトローリー(チーク) | P. Jeppesens Møbelfabrik |
| 1960年代 | ソファ | 2人掛け・3人掛けソファ(各種) | France & Søn / France & Daverkosen / P. Jeppesen |
| 1960年代 | 収納 | ブックケースセット(モジュール式) | P. Jeppesens Møbelfabrik |
| 1961年 | システム家具 | 壁掛け収納システム | - |
| 1961年 | 椅子 | 調節可能スツール | - |
| 1962年 | 椅子 | サイドチェア(成形合板) | P. Jeppesen |
| 1962年 | 椅子 | Model 32-42(オーク&チーク) | Sibast |
| 1962年 | システム家具 | リビングルームセット(コーヒーテーブル付き) | - |
| 1963年 | 椅子 | GJ Bow Chair / GJ Chair(成形合板、チーク) | P. Jeppesen(オリジナル)/ Lange Production(2008年~) |
| 1963年 | 椅子 | ダイニングチェア(チーク) | P. Jeppesen |
| 1963年 | テーブル | GJ ネスティングテーブル | P. Jeppesen / Lange Production(2008年~) |
| 1963年 | システム家具 | Watch and Listen Unit(ホームエンターテインメント収納) | - |
| 1964年 | 椅子 | イージーチェア(管状スチール) | Fritz Hansen |
| 1970年代 | 椅子 | レザーシーティング(曲線スチールベース) | - |
| 年代不詳 | 家具 | デイベッド(収納付き) | - |
| 年代不詳 | 家具 | 折りたたみテーブル | - |
| 年代不詳 | 椅子 | 高椅子とスツール | - |
| 年代不詳 | 収納 | オレゴンパイン製棚セット | - |
| 1987年 | 出版物 | Dansk møbelkunst gennem 40 år(40年間のデンマーク家具デザイン)全4巻 | Teknologisk Instituts Forlag |
Reference
- Grete Jalk - Wikipedia
- https://en.wikipedia.org/wiki/Grete_Jalk
- Grete Jalk (1920 - 2006) Danish Furniture Designer
- https://encyclopedia.design/2022/07/18/grete-jalk-1920-danish-furniture-designer/
- Grete Jalk - Lange Production
- http://www.langeproduction.com/designers/grete-jalk
- Great Danish Designers 101: Grete Jalk – Vintage Home Boutique
- https://vintagehomeboutique.ca/blogs/vintage-home-boutique/great-danish-designers-101-grete-jalk
- Grete Jalk — H. Gallery
- https://hgallery.com/grete-jalk
- The Woman That Revolutionized Scandinavian Design: Grete Jalk - Mid Century Home
- https://www.midcenturyhome.com/grete-jalk-2/
- Grete Jalk - Designer Biography and Price History on 1stDibs
- https://www.1stdibs.com/creators/grete-jalk/
- Grete Jalk Online Shop | Buy Vintage Furniture at PAMONO
- https://www.pamono.com/designers/grete-jalk
- Grete Jalk. Lounge Chair. 1963 | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/4721
- Maharam | Story | Grete Jalk: Laminated Chair
- https://www.maharam.com/stories/wright_grete-jalk-laminated-chair
- Grete Jalk - Plywood Profiles 2024 | Sheet Good
- https://sheetgood.com/grete-jalk/
- Grete Jalk: Scandinavian Design Revolutionary - Modern Homes Portland
- https://www.modernhomesportland.com/grete-jalk-scandinavian-design-revolutionary/