概要
ロナン・ブルレック(1971年生まれ)は、フランスのデザイナーである。1990年代後半から弟のエルワン・ブルレックと共同で設計を行い、2000年代以降の主要な作品はすべて連名で発表されている。単位となる部材を多数連結して面や仕切りをつくる構成を得意とし、アルグやノルド・タイルズがその例にあたる。2024年に共同での活動を終えた。
バイオグラフィー
1971年1月18日、フランスのカンペールに生まれた。パリの国立高等装飾美術学校(ENSAD)で学び、1991年に修了している。
1990年代半ばから単独で設計を始めた。1997年、ミラノでカッペリーニのジュリオ・カッペリーニに見出されている。
1999年から弟のエルワンと共同で設計を行うようになった。以後の作品はすべて連名で発表されている。
2000年からヴィトラとの協働が始まり、アルテック、ヘイ、フロス、マジス、ケッタルなどとも仕事をした。2024年に共同での活動を終え、それぞれ個人での設計に移っている。
デザインの思想と方法
ブルレック兄弟が扱ったのは、単位となる部材を多数連結して大きな面や仕切りをつくるという構成である。一つの単位は小さく単純だが、連結の数と方向で規模も形も変わる。設計者が決めるのは単位の形と連結の方式だけで、全体は使い手が決める。
単位を連結して面をつくる
アルグは、樹脂で成形した枝状の単位を互いに差し込んで面をつくる仕切りである。単位の数を増やせば面積が広がり、差し込む方向を変えれば密度が変わる。壁として完全に閉じることも、疎らにすることもできる。
設計者が全体を決めない
この構成では、最終的な形は使い手が決める。設計者の仕事は、どんな連結でも成立する単位を作ることに移る。単位の形が複雑だと連結の自由度が下がるため、単純さが条件になる。
空間の中に領域をつくる
アルコーヴは、背の高い外殻を持つ長椅子である。壁を建てずに領域を区切る家具で、事務所や共用部で使われる。空間そのものを仕切るのではなく、家具の側で囲いをつくるという方向にあたる。
製造方法から単位を決める
樹脂の射出成形は、同じ形を大量に安く作れる。単位を多数用いる構成は、この工法と相性がよい。金型は一つで済み、数を増やしても単価が上がらない。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
アルグ(2004年、ヴィトラ)
樹脂で成形した枝状の単位を互いに差し込んで面をつくる仕切りである。単位の数と差し込む方向で、面積も密度も変わる。金型は一つで済み、数を増やしても単価が上がらない。ニューヨーク近代美術館とシカゴ美術館が収蔵している。
ヌアージュ(2002年)
単位を積み上げて書架をつくる系列である。単位そのものは棚として働き、積み方で全体の形が決まる。ニューヨーク近代美術館とシカゴ美術館が収蔵している。
ノルド・タイルズ(2005年、クヴァドラ)
布と樹脂の単位を連結して壁面をつくる系列である。吸音の性能を持ち、事務所や公共空間で用いられる。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号444.2006.a-m)。
アルコーヴ(2006年、ヴィトラ)
背と側面の高い外殻を持つ長椅子である。壁を建てずに領域を区切ることができ、事務所や共用部で使われる。家具の側で囲いをつくるという方向にあたる。→アルコーヴ ソファ
ヴェジタル チェア(2009年、ヴィトラ)
枝が絡み合う形を樹脂の一体成形で作った椅子である。枝状の部材が交差して座面と背を構成する。成形の型が複雑になるが、部材は一つで済む。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号2012.505)。→ベジタルチェア
評価と影響
ブルレック兄弟は一般に、2000年代以降のフランスのデザインを代表する設計者と評価されている。単位を連結して全体をつくり、最終的な形を使い手に委ねるという構成が特徴にあたる。
ヴィトラ、アルテック、ヘイ、フロスなど複数の国のメーカーと長期の関係を持つ。作品はすべて連名で発表され、個々の担当は公表されていない。
2024年に共同での活動を終え、それぞれ個人での設計に移っている。約25年にわたる共同の期間に発表された製品は、現在も生産が続いている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、AIC=シカゴ美術館)。いずれもエルワン・ブルレックとの共同名義で登録されている。
- MoMA スクエア ヴェース(1999年) 収蔵番号 2385.2001
- MoMA 鏡付きコンソール(2001年) 収蔵番号 89.2006
- MoMA ヌアージュ 書架(2002年) 収蔵番号 835.2005.1-9
- MoMA アルグ スクリーン(2004年) 収蔵番号 834.2005
- MoMA ノルド・タイルズ(2005年) 収蔵番号 444.2006.a-m
- AIC アルグ(2004年) 収蔵番号 2007.333.1-16
- AIC ヌアージュ モジュール(2004年) 収蔵番号 2007.55.1、2007.55.2、2007.55.3
- AIC クラウド タイルズ(2009年) 収蔵番号 2009.73
- AIC ヴェジタル チェア(2009年) 収蔵番号 2012.505
- AIC ERB S06(2012年) 収蔵番号 2012.510
Met では該当する収蔵は確認できなかった。ポンピドゥーセンターの収蔵については照合手段がない。
作品一覧
いずれもエルワン・ブルレックとの共同設計による。作品の一覧はエルワン・ブルレックのページに共通のものを掲げている。
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 2004年 | 仕切り | アルグ | Vitra |
| 2005年 | 壁面材 | ノルド・タイルズ | Kvadrat |
| 2006年 | ソファ | アルコーヴ ソファ | Vitra |
| 2009年 | 椅子 | ベジタルチェア | Vitra |
| 2010年代 | デスク | Courierデスク | Vitra |
プロフィール
| 生年 | 1971年1月18日 |
|---|---|
| 出身地 | フランス・カンペール |
| 国籍 | フランス |
| 活動拠点 | パリ |
| 分野 | 家具、照明、テキスタイル、空間 |
| 主な協働ブランド | Vitra、Artek、HAY、Flos、Kvadrat、Magis |
Reference
- Bouroullec(公式)
- https://www.bouroullec.com/
- Ronan & Erwan Bouroullec | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/designer/ronan-and-erwan-bouroullec
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- The Art Institute of Chicago Collection
- https://www.artic.edu/collection