四隅に脚を立てて幕板でつなげば、テーブルは最も安定する。だがその脚と幕板は、座る人の足や膝とぶつかる。1935年から2013年までの9のテーブルとデスクを並べ、脚と幕板をどこに置き、どう減らして天板の下を空けてきたかを比べる。
作品ごとの解き方
| 年 | 作品 | デザイナー | 解き方 | 現在の製造元 |
|---|---|---|---|---|
| 1935 |
テーブル90
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アルヴァ・アアルト | 幕板をなくして脚を直付けする | アルテック |
| 1954 |
サイクロンテーブル
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イサム・ノグチ | 一本の支柱にまとめる | ノル、ヴィトラ |
| 1957 |
チューリップテーブル
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エーロ・サーリネン | 一本の支柱にまとめる | ノル |
| 1959 |
D.859.1 デスク
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ジオ・ポンティ | 脚を内側へ寄せる | モルテーニ |
| 1961 |
フローレンス・ノル エグゼクティブデスク
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フローレンス・ノル | 中央から四方へ開く | ノル |
| 1962 |
CH327 ダイニングテーブル
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ハンス・J・ウェグナー | 幕板を中央で細くする | カール・ハンセン&サン |
| 1968 |
スーパーエリプステーブル
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ブルーノ・マットソン | 中央から四方へ開く | フリッツ・ハンセン |
| 2012 |
トビ・イシ テーブル
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エドワード・バーバー | 二枚の板を直交させる | B&B イタリア |
| 2013 |
コペンハーゲン デスク
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ロナン・ブルレック | 脚を内側へ寄せる | ヘイ |
天板の下を空けるという課題
テーブルは、四隅に脚を立てて幕板でつなぐのが最も安定する。天板の荷重は四本の脚に分かれて床へ流れ、幕板は脚の開きを抑え、天板のたわみを支える。だが、座る人の側から見ると、四隅の脚は端の席の足元に来て、幕板は膝の高さを横切る。円卓に幕板があれば、脚を入れられる位置が限られ、座れる場所と人数が決まってしまう。
脚を内側へ寄せたり、一本にまとめたりすれば、足元は空く。その代わり天板は支えから外へ張り出し、縁に手をついたときにテーブルを倒そうとする力が大きくなる。脚と天板の接合部には曲げの力が集まり、幕板を省けば天板そのものに剛性が要る。エーロ・サーリネンは、ふつうの椅子とテーブルの下は落ち着かない混乱した世界だと述べ、その「脚のスラム(slum of legs)」を片づけたかったと説明している。脚と幕板をどこに置き、どう減らすかは、1930年代から作品ごとに異なる方法で解かれてきた。
解き方の系譜
幕板をなくす・細くする

アルヴァ・アアルトのテーブル90(1935年)は、脚の位置はそのままに、幕板を取り去った。1933年に特許を得たL-レッグは、無垢のバーチ材の端に切り込みを入れて薄板を挟み、直角に曲げた曲木の脚である。脚の上端が天板の裏に沿うため、ネジで天板へ直接留められ、幕板を渡す必要がない。天板の下に部材が張り出さないので、円形の天板の周囲のどこにでも座れる。
幕板が担っていた剛性は、天板の側で補う。天板の内部にはバーチ材のハニカムコアが入り、中空の六角形を並べた構造で、直径100cmでも厚みを抑えたまま面の剛性を保つ。
ハンス・J・ウェグナーのCH327 ダイニングテーブル(1962年)は、幕板を残したまま形を変えた。幕板は脚の近くで高く、中央へ向かって細く絞られる。荷重のかかる端だけを太くし、座る人の膝が来る中央寄りを空けている。両端の脚は貫を交差させて横方向の剛性を確保する。無垢材の木組みのまま、幕板が膝に当たる範囲だけを削った解き方である。
中央の一本にまとめる
脚を四隅から外し、天板の中央の一本にまとめれば、縁沿いのどこにも脚は来ない。イサム・ノグチのサイクロンテーブル(1954年)は、鋳鉄の台座から細いスチールワイヤーを渦状に立ち上げて天板を支える。一本の支柱では太さが要るが、多数の細い線材を束ねて捻れば荷重を分けて受けられ、天板の下に視線も抜ける。脚が細く接地面が小さいぶん、安定は鋳鉄の重さで得ている。
サーリネンのチューリップテーブル(1957年)は、アルミニウムを鋳造した一本脚で天板を支える。四本脚のテーブルに四脚の椅子を寄せると、床には最大20本の脚が並ぶ。中央に一本だけなら、天板の周囲どこにでも椅子を寄せられ、円形では席の数も固定されない。一本脚では接地点が中央の一箇所になり、天板の端に荷重がかかると倒れる力が働く。脚の下部を円形に広げて接地の範囲をとり、鋳造の重さも安定に使っている。長いオーバル形では脚が2本になるが、天板の中央寄りに置き、端の席に脚が来ないようにしている。
中央から四方へ開く
一本の支柱は、天板が大きくなるほど倒れへの抵抗が難しくなる。フローレンス・ノルのフローレンス・ノル エグゼクティブデスク(1961年)は、中央の柱から四方へ脚を広げるクロームめっきの四つ星ベースを用いる。脚を四隅に立てれば天板の下に4本が並ぶが、四方に開くベースなら床に接する点が中心寄りに集まり、天板の端に座る人の足と干渉しない。幅183cmの天板の荷重を、四方に分けて受ける。従来の執務用デスクが備えた深い引き出しも、天板の厚みに収まる薄い2杯に絞り、天板の下を空けている。
ピート・ハインとブルーノ・マットソンによるスーパーエリプステーブル(1968年)のスパンレッグも、細い金属のロッドが中央へ向かって収束し、床へ向かって開く。テンション機構で締めて固定し、脚は取り外せる。細い部材で構成するため、天板の下に太い支柱が現れない。円と長方形の中間にあたる超楕円の天板とあわせて、どの位置に座っても縁との距離が近く、特別な席を生まない。
脚を内側へ寄せる
脚の本数は減らさず、位置だけを内側へ移す方法もある。ジオ・ポンティのD.859.1 デスク(1959年)は、全長3.6メートルを超える会議卓で、台形の脚を四隅ではなく中央寄りに置き、天板を前後へ大きく張り出させた。端の席でも足元に脚が来ない。張り出した天板は端へ向かって薄く削り、縁の見えがかりを抑えている。
ロナン&エルワン・ブルレックのコペンハーゲン デスク(2013年)も、脚を天板の四隅より内側へ寄せ、脚のあいだに膝の入る空きをつくる。左右の脚の角度を変え、正面と側面で見え方が変わるようにしている。木の脚の構成を保ったまま、位置と角度の調整で足元を空けている。
二枚の板を直交させる
エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーのトビ・イシ テーブル(2012年)は、台形の板を二枚、直角に交差させて天板を支える。支持を中央に寄せる点では一本脚と同じだが、二枚の板が直交しているため、テーブルを横に倒そうとする力にどちらの方向からも抵抗できる。脚には鋳鉄のおもりが入る。中央の一本脚が台座の広がりと重さに頼っていた倒れへの抵抗を、支持部の形でも受け持たせた解き方である。
解き方の比較
| 比較項目 | 幕板をなくす・細くする | 中央の一本にまとめる | 中央から四方へ開く | 脚を内側へ寄せる | 二枚の板を直交させる |
|---|---|---|---|---|---|
| 足元の空き方 | 膝の高さが空く。脚は四隅に残る | 縁沿いのどこにも脚が来ない | 接地点が中心寄りに集まり、端の席の足と干渉しない | 縁沿いの足元が空く。脚の本数は変わらない | 縁沿いに脚が来ない |
| 倒れへの抵抗 | 四隅の脚で受ける | 台座を広げ、鋳鉄や鋳造アルミニウムの重さで安定させる | 接地点を四方に分けて受ける | 四本の脚で受けるが、天板の張り出しは大きくなる | 直交した板で両方向に抵抗し、鋳鉄のおもりも加える |
| 天板に求められること | 幕板の代わりに天板が剛性を持つ(ハニカムコア) | 全周への張り出しを中央で受ける | 大きな天板の荷重を四方に分ける | 張り出した部分を薄く見せる(端を削る) | 支持部から大きく張り出す |
| 席の自由度 | 円卓の周囲のどこにでも座れる(テーブル90)。CH327は膝の位置の中央寄りが空く | 周囲のどこにでも椅子を寄せられ、円形では席数も固定されない | 天板の端にも座れる。スーパーエリプスは特別な席を生まない | 端の席でも足元が空く | 縁沿いのどこにでも座れる |
幕板をなくす・細くする方法は、四隅の脚の安定を保ったまま膝の高さを空けるが、脚そのものは端の席の足元に残り、幕板の役割を天板や形の工夫で補う必要がある。中央の一本にまとめる方法は、縁沿いの脚を完全になくせる代わりに、倒れへの抵抗を台座の広がりと重さに頼る。四方に開くベースは、接地点を分けて大きな天板にも対応するが、天板の下の中央には脚の広がりが残る。脚を内側へ寄せる方法は、木の脚の構成をそのまま使える一方、天板の張り出しが大きくなる。二枚の板を直交させる方法は、中央に支持をまとめながら、倒れへの抵抗を支持部の形にも分けている。
現在の扱い
天板の下を空けた構成の多くは、いまも生産が続くか、改めて生産されている。サイクロンテーブルは1974年に生産を終えたのち、2003年にノグチ財団の協力で復刻された。フローレンス・ノルのエグゼクティブデスクは2014年にノルが復刻し、引き出しが浅く天板の下が空くことから、ダイニングテーブルとしても使われている。トビ・イシは2014年にローテーブル、2017年に屋外用の仕様が加わった。チューリップテーブルとスーパーエリプステーブルは、発表以来生産が続いている。
Reference
- Saarinen Pedestal Tables | Knoll(Salone del Mobile.Milano 出展者ページ)
- https://lb.salonemilano.it/en/prodotti/knoll/saarinen-pedestal-tables
- D.859.1 | Molteni&C
- https://www.molteni.it/en/products/d-859-1
- Superellipse Table | Fritz Hansen
- https://www.fritzhansen.com/en/products/tables/b612-superellipse
- Tobi-Ishi | B&B Italia
- https://www.bebitalia.com/en-us/en-tobi-ishi-tavoli.html