概要

エルワン・ブルレック(1976年生まれ)は、フランスのデザイナーである。美術の課程を経て、1999年から兄のロナン・ブルレックと共同で設計を行った。2000年代以降の作品はすべて連名で発表されている。工業材料と手仕事の工程を組み合わせ、量産の枠内で個体差を残す構成を扱った。2024年に共同での活動を終えている。

バイオグラフィー

1976年5月10日、フランスのカンペールに生まれた。パリ近郊のセルジー=ポントワーズ国立高等美術学校で学んでいる。

在学中の1999年から、5歳年上の兄ロナンの設計に加わった。以後の作品はすべて連名で発表されている。

扱う対象は家具に加えて、店舗の内装、展示、公共空間の設置物にも及ぶ。相手先のメーカーごとに生産設備が異なるため、構成もそれに応じて変わる。

2024年に共同での活動を終え、それぞれ個人での設計に移った。

デザインの思想と方法

ブルレック兄弟の設計では、成形や押出といった工業の工程と、編む・組む・折るといった手作業の工程が同じ製品に同居することが多い。前者は同一のものを大量に作り、後者は個体差を生む。両者をどう配分するかが、製品の性格を決める。

工業と手仕事を同じ製品に置く

カーリの系列では、押出材の金属と無垢材を組み合わせる。金属は寸法が正確に出るが、木は個体ごとに木目が違う。役割を分けることで、精度と個体差を同時に確保できる。

数を増やしても単価が上がらない構成

単位を連結する構成では、金型は一つで済む。数を増やしても製造の単価が変わらないため、大きな面をつくっても価格が跳ね上がらない。工業の工程を使う理由がここにある。

用途を後から決められるようにする

パリサードの系列は屋外用の家具だが、鋼板を打ち抜いて曲げた部材で構成され、屋内でも使える。設置場所を限定しないことで、同じ製品が複数の状況に対応する。

連名で発表する

1999年以降の作品はすべてロナンとの連名で発表され、個々の担当は公表されていない。2024年に共同での活動を終えるまで、この形式が続いた。

代表作にみる方法

カーリ コレクション(2015年、アルテック)

押出材の金属と無垢材を組み合わせた棚と机の系列である。金属の部材が壁面との取り合いを担い、木の面が物を載せる。金属は寸法が正確に出て、木は個体ごとに木目が違う。役割を分けることで精度と個体差を両立させている。→カーリ ウォールシェルフ / カーリデスク

パリサード(2015年、ヘイ)

鋼板を打ち抜いて曲げた部材で構成する屋外用の家具である。開口があるため水が抜け、粉体塗装で耐候性を確保する。屋内でも使えるため、設置場所を限定しない。→パリサードチェア / パリサード テーブル

スロー チェア(2007年、ヴィトラ)

金属の枠に、筒状に編んだ布を被せた椅子である。編んだ布は伸びるため、複雑な曲面にも皺なく張れる。枠が荷重を受け、布が身体に触れる面を担う。→スローチェア

ベルヴィル(2015年、ヴィトラ)

樹脂の枠に、布や革の面を張る椅子である。枠は成形で作り、面は差し替えられる。同じ枠で複数の仕様が構成できる。→ベルヴィル チェア

プルーム(2011年、リーニュ・ロゼ)

厚い詰め物を布で包んだ長椅子である。縫製の線を最小限に抑え、面が連続する。柔らかさを体積で確保するという構成にあたる。→プルーム ソファ

評価と影響

ブルレック兄弟の仕事は、工業の工程と手作業の工程を同じ製品に置くという構成で論じられる。どちらか一方に寄らず、役割を分けて配分する点が特徴にあたる。

ヴィトラ、アルテック、ヘイ、フロス、リーニュ・ロゼと複数の国のメーカーと長期の関係を持つ。それぞれ生産設備が異なるため、相手先に応じて構成を変える必要がある。

2024年に共同での活動を終えた。約25年にわたる期間に発表された製品は、現在も生産が続いている。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。ロナン・ブルレックとの共同名義で登録されているものを含む。

  • MoMA スクエア ヴェース(1999年) 収蔵番号 2385.2001
  • MoMA 鏡付きコンソール(2001年) 収蔵番号 89.2006
  • MoMA ヌアージュ 書架(2002年) 収蔵番号 835.2005.1-9
  • MoMA アルグ スクリーン(2004年) 収蔵番号 834.2005
  • MoMA ノルド・タイルズ(2005年) 収蔵番号 444.2006.a-m
  • V&A セリフ(2013-15年) 収蔵番号 W.5-2022
  • AIC アルグ(2004年) 収蔵番号 2007.333.1-16
  • AIC ヌアージュ モジュール(2004年) 収蔵番号 2007.55.1、2007.55.2、2007.55.3
  • AIC クラウド タイルズ(2009年) 収蔵番号 2009.73
  • AIC ヴェジタル チェア(2009年) 収蔵番号 2012.505
  • AIC ERB S06(2012年) 収蔵番号 2012.510

Met では該当する収蔵は確認できなかった。

作品一覧

いずれもロナン・ブルレックとの共同設計による。

発表年 区分 作品名 ブランド
2006年 ソファ アルコーヴ ソファ Vitra
2006年 ソファ アルコーヴ キャビン Vitra
2007年 椅子 スローチェア Vitra
2007年 ソファ スロー ソファ Vitra
2008年 ソファ ソフトシェル ソファ Vitra
2009年 椅子 ベジタルチェア Vitra
2011年 ソファ プルーム ソファ Ligne Roset
2013年 デスク コペンハーゲン デスク HAY
2013年 テーブル コペンハーグ ダイニングテーブル HAY
2015年 収納 カーリ ウォールシェルフ Artek
2015年 デスク カーリデスク Artek
2015年 椅子 ベルヴィル チェア Vitra
2015年 屋外家具 パリサードチェア HAY
2015年 屋外家具 パリサード テーブル HAY
2010年代 照明 エイム ペンダントランプ Flos

プロフィール

生年 1976年5月10日
出身地 フランス・カンペール
国籍 フランス
活動拠点 パリ
分野 家具、照明、テキスタイル、空間
主な協働ブランド Vitra、Artek、HAY、Flos、Ligne Roset、Magis

Reference

Bouroullec(公式)
https://www.bouroullec.com/
Ronan & Erwan Bouroullec | Artek
https://www.artek.fi/en/company/designers
Bouroullec | HAY
https://hay.dk/en/hay/designers
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/