設計や商標についての権利を持つ者から許諾を受けた企業が、その製品を自社の設備で製造し、権利者に対価を支払う方式のこと。

ライセンス生産

ライセンス生産とは、設計や商標についての権利を持つ者から許諾を受けた別の企業が、その製品を自社の設備で製造し、権利者に対価を支払う方式のこと。許諾する側をライセンサー、許諾を受ける側をライセンシーと呼ぶ。

解説

許諾の範囲は、対象となる製品、地域、期間、独占か非独占かといった条件によって定められる。日本の法制度では、特許権や意匠権について、許諾を受けた者だけが実施できる専用実施権と、独占性を伴わない通常実施権とが区別されている。対価は契約時の一時金と、販売数量または売上に応じて支払われるロイヤリティを組み合わせる形が多い。家具の場合、許諾の根拠となるのは意匠権や著作権のほか、製品名やブランド名についての商標であり、設計者本人ではなく遺族や財団が権利を管理している例も少なくない。

20世紀の家具産業でこの方式が広く用いられた背景には、輸送費と輸入関税がある。かさのある家具を完成品のまま運ぶより、販売先の国の製造業者に作らせるほうが費用を抑えられ、関税障壁も避けられる。そのかわり、離れた工場で同じ品質を出す手立てが要る。金型や治具をライセンサーが製作して送り、材料の指定と工程を記した手順書を添える方法が採られた。英国のHilleは1970年代初頭に30か国の許諾先を持ち、英国で製作した射出成形用の金型を各国へ送って生産させている。

現在も、同じ設計について地域ごとに製造販売権を分ける例や、生産の途絶えた設計を権利を管理する財団の許諾のもとで再び作る例がある。契約の内容そのものは公表されないことが多いため、ある製品が許諾を受けて作られているかどうかは、製造者または権利者が公表する資料で確かめるほかない。

混同されやすい語との違い

OEM(相手先ブランドによる製造)
発注した側のブランドで販売するために、受注した側が製造すること。設計と販売の主体は発注者にあり、許諾を受けた側が自らの判断で市場に出すライセンス生産とは関係の向きが異なる。
復刻
生産が途絶えた製品を再び生産すること。誰が作るかを問わない語であり、権利者自身による復刻も、許諾を受けた企業によるライセンス生産としての復刻もある。
リプロダクト
保護期間が満了した設計を、権利者の許諾を得ずに製造・販売する製品を指す語。許諾を受けているかどうかが、ライセンス生産との分かれ目になる。

Reference

知的財産権制度入門テキスト 第1章第4節 特許権等の活用(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/2021_nyumon/1_4.pdf
技術移転とライセンシング(特許庁/発明協会アジア太平洋工業所有権センター)
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/developing/training/textbook/document/index/Technology_Transfer_and_Licensing2011_jp.pdf
Hille - History of Hille
https://www.hille.co.uk/history

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