ClassiCon / クラシコン ― クラシックとコンテンポラリーの対話が紡ぐ、時代を超えるデザイン

ClassiCon(クラシコン)は、「Classic」と「Contemporary」を融合させたその名が示すとおり、近代デザインの古典的名作と現代の先鋭的なデザインを一つのコレクションのもとに共存させる、ドイツ・ミュンヘン発の家具メーカーです。1990年の設立以来、アイリーン・グレイやエッカート・ムテジウスといった20世紀モダニズムの巨匠たちが遺した作品群を正規ライセンスのもとで製造する一方、コンスタンティン・グルチッチ、セバスチャン・ヘルクナー、ネリ&フーといった現代を代表するデザイナーたちとの協働を積極的に推進してきました。

クラシコンの家具は、ミュンヘンの伝統的な工芸精神と、ドイツ北イタリアの熟練した職人技術によって一点一点丁寧に製造されます。クラシックコレクションのすべての製品には消えない刻印とシリアルナンバーが付与され、厳格な品質管理を経たクラシコンの署名は、最高水準の素材と製造品質の証として機能しています。良質な家具とは良き友人のようなものであり、人生のあらゆる場面で寄り添い、世代を超えて受け継がれていく存在である――この信条のもと、クラシコンは35年にわたりデザインの本質を追求し続けています。

ブランドの特徴・コンセプト

クラシコンのブランド哲学の核心は、古典と現代の間に生まれる緊張感のある対話にあります。1920年代のアイリーン・グレイによるチューブラースチール家具と、2010年代のセバスチャン・ヘルクナーによる吹きガラスのテーブルが同一のカタログに並ぶとき、そこには単なる懐古趣味でも流行への追随でもない、時代を超えたデザインの本質が浮かび上がります。

クラシックとコンテンポラリーの共存

クラシコンは、既に評価の定まったデザインクラシックスを忠実に再現するだけでなく、まだ無名の段階にある才能あるデザイナーの革新的なアイデアに投資することを信条としています。新しい造形のアイデアがもつ魅力は、作者の知名度よりも重要であるという確信のもと、時代を超えて市場で存在感を発揮しうるデザインだけが、コレクションに加えられます。コンスタンティン・グルチッチが1990年代末にまだ無名であった時代からクラシコンとの協働を開始し、やがて世界的なデザイナーへと成長していった経緯は、このブランド哲学を象徴するエピソードです。

正規ライセンスと品質保証

クラシコンは、ロンドンのアラム・デザインズ社(Aram Designs Ltd.)との契約に基づき、アイリーン・グレイのデザインを製造する世界唯一の正規ライセンシーです。クラシックコレクションに属するすべての家具には消えない刻印が施され、固有のシリアルナンバーが付与されます。この署名は、厳選された高品質な素材の使用、環境基準を遵守した製造工程、そして厳格な品質管理を経た正規品であることを保証するものです。

サステナビリティへの取り組み

クラシコンの製品はドイツおよび北イタリアの協力工場で製造されており、その多くは数世代にわたって事業を営む家族経営の小規模工房です。すべてのサプライヤーは国際労働機関(ILO)の基準を遵守し、EUの厳格な安全・環境・労働条件に関する規制に準拠しています。使用される木材は主にドイツの持続可能な森林管理に基づいて調達され、皮革はバイエルン地方の小規模農場から食肉生産の副産物として供給されます。長寿命な製品を生み出すことそのものが、資源保全への最大の貢献であるというのがクラシコンの立場です。

ブランドヒストリー

前史:フェアアイニクテ・ヴェルクシュテッテンの遺産

クラシコンの起源は、1898年にミュンヘンで設立されたフェアアイニクテ・ヴェルクシュテッテン・フュア・クンスト・イム・ハントヴェルク(Vereinigte Werkstätten für Kunst im Handwerk)にまで遡ります。ユーゲントシュティール運動の理念のもと、大量生産に対抗して手工芸の芸術性を守ることを使命としたこの団体は、約一世紀にわたりミュンヘンの工芸文化を支えてきました。

1990年:クラシコンの誕生

フェアアイニクテ・ヴェルクシュテッテンの解散が見込まれるなか、同団体の理事会メンバーであり、ミュンヘン・デザインセンターの創設者でもあったシュテファン・フィッシャー・フォン・ポトゥルツィン(Stephan Fischer von Poturzyn)は、1990年にクラシコンを設立しました。彼がヴェルクシュテッテンから引き継いだアイリーン・グレイ、オットー・ブリューメル、エッカート・ムテジウス、ヘルベルト・H・シュルテスの作品に関するライセンス契約が、新会社のコレクションの礎となりました。

2000年代:オリヴァー・ホーリーの時代

2000年に、ファッションブランド ヒューゴ・ボスのオーナー家であるホーリー家がクラシコンを取得しました。若きオリヴァー・ホーリー(Oliver Holy)が経営に参画し、デザイン、建築、アートに対する深い情熱をもって、クラシックコレクションに新たなコンテンポラリーデザインを融合させる路線を推進しました。彼のリーダーシップのもと、コンスタンティン・グルチッチ、セバスチャン・ヘルクナー、ネリ&フー、ジャダー・アルメイダといった国際的なデザイナーとの協働が次々と実現し、クラシコンのコレクションは飛躍的に拡充されました。

2003年〜現在:ミュンヘン本社とグローバル展開

2003年以降、クラシコンのショールーム、オフィス、倉庫は建築家ヨアヒム・ユルケ(Joachim Jürke)が設計した建物に置かれています。ガラス、コンクリート、木といった素直な素材と、空調設備を排した簡素な美学は、本質に集中するというクラシコンの理念を建築として体現しています。現在クラシコンは60カ国以上で展開しており、チューリッヒ、ソウル、シドニー、東京にショールームを構えています。2024年半ばからは、オリヴァー・ホーリーとCEOのティモテウス・ギューナク(Timotheus Günak)による共同経営体制のもとで、ファミリー企業としての新たな章を歩み始めています。

主なインテリアとその特徴

アジャスタブルテーブル E 1027(1927年)― アイリーン・グレイ

20世紀のデザインアイコンとして広く知られるこのサイドテーブルは、アイリーン・グレイが南フランスに自身とパートナーのジャン・バドヴィチのために建てた別荘「E 1027」のためにデザインしたものです。その名称は二人の名前を暗号化したもので、「E」はアイリーン(Eileen)、「10」はジャン(Jeanの頭文字Jはアルファベットの10番目)、「2」はバドヴィチ(Badovici)のB、「7」はグレイ(Gray)のGを表しています。クロームメッキのスチールチューブフレームとガラス天板からなる高さ調節可能な構造は、機能性と造形美を高い次元で統合しており、1978年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに収蔵されました。クラシコンは、アラム・デザインズ社の認可のもと、本製品を世界で唯一正規に製造しています。

ビベンダムチェア(1926年)― アイリーン・グレイ

ミシュランの広告キャラクターを想起させるその造形から、グレイ自身がユーモアを込めて「ビベンダム」と命名したアームチェアです。その堂々とした佇まいにもかかわらず魅力的な調和を保ち、威厳と軽やかさを併せ持つ類まれな存在感を放ちます。クロームメッキのスチールチューブとビーチ材のフレームにポリウレタンフォームの座面を組み合わせた構造は、アール・デコからモダニズムへの過渡期における革新的な表現として、デザイン史上に独自の位置を占めています。

ベルサイドテーブル / ベルコーヒーテーブル(2012年)― セバスチャン・ヘルクナー

素材の常識を覆す発想から生まれたベルテーブルは、軽くて脆いはずのガラスを台座として用い、その上に金属のトップを載せるという大胆な構成が特徴です。伝統的な木型を用いて手吹きで成形されるカラーガラスの台座は、空間のなかで彫刻的な存在感を主張し、上部の真鍮または黒塗装スチールフレームとの間に魅力的なコントラストを生み出します。ベルの優美なシルエットを想起させる一体感あるフォルムと、豊かな色彩バリエーションにより、発表以来瞬く間にクラシコンの現代コレクションを代表するアイコンとなりました。セバスチャン・ヘルクナーはこのテーブルによって国際的な名声を確立し、現在は世代を代表するデザイナーの一人として広く評価されています。

マースチェア(2003年)― コンスタンティン・グルチッチ

直角を徹底的に排した表面ジオメトリは、見る角度ごとに新たな表情を見せるという、唯一無二の造形体験を提供します。硬質ポリウレタンの外殻にスチールチューブと密度の異なるポリウレタンフォームの座面を組み合わせた構造は、前衛的な外観でありながら日常的な着座の快適性を十全に満たしています。グルチッチの彫刻的ミニマリズムの到達点として、発表から20年以上を経た現在も高い評価を受けています。

ヴィーナスチェア(2006年)― コンスタンティン・グルチッチ

「1001脚目のおとなしい四脚チェアをデザインするのは退屈すぎる」というグルチッチの信条から生まれたこのチェアは、二枚の成形合板シェルを知的に組み合わせた新しいタイプの椅子です。明るい木目と滑らかな輪郭を持ちながら驚くほど軽量であり、ダイニングルームや会議室に洗練された個性をもたらします。

エウヴィラ ロッキングチェア / ラウンジチェア(2013年/2015年)― ジャダー・アルメイダ

ブラジルのデザイナー、ジャダー・アルメイダによるエウヴィラは、1960年代〜70年代のブラジルモダニズムの巨匠たちの伝統を現代に引き継ぐ作品です。オーク材のフレームに紐で編まれた座面を組み合わせた構造は、堅牢さと軽やかさの間に魅力的な緊張感を生み出します。ダークオークに黒い紐の仕上げではブラジルの伝統を、ライトオークに麻色の紐ではスカンディナヴィアンデザインを彷彿とさせる、多面的な表情を持つ作品です。IFプロダクトデザインアワードおよびレッドドットデザインアワードを受賞しています。

ニンフェンブルク コートスタンド(1908年)― オットー・ブリューメル

オットー・ブリューメルが1908年にデザインしたコートスタンドは、クラシコンのアクセサリーコレクションを代表する作品です。100年以上前の作品でありながら、そのエッセンシャルなスタイルと機能性は現代のインテリアにも違和感なく調和する、長寿デザインの傑出した事例です。

コルカーシリーズ ― ヘルツォーク&ド・ムーロン

世界的建築事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンがデザインしたコルク製のスツールコレクションは、シャンパンボトルのコルクを想起させるユーモラスなフォルムが特徴です。著名な建築家との協働による家具デザインという、クラシコンならではのアプローチを体現しています。

主なデザイナー

クラシック・コレクション

アイリーン・グレイ(Eileen Gray, 1878–1976)
アイルランド出身の建築家・デザイナー。モダニズムの先駆者として、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、マルセル・ブロイヤーと並び称される唯一の女性デザイナー。ロンドン王立芸術協会より「ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー」の称号を授与された。アジャスタブルテーブル E 1027、ビベンダムチェア、デイベッド、チューブライト、ボナパルトチェアなど、クラシコンの中核をなす多数の名作を残している。
エッカート・ムテジウス(Eckart Muthesius, 1904–1989)
ドイツの建築家。1930年代にインドールのマハラジャ宮殿「ジュエル・ガーデン」のためにデザインしたバウハウスの影響を受けた家具群で知られる。サティッシュ バースツールやバヌ スツールなどをクラシコンが製造している。
オットー・ブリューメル(Otto Blümel, 1881–1973)
ドイツのデザイナー。1908年にデザインしたニンフェンブルク コートスタンドは、機能性とエッセンシャルな美しさを備えた長寿デザインの代表例である。
ヘルベルト・H・シュルテス(Herbert H. Schultes, 1926–2022)
ドイツのインダストリアルデザイナー。1990年代にデザインしたオルビスランプなどがクラシコンのコレクションに含まれている。

コンテンポラリー・コレクション

コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic, 1965–)
ミュンヘン生まれのインダストリアルデザイナー。英国パーナム・カレッジで家具製作を学び、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザインを修了。1991年にKGIDスタジオを設立し、同年クラシコンとの協働を開始。以来30年以上にわたるパートナーシップのなかで、カオスチェア、マースチェア、ヴィーナスチェア、オーディンソファ、パラステーブル、ダイアナサイドテーブル、ウリッセデイベッドなど数多くの作品を発表。コンパッソ・ドーロ受賞歴を持ち、MoMAの永久コレクションにも作品が収蔵されている。
セバスチャン・ヘルクナー(Sebastian Herkner, 1981–)
オッフェンバッハ造形大学を卒業後、2006年に自身のスタジオを設立。2012年にクラシコンのためにデザインしたベルテーブルで国際的な名声を確立した。同世代で最も重要なデザイナーの一人と広く評価され、ベルサイドテーブル、ベルコーヒーテーブル、ベルライトなど、クラシコンの現代コレクションを象徴する作品群を手がけている。
ネリ&フー(Neri&Hu)
上海を拠点とする建築・デザイン事務所。クラシコンのためにランタンランプなどを手がけ、東洋の伝統美と現代的なデザイン言語の融合を実現している。
ジャダー・アルメイダ(Jader Almeida, 1981–)
ブラジルのデザイナー。明快なフォルムと時代を超えた美意識を特徴とする作風で知られる。クラシコンのためにデザインしたエウヴィラ ロッキングチェア / ラウンジチェアは、IFプロダクトデザインアワードおよびレッドドットデザインアワードを受賞。
ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)
スイスの世界的建築事務所。プリツカー賞受賞。コルカーコレクションのデザインを担当し、建築的思考を家具スケールに翻訳する試みとして注目を集めた。
バーバー・オズガビー(Barber Osgerby)
エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーによる英国のデザインスタジオ。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート出身。クラシコンのためにサターン コートスタンドなどを手がけている。
ザウアーブルッフ・ハットン(Sauerbruch Hutton)
ルイーザ・ハットンとマティアス・ザウアーブルッフによる建築事務所。ミュンヘン ラウンジチェア、ミュンヘン アームチェア、ミュンヘン テーブルなど、建築的発想に基づく家具シリーズをクラシコンと共同開発した。
ヴィクトリア・ヴィルモット(Victoria Wilmotte)
フランスのデザイナー。プリサイドテーブルなど、幾何学的なエレガンスを特徴とする作品をクラシコンのために制作している。

基本情報

ブランド正式名 ClassiCon(クラシコン)
設立 1990年
創業者 シュテファン・フィッシャー・フォン・ポトゥルツィン(Stephan Fischer von Poturzyn)
現経営者 オリヴァー・ホーリー(Oliver Holy)、ティモテウス・ギューナク(Timotheus Günak, CEO)
所在地 ドイツ・ミュンヘン
事業内容 家具、照明、ラグ、アクセサリーのデザイン・製造・販売
製造拠点 ドイツ、北イタリア
海外ショールーム チューリッヒ、ソウル、シドニー、東京
展開国数 60カ国以上
公式サイト https://www.classicon.com