概要
エドワード・バーバー(1969年生まれ)は、イギリスのデザイナーである。1996年にジェイ・オズガビーとバーバー・オズガビーを設立し、以後すべての作品を共同名義で発表している。建築の課程で学んだ模型製作の手法を家具に持ち込み、板を折り曲げて立体をつくる構成を初期から用いた。ヴィトラ、ノル、B&Bイタリアなどと協働し、2012年ロンドンオリンピックの聖火リレー用トーチも手がけている。
バイオグラフィー
1969年、イギリスのシュルーズベリーに生まれた。ウェストミンスター大学で建築を学び、続いてロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで建築の修士号を得ている。
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで同期だったジェイ・オズガビーと、1996年にロンドンでバーバー・オズガビーを設立した。最初の製品は、合板を折り曲げて構成したループ・テーブルで、1997年からカッペリーニが生産している。
2001年には建築と内装を扱う別部門を設け、店舗や展示の設計にも関わるようになった。2005年のデ・ラ・ウォー・パビリオンの椅子、2011年のヴィトラのティップ・トンなどを手がけている。
2012年、ロンドンオリンピックの聖火リレー用トーチを設計した。2013年に大英帝国勲章(OBE)を受けている。
デザインの思想と方法
バーバー・オズガビーの設計は、建築の課程で用いる模型製作の手法を出発点としている。一枚の板に切り込みを入れ、折り曲げて立体をつくる——この作業で得られる形は、板の厚みと折り線の位置だけで決まる。二人はこの操作を、実寸の家具で成立させる方法を探ってきた。
板を折って立体にする
ループ・テーブルは、合板を曲げて天板と脚を一続きの面で構成する。接合部が減るため部品点数が少なく、断面は板の厚み分に収まる。模型でつくれる形を、材料の性質が許す範囲で実寸に拡大するという順序をとる。
座面の傾きを構造で得る
ティップ・トンでは、脚の底面に角度を付けることで、前傾姿勢と通常の姿勢の二つの位置が生まれる。可動部も機構も持たず、床に接する面の形状だけで実現している。機能を部品ではなく形状で担わせるという処理にあたる。
用途から材料を選び直す
デ・ラ・ウォー・パビリオンの椅子は、海沿いの建物で屋内外に置かれることを条件とした。塩分と紫外線に耐える必要があるため、木ではなくアルミの鋳造を選び、開口を設けて水が溜まらないようにしている。設置場所の条件が材料を決めた例である。
共同名義で発表する
すべての作品はジェイ・オズガビーとの共同名義で発表され、個々の担当は公表されていない。家具、照明、店舗の内装、公共の設置物まで対象は広く、いずれも二人の名で記録される。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
ループ・テーブル(1996年)
合板を曲げて天板と脚を一続きの面で構成した卓である。折り曲げた縁が構造としての剛性を生むため、別に脚を付ける必要がない。二人が最初に製品化した設計で、1997年からカッペリーニが生産している。メトロポリタン美術館が製品と設計図面をあわせて収蔵している。
デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア(2005-06年)
イギリス南岸のベクスヒルにある1935年竣工の建物のために設計した椅子である。塩分と紫外線に耐えるようアルミの鋳造とし、座面に開口を設けて水が抜けるようにした。屋内外の両方で使うという条件から、材料と加工が決まっている。
ティップ・トン(2011年、ヴィトラ)
ポリプロピレンの一体成形による椅子である。脚の底面に角度を付けることで、後傾と前傾の二つの安定位置が生まれる。可動部を持たないため、部品は成形された本体のみになる。機構を形状に置き換えた構成にあたる。→ティップ・トン
トビ・イシ テーブル(2009年、B&Bイタリア)
日本庭園の飛石を参照した卓である。厚みのある天板を、面で接する塊状の脚が支える。線材で支持する構成とは逆に、体積のある部材同士を組み合わせている。→トビ・イシ テーブル
ロンドンオリンピック 聖火リレー用トーチ(2012年)
アルミ合金の板に8,000個の穴を開けた三角断面のトーチである。穴は軽量化と放熱を兼ね、8,000という数は聖火リレーの走者数に対応する。約800グラムに収める必要があり、板厚と穴の配置が重量から決まっている。
評価と影響
バーバー・オズガビーは一般に、建築の教育を受けた設計者が家具の分野で確立した例として評価されている。板を折って立体をつくるという模型の手法を、実寸の製品で成立させた点が挙げられる。
2012年のロンドンオリンピックのトーチは、公共の場で用いられる物の設計として広く知られた。重量と製造数の制約から形が決まっている点で、家具の仕事と方法は共通している。
ヴィトラ、ノル、B&Bイタリア、カッペリーニと複数のメーカーで長期の関係を持つ。作品はすべてジェイ・オズガビーとの共同名義で発表される。
受賞・収蔵
受賞
- 2007年 ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー(英国王立芸術協会)
- 2013年 大英帝国勲章(OBE)
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Met=メトロポリタン美術館、AIC=シカゴ美術館)。いずれもジェイ・オズガビーとの共同名義で登録されている。V&Aの一部はスタジオ名「Barber Osgerby」で登録されている。
- V&A ループ コーヒーテーブル(2000年受入) 収蔵番号 W.2-2000
- V&A ループ シェルフ(2000年受入) 収蔵番号 W.3-2000
- V&A オリンピック トーチ(2012年) 収蔵番号 M.5-2013
- Met ループ・テーブル(1995年設計) 収蔵番号 1999.116
- Met ループ・テーブルの模型(1995年) 収蔵番号 1999.117.3
- Met ループ・テーブルの図面(1995年) 収蔵番号 1999.117.1
- V&A デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア(2005-06年) 収蔵番号 W.30-2008
- V&A ボドリアン図書館 チェア(2016年) 収蔵番号 W.10-2017
- AIC デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア(2006年) 収蔵番号 2009.585
- AIC ティップ・トン チェア(2011年) 収蔵番号 2012.506
作品一覧
いずれもジェイ・オズガビーとの共同設計による。
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1996年 | テーブル | ループ・テーブル | Cappellini |
| 2005-06年 | 椅子 | デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア | Established & Sons |
| 2009年 | テーブル | トビ・イシ テーブル | B&B Italia |
| 2011年 | 椅子 | ティップ・トン | Vitra |
| 2012年 | 公共 | ロンドンオリンピック 聖火リレー用トーチ | ロンドン、イギリス |
| 2013年 | 椅子 | パイロット チェア | Knoll |
| 2016年 | 椅子 | ボドリアン図書館 チェア | オックスフォード、イギリス |
| 2010年代 | ソファ | ヴィトラのためのソファ各種 | Vitra |
プロフィール
| 生年 | 1969年 |
|---|---|
| 出身地 | イギリス・シュルーズベリー |
| 国籍 | イギリス |
| 活動拠点 | ロンドン |
| 分野 | 家具、照明、建築、公共の設置物 |
| 主な協働ブランド | Vitra、Knoll、Cappellini、B&B Italia、Established & Sons |
Reference
- Barber Osgerby(公式)
- https://barberosgerby.com/
- Barber Osgerby | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/designer/edward-barber-and-jay-osgerby
- Barber Osgerby | Knoll
- https://www.knoll.com/designer/Barber-Osgerby
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/