概要
G10アームチェアは、ピエール・ガリッシュが1955年にエアボーン社のために設計した椅子である。塗装した金属チューブのフレームに、矩形の座面と背もたれ、台形のアームレストを組み合わせる。成形合板のアームレストを備えた仕様は、2年間のみ生産された。
特徴・コンセプト
脚の配置
フレームは塗装した金属チューブによる。4本の脚は斜めに配され、前後をスペーサーで連結する。垂直な脚では接地点が座面の真下に来るが、傾ければ接地の間隔が広がり、細い部材でも安定が得られる。
成形合板のアームレストは、薄板を積層して曲面に成形する。無垢材を削り出す方法より材の無駄が少ないが、型と加圧の設備が要る。この仕様は製造費用の面から短期間で終了した。
薄い座面
座面にはエアボーン社が開発したスプリング・スラットの機構が用いられる。厚いクッションで弾力を得る方式では座面の厚みが増すが、金属プレートとスプリングで支える方式なら、薄い座面のまま撓みが得られる。
座面が薄いぶん、同じ座り心地でも椅子全体の高さと体積が抑えられる。戦後の住戸の規模が縮小した時期にあたる。
モジュラーシステムの思想
G10の設計において注目すべきは、ボルトとネジによる接続システムを金属構造に組み込んだ点である。この機構により、複数のチェアを連結して2人掛けまたは3人掛けのソファへと変容させることが可能となっている。取り外し可能なアームレストの設計も、この適応性を支える重要な要素である。
矩形の構成
座面と背もたれは矩形、アームレストは台形をとる。曲面を持たないため、複数を並べたときに輪郭が揃う。連結して使う前提と対応している。
評価と影響
薄い座面で撓みを得る扱いは、厚みのあるクッションで受ける方向とは異なる。フォームだけで構成するトーゴや、シェルの曲面で受ける構成とも別の解にあたる。
4館の公開データでは、G10アームチェアの収蔵は確認できていない。
ピエール・ガリッシュの設計思想や経歴について詳しくはピエール・ガリッシュプロフィールページをご覧ください。
エアボーンの歴史や他の製品について詳しくはエアボーンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ピエール・ガリッシュ(Pierre Guariche) |
|---|---|
| デザイン年 | 1955年 |
| メーカー | エアボーン(Airborne) |
| 製造国 | フランス |
| カテゴリー | アームチェア |
| 素材 | 黒塗装金属チューブ、成形合板(アームレスト)、フォーム、ファブリック |
| 寸法 | 高さ75-77cm × 幅75-83cm × 奥行75-83cm(座面高39-45cm) |
| 特徴 | Free-spanスプリングシステム、モジュラー接続可能、台形アームレスト |
| 生産期間 | 成形合板アームレストバージョンは2年間のみの限定生産 |