四隅に脚を立てて幕板でつなげば、テーブルは最も安定する。だがその脚と幕板は、座る人の足や膝とぶつかる。1935年から2013年までの9のテーブルとデスクを並べ、脚と幕板をどこに置き、どう減らして天板の下を空けてきたかを比べる。

作品ごとの解き方

天板の下を空けるという課題

テーブルは、四隅に脚を立てて幕板でつなぐのが最も安定する。天板の荷重は四本の脚に分かれて床へ流れ、幕板は脚の開きを抑え、天板のたわみを支える。だが、座る人の側から見ると、四隅の脚は端の席の足元に来て、幕板は膝の高さを横切る。円卓に幕板があれば、脚を入れられる位置が限られ、座れる場所と人数が決まってしまう。

脚を内側へ寄せたり、一本にまとめたりすれば、足元は空く。その代わり天板は支えから外へ張り出し、縁に手をついたときにテーブルを倒そうとする力が大きくなる。脚と天板の接合部には曲げの力が集まり、幕板を省けば天板そのものに剛性が要る。エーロ・サーリネンは、ふつうの椅子とテーブルの下は落ち着かない混乱した世界だと述べ、その「脚のスラム(slum of legs)」を片づけたかったと説明している。脚と幕板をどこに置き、どう減らすかは、1930年代から作品ごとに異なる方法で解かれてきた。

解き方の系譜

幕板をなくす・細くする

木材の端に切り込みを入れて薄板を挟み、直角に曲げる工程の図
アアルトの米国特許(第2,042,976号、1936年)の図。木材の端に切り込みを入れて薄板を挟み(図1)、直角に曲げる(図2)United States Patent Office / パブリックドメイン — Wikimedia Commons

アルヴァ・アアルトのテーブル90(1935年)は、脚の位置はそのままに、幕板を取り去った。1933年に特許を得たL-レッグは、無垢のバーチ材の端に切り込みを入れて薄板を挟み、直角に曲げた曲木の脚である。脚の上端が天板の裏に沿うため、ネジで天板へ直接留められ、幕板を渡す必要がない。天板の下に部材が張り出さないので、円形の天板の周囲のどこにでも座れる。

幕板が担っていた剛性は、天板の側で補う。天板の内部にはバーチ材のハニカムコアが入り、中空の六角形を並べた構造で、直径100cmでも厚みを抑えたまま面の剛性を保つ。

ハンス・J・ウェグナーのCH327 ダイニングテーブル(1962年)は、幕板を残したまま形を変えた。幕板は脚の近くで高く、中央へ向かって細く絞られる。荷重のかかる端だけを太くし、座る人の膝が来る中央寄りを空けている。両端の脚は貫を交差させて横方向の剛性を確保する。無垢材の木組みのまま、幕板が膝に当たる範囲だけを削った解き方である。

中央の一本にまとめる

脚を四隅から外し、天板の中央の一本にまとめれば、縁沿いのどこにも脚は来ない。イサム・ノグチのサイクロンテーブル(1954年)は、鋳鉄の台座から細いスチールワイヤーを渦状に立ち上げて天板を支える。一本の支柱では太さが要るが、多数の細い線材を束ねて捻れば荷重を分けて受けられ、天板の下に視線も抜ける。脚が細く接地面が小さいぶん、安定は鋳鉄の重さで得ている。

サーリネンのチューリップテーブル(1957年)は、アルミニウムを鋳造した一本脚で天板を支える。四本脚のテーブルに四脚の椅子を寄せると、床には最大20本の脚が並ぶ。中央に一本だけなら、天板の周囲どこにでも椅子を寄せられ、円形では席の数も固定されない。一本脚では接地点が中央の一箇所になり、天板の端に荷重がかかると倒れる力が働く。脚の下部を円形に広げて接地の範囲をとり、鋳造の重さも安定に使っている。長いオーバル形では脚が2本になるが、天板の中央寄りに置き、端の席に脚が来ないようにしている。

中央から四方へ開く

一本の支柱は、天板が大きくなるほど倒れへの抵抗が難しくなる。フローレンス・ノルのフローレンス・ノル エグゼクティブデスク(1961年)は、中央の柱から四方へ脚を広げるクロームめっきの四つ星ベースを用いる。脚を四隅に立てれば天板の下に4本が並ぶが、四方に開くベースなら床に接する点が中心寄りに集まり、天板の端に座る人の足と干渉しない。幅183cmの天板の荷重を、四方に分けて受ける。従来の執務用デスクが備えた深い引き出しも、天板の厚みに収まる薄い2杯に絞り、天板の下を空けている。

ピート・ハインとブルーノ・マットソンによるスーパーエリプステーブル(1968年)のスパンレッグも、細い金属のロッドが中央へ向かって収束し、床へ向かって開く。テンション機構で締めて固定し、脚は取り外せる。細い部材で構成するため、天板の下に太い支柱が現れない。円と長方形の中間にあたる超楕円の天板とあわせて、どの位置に座っても縁との距離が近く、特別な席を生まない。

脚を内側へ寄せる

脚の本数は減らさず、位置だけを内側へ移す方法もある。ジオ・ポンティのD.859.1 デスク(1959年)は、全長3.6メートルを超える会議卓で、台形の脚を四隅ではなく中央寄りに置き、天板を前後へ大きく張り出させた。端の席でも足元に脚が来ない。張り出した天板は端へ向かって薄く削り、縁の見えがかりを抑えている。

ロナン&エルワン・ブルレックのコペンハーゲン デスク(2013年)も、脚を天板の四隅より内側へ寄せ、脚のあいだに膝の入る空きをつくる。左右の脚の角度を変え、正面と側面で見え方が変わるようにしている。木の脚の構成を保ったまま、位置と角度の調整で足元を空けている。

二枚の板を直交させる

エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーのトビ・イシ テーブル(2012年)は、台形の板を二枚、直角に交差させて天板を支える。支持を中央に寄せる点では一本脚と同じだが、二枚の板が直交しているため、テーブルを横に倒そうとする力にどちらの方向からも抵抗できる。脚には鋳鉄のおもりが入る。中央の一本脚が台座の広がりと重さに頼っていた倒れへの抵抗を、支持部の形でも受け持たせた解き方である。

解き方の比較

比較項目 幕板をなくす・細くする 中央の一本にまとめる 中央から四方へ開く 脚を内側へ寄せる 二枚の板を直交させる
足元の空き方 膝の高さが空く。脚は四隅に残る 縁沿いのどこにも脚が来ない 接地点が中心寄りに集まり、端の席の足と干渉しない 縁沿いの足元が空く。脚の本数は変わらない 縁沿いに脚が来ない
倒れへの抵抗 四隅の脚で受ける 台座を広げ、鋳鉄や鋳造アルミニウムの重さで安定させる 接地点を四方に分けて受ける 四本の脚で受けるが、天板の張り出しは大きくなる 直交した板で両方向に抵抗し、鋳鉄のおもりも加える
天板に求められること 幕板の代わりに天板が剛性を持つ(ハニカムコア) 全周への張り出しを中央で受ける 大きな天板の荷重を四方に分ける 張り出した部分を薄く見せる(端を削る) 支持部から大きく張り出す
席の自由度 円卓の周囲のどこにでも座れる(テーブル90)。CH327は膝の位置の中央寄りが空く 周囲のどこにでも椅子を寄せられ、円形では席数も固定されない 天板の端にも座れる。スーパーエリプスは特別な席を生まない 端の席でも足元が空く 縁沿いのどこにでも座れる

幕板をなくす・細くする方法は、四隅の脚の安定を保ったまま膝の高さを空けるが、脚そのものは端の席の足元に残り、幕板の役割を天板や形の工夫で補う必要がある。中央の一本にまとめる方法は、縁沿いの脚を完全になくせる代わりに、倒れへの抵抗を台座の広がりと重さに頼る。四方に開くベースは、接地点を分けて大きな天板にも対応するが、天板の下の中央には脚の広がりが残る。脚を内側へ寄せる方法は、木の脚の構成をそのまま使える一方、天板の張り出しが大きくなる。二枚の板を直交させる方法は、中央に支持をまとめながら、倒れへの抵抗を支持部の形にも分けている。

現在の扱い

天板の下を空けた構成の多くは、いまも生産が続くか、改めて生産されている。サイクロンテーブルは1974年に生産を終えたのち、2003年にノグチ財団の協力で復刻された。フローレンス・ノルのエグゼクティブデスクは2014年にノルが復刻し、引き出しが浅く天板の下が空くことから、ダイニングテーブルとしても使われている。トビ・イシは2014年にローテーブル、2017年に屋外用の仕様が加わった。チューリップテーブルとスーパーエリプステーブルは、発表以来生産が続いている。

Reference

Saarinen Pedestal Tables | Knoll(Salone del Mobile.Milano 出展者ページ)
https://lb.salonemilano.it/en/prodotti/knoll/saarinen-pedestal-tables
D.859.1 | Molteni&C
https://www.molteni.it/en/products/d-859-1
Superellipse Table | Fritz Hansen
https://www.fritzhansen.com/en/products/tables/b612-superellipse
Tobi-Ishi | B&B Italia
https://www.bebitalia.com/en-us/en-tobi-ishi-tavoli.html