概要
スローチェアは、ロナン&エルワン・ブルレックが設計し、ヴィトラが2006年に発表したラウンジチェアである。チューブラースチールのフレームに、成形したニット素材を張る。厚いクッションを用いず、編み地の張力で身体を受ける。
デザインコンセプト
フォームで厚みをつくれば座り心地は得られるが、重量と体積が増す。編み地であれば、荷重で伸びて身体の形に沿う。耐水性と耐UV性を持つポリエステルの編み地を用いる。
編み目のあいだが空くため、雨水が抜ける。屋外でも使用できる。
構造と特徴
ニットの厚さは約2mm。編み方を場所ごとに変えることで、伸びやすい部分と伸びにくい部分が分かれる。荷重の大きい座面は伸びを抑え、身体に沿わせたい部分は伸ばす。一枚の生地のまま、部位ごとに性質が変わる。
4本のダイキャストアルミニウム製の脚のうち、背もたれ側の2本を上へ延長して背の支持とする。脚と背を別部材にすれば接合部が生じるが、延長すれば一本の材が両方を担う。薄い座クッションと2つの背クッションを併用する。
製作プロセス
編み地を筒状に成形してから、スチールのフレームを内側へ通す。生地を裁断して縫い合わせれば縫い目が生じるが、筒として編めば継ぎ目のない面が得られる。フレームを挿入したのち、4本の脚を取り付けて仕上げる。
展開とバリエーション
同じ構造で不透明なファブリックを用いる仕様も展開された。編み目が透けないぶん、内部のフレームが見えなくなる。クッションにはリサイクル繊維が用いられる。ソファの仕様も加えられた。
クッションにはリサイクル可能なポリウレタンフォームが用いられる。オットマンも用意されている。
評価と影響
編み地の張力で身体を受ける構成は、帯を渡すマットソン エヴァ・チェアと近い方向にある。あちらは帯のあいだが空くのに対し、こちらは連続した面で受ける。同じブルレック兄弟によるプルーム ソファは、伸縮する生地をフォームの上に張る点が異なる。
スローチェアの美術館収蔵は、公開情報の範囲では確認できていない。
設計思想や経歴について詳しくはロナン・ブルレック、エルワン・ブルレックの各プロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan & Erwan Bouroullec) |
|---|---|
| ブランド | ヴィトラ(Vitra) |
| 発表年 | 2006年 |
| 分類 | ラウンジチェア |
| フレーム/カバー | チューブラースチールフレーム、精密に成型されたニット素材カバー |
| クッション | ポリウレタンフォーム、ポリエステル繊維(シートクッション1つ、バッククッション2つ付属) |
| ベース | ダイキャストアルミニウム製(ポリッシュ仕上げまたはパウダーコート仕上げ) |
| 素材オプション | ニットファブリック、Floccaブークレファブリック |
| サイズ | 幅950mm × 奥行930mm × 高さ890mm(座面高約330mm) |
| 製造国 | ドイツ |