デザイナーズ家具・インテリア カタログ Stories of Design Interior Catalog

インテリアデザイン10万年史

洞窟の炉からスマートホームまで人類とインテリアの10万年の物語

幕間コラム|第Ⅴ部をもっと楽しむために ── 年表・地図・列伝・教師たち

椅子の年表、素材の地図、建築と家具の共犯関係、そしてバウハウスの異才たち


ここまで第Ⅴ部を読んできた方は、膨大な固有名詞と年号のあいだで、少し息切れしているかもしれない。

ワシリーチェア、バルセロナ・チェア、DCW、FRPシェルチェア、パントンチェア、Carlton──。名前は出てきたけれど、それぞれがどう違って、なぜ重要で、どういう順番で登場したのか、もう一度整理したい。

あるいは、こんな疑問が浮かんでいるかもしれない。

「鋼管と合板とプラスチックって、結局どう違うの?」 「なぜ建築家は、わざわざ自分で椅子までデザインしたの?」 「バウハウスの教師にカンディンスキーがいたって言うけど、あの抽象画家が何を教えていたの?」

この幕間コラムは、そんな疑問に応えるための4つの「寄り道」だ。


4つのコラム

コラム①「20世紀の室内を変えた『10の椅子』年表」 は、本編に登場した名作椅子10脚を時系列に並べて、素材と設計思想の変遷を一望する。1925年のワシリーチェアから1986年の「How High the Moon」まで、60年間の椅子の進化を一気に追いかける。

コラム②「設計思想×素材のマトリクス」 は、第Ⅴ部全体を「空間の構成原理」と「素材」の2軸で整理する。自由平面+鉄筋コンクリートの時代から、記号+ラミネートの時代まで、各時代の「室内の主役」が何だったのかをひと目で見渡せる地図だ。

コラム③「この建物のためだけにデザインされた椅子」列伝 は、建築家がなぜ自分の建物専用の椅子にこだわったのかを探る。バルセロナ・チェアからパイミオ・チェアまで、「空間と家具の共犯関係」の物語である。

コラム④「バウハウスの教師たち」 は、第2幕で駆け足になった教師陣にスポットライトを当てる。抽象画家カンディンスキーは「三角形=黄色」と教え、イッテンは授業の前に瞑想させ、シュレンマーはロボットのような衣装のバレエを創った。14年間の学校に集まった異才たちの横顔を紹介する。


本編を読む前の予習としても、読んだあとの復習としても使える。気になるコラムから、どうぞ。


第Ⅴ部の総合年表(1910〜1986年)

本編とコラムに登場する主なできごとを、建築・家具・理論の3つに分けて並べた。コラム①は椅子だけを扱うので、こちらは第Ⅴ部全体の見取り図として使ってほしい。

| 年 | 建築 | 家具 | 理論・できごと | |---|---|---|---| | 1910 | | | ロースの講演「装飾と犯罪」 | | 1918〜23 | | レッド&ブルー・チェア(着色は1923年ごろ) | | | 1919 | | | バウハウス開校 | | 1924 | シュレーダー邸 | | | | 1925 | | ワシリーチェア(モデルB3) | | | 1926 | バウハウス・デッサウ校舎 | | 近代建築の五原則 | | 1927 | ヴァイセンホーフ住宅展 | | | | 1929 | バルセロナ・パビリオン | バルセロナ・チェア | | | 1931 | サヴォア邸 | パイミオ・チェア(1931〜32年) | | | 1933 | | スツール60 | バウハウス閉鎖 | | 1946 | | DCW | | | 1950 | | FRPシェルチェア | | | 1952 | ユニテ・ダビタシオン | アントチェア | | | 1955 | | セブンチェア | | | 1956 | | チューリップチェア、イームズ・ラウンジチェア | | | 1958 | | エッグチェア | | | 1960 | SASロイヤルホテル | | | | 1962 | TWAフライトセンター | | | | 1966 | | | ヴェンチューリ『建築の複雑性と対立性』 | | 1967 | | パントンチェア | | | 1972 | | | プルーイット=アイゴー団地の解体 | | 1981 | | Carlton | メンフィスの最初の展覧会 | | 1986 | | How High the Moon | |


第Ⅴ部を読むためのキーワード

本編で繰り返し出てくる言葉を、用語ページへのリンクとあわせてまとめた。

  • モダニズム──装飾を排し、機能と構造、素材の合理性から形を導こうとした20世紀の建築・デザインの潮流。第1幕の主題。
  • バウハウス──1919年から1933年までドイツにあった造形学校。第2幕の主題。
  • ピロティ──建物を柱で持ち上げる構成。サヴォア邸の象徴的な要素。
  • カンチレバー構造──片側だけで支えて張り出させる構造。鋼管の椅子で後脚をなくす形式に使われた。
  • 成形合板、FRP、射出成形──第3幕の椅子を生んだ素材と製法。コラム②のマトリクスの縦軸にあたる。
  • ポストモダン、メンフィス──第5幕で、モダニズムへの反発として現れた潮流と、その代表的なグループ。

コラムと本編の対応

| コラム | 主に関わる本編 | |---|---| | ①「10の椅子」年表 | 第22章、第23〜26章、第29章、第31章 | | ② 設計思想×素材のマトリクス | 第17〜19章、第23〜25章、第30〜32章 | | ③ 建物のためにデザインされた椅子 | 第18章、第26章、第27章 | | ④ バウハウスの教師たち | 第20〜22章 |