B&B Italia(ビーアンドビー・イタリア)
B&B Italiaは、イタリア・コモ県ノヴェドラーテに本社と工場を置く家具メーカーである。1966年、Piero Ambrogio BusnelliがCesare Cassinaとの合弁でC&B Italiaとして設立した。冷間発泡によるポリウレタンフォームの型成形を張り地家具の量産に導入したことが事業の出発点にあたり、木枠と手作業の詰め物を前提としていた従来の造形の制約を外した。1973年にBusnelliがCassinaの持分を取得し、社名を現在のものに改めている。2018年以降はInvestindustrialとCarlyleが共同で保有する持株会社の傘下にある。
事業と製造の実体
本社と生産拠点はノヴェドラーテにある。1971年にRenzo PianoとRichard Rogersが設計した建物で、構造体を外に出し設備の配管を色分けして露出させる構成を採る。両者がポンピドゥー・センターの設計に着手していた時期と重なる。同じ敷地に研究開発部門が置かれ、素材と工法の検討が製品開発と並行して行われる。
製造技術の中核は、ポリウレタンフォームの冷間発泡成形である。Busnelliはロンドンの見本市で樹脂成形による玩具の製造工程を見て、これを家具に転用する着想を得た。素材メーカーとの協議を経て導入されたこの方法では、原料を型に注いで常温で発泡させるため、木枠に綿や羽毛を詰める従来の工法では作れなかった曲面と厚みの変化が可能になる。座り心地を決める硬さの分布も、型と配合の設計によって制御される。
この工法は、外皮を張り替えられる構造の設計とも結びつく。成形した芯材の形状が構造を兼ねるため、金属や木の骨組みを最小限に抑えた製品が成立する。近年は張り地と芯材の分離を前提とした構成が採られ、素材ごとの回収を想定した設計が進められている。
沿革
C&B Italiaとしての出発
Piero Ambrogio Busnelliは1950年代から兄弟とともに椅子の製造業を営んでいたが、手作業を前提とする地域の同業者とは異なる方向を選び、1966年にCesare Cassinaとの合弁でC&B Italiaを設立した。狙いは張り地家具の工業化にあり、冷間発泡ポリウレタンの成形設備を導入して量産の体制を組んだ。
初期の製品には、Afra & Tobia Scarpaによるコロナード、Gaetano PesceによるUP5_6 アームチェア&オットマン(1969年)、Mario Belliniによるル・バンボーレ(1972年)がある。いずれも成形したポリウレタンの塊が形と構造を兼ねる構成で、新しい工法によって初めて成立した造形にあたる。
B&B Italiaへの改組
1973年、BusnelliはCassinaの持分を買い取り、社名をB&B Italiaへ改めた。同じ年、ノヴェドラーテの新しい本社建物が稼働している。以後、研究開発部門を社内に維持し、素材と工法の検討を製品開発の前段に置く体制が定着した。
受賞では、1972年のLe Bambole、1983年のStudio KairosによるSisamo、1987年のAntonio CitterioによるSityがそれぞれコンパッソ・ドーロを受けている。1989年には企業に対して同賞が授与された。
資本構成の変化
2015年、投資会社InvestindustrialがB&B Italiaの株式の多数を取得した。同社の下で2016年に高級厨房のArclinea、2018年にAzucenaを取得している。2018年、B&B ItaliaはFlos、Louis Poulsenとともに、InvestindustrialとThe Carlyle Groupが設立した持株会社Design Holdingの傘下に入った。同社は2024年5月にFlos B&B Italia Groupへ改称している。
デザイナーとの協働
B&B Italiaの製品開発は、社内の研究開発部門と外部の設計者の往復によって進む。工法の制約が少ない反面、成形の型は製品ごとに起こす必要があるため、設計案の検討には試作と素材の評価が伴う。同社は当時まだ実績のなかった設計者を起用してきたことでも知られ、Renzo PianoやAntonio Citterioは初期の協働相手にあたる。
20世紀の協働相手にはAfra & Tobia Scarpa、Mario Bellini、Gaetano Pesce、Vico Magistretti、Marco Zanuso、Paolo Pivaが挙げられる。現行世代ではAntonio Citterio、Patricia Urquiola、Naoto Fukasawa、Piero Lissoniらとの協働が続く。
Antonio Citterioの設計思想や経歴について詳しくはAntonio Citterioプロフィールページをご覧ください。
Gaetano Pesceの設計思想や経歴について詳しくはGaetano Pesceプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
張り地家具が製品の中心を占める。C&B期の製品ではコロナード、UP5_6 アームチェア&オットマン、ル・バンボーレ、Mario Belliniのカマレオンダがあり、いずれも成形ポリウレタンの特性を前提とした構成を採る。
Antonio Citterioの設計では、チャールズ ソファとチャールズ ベッド、タフティー コレクションとしてまとめられるタフティータイムとタフティー ベッド、ディエシスがある。Patricia Urquiolaのハスクチェアとハスク・ベッド、ベンド・ソファ、ファットソファ アウトドア、深澤直人のクラウドとトビ・イシ テーブルも現行の製品にあたる。卓ではPaolo Pivaのアランダ・テーブルがある。
製品は住宅向けのほか、屋外用と業務用の系統に分かれる。同じ持株会社にはMaxalto、Arclinea、Azucenaが属し、それぞれ別のブランドとして運営される。
基本情報
| ブランド名 | B&B Italia(ビーアンドビー・イタリア) |
|---|---|
| 設立 | 1966年(設立時の社名はC&B Italia) |
| 創業者 | Piero Ambrogio Busnelli(Cesare Cassinaとの合弁) |
| 社名変更 | 1973年にB&B Italiaへ改称 |
| 本社所在地 | イタリア・コモ県ノヴェドラーテ |
| 資本関係 | Flos B&B Italia Group(旧Design Holding)傘下。同グループはInvestindustrialとCarlyleが共同保有 |
| 事業内容 | 家具の設計、製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.bebitalia.com |
Reference
- B&B Italia - History
- https://www.bebitalia.com/en-us/history
- Metropolis - Piero Ambrogio Busnelli, Founder of B&B Italia, Dead at 87
- https://metropolismag.com/projects/piero-ambrogio-busnelli-founder-bb-italia-dead-87/
- Interior Design - Piero Ambrogio Busnelli, Founder of B&B Italia, Dies at 87
- https://interiordesign.net/designwire/piero-ambrogio-busnelli-founder-of-bb-italia-dies/
- Carlyle - Investindustrial and The Carlyle Group create new high-end interior design group
- https://www.carlyle.com/media-room/news-release-archive/investindustrial-and-carlyle-group-create-new-high-end-interior