概要
ループ・テーブルは、エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーが1996年に発表した低いテーブルである。側面から見ると成形合板の板が一周して輪を描き、囲まれた内側が雑誌などの置き場になる。二人が家具として世に出した最初の製品にあたる。
製造を引き受けたのは、ロンドン西部で合板家具をつくっていたウィンドミル・ファニチャーだった。同社は1930年代のアイソコンの家具を復刻していた会社で、この卓の発売を機にアイソコン・プラスの名が立ち上がる。現在もアイソコンが受注生産を続けており、表面の突板はバーチ・オーク・ウォールナットの3種から選べる。
特徴とコンセプト
板を輪にして内側を使う
設計の条件は、レストランのロビーに置く低いテーブルで、灰皿と雑誌を収められることだった。天板の下に棚板を渡して箱をつくれば収納は得られるが、脚と箱と天板という三つの部材が要る。二人が採ったのは、板そのものを輪にして、囲まれた空間をそのまま収納に充てる構成である。最初の模型は、厚紙を折り、切り込みを入れて差し合わせただけのものだった。
ファイドンから出た二人の作品集によれば、この白い紙の案は、学生時代に住んでいたロンドンのトレリック・タワーから来ている。空間をどう占めるかという主題を扱ったブルータリズムの集合住宅に、二人は関心を寄せていた。
二枚のU字を継いで輪にする
素材に合板が選ばれたのは、見え方と曲げやすさによる。バーバーは、子どもの頃に乗った合板製のディンギーを引き合いに出している。ただし、閉じた輪を一部材で成形することはできなかった。解決したのはウィンドミル・ファニチャーのクリス・マッコートで、7枚の単板を重ねた広いU字を二つつくり、型のなかで押し合わせて一続きの輪とする方法に行き着いた。
継ぎ目は両側面に来る。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は収蔵品の記録に、この線は非常に細く、ほとんど見えないと書いている。
脚を輪の内側に差し込む
天板を支えるのは、輪の内側に差し込まれた7枚合わせの板2枚である。2枚は向かい合う側から入り、奥行600mmのうち380mmほどを渡って、向かいの縁まで220mmを残して止まる。内部が左右に閉じきらないため、どちらの側からも手が入る。
板の位置は左右対称で、それぞれが内部を350mmと965mmに分ける。支えが両端から350mmの二点に寄るぶん、輪の端は内側に支えを持たない持ち出しになる。1枚の板が脚と仕切りを兼ねるため、外から見える部材は輪だけで足りる。
エピソード
予算の尽きた依頼から
バーバーとオズガビーは1994年に王立芸術学院(Royal College of Art)を出て組んだばかりで、最初の仕事はロンドン・サウスケンジントンの飲食店の内装だった。ロビーに置く卓もそこで設計したが、施主の予算では製作まで手が届かなかった。卓は作られずに残り、二人は自ら作り手を見つけて製品に仕立て直すことになる。
アイソコンの再起動
組んだ相手のウィンドミル・ファニチャーは、マルセル・ブロイヤーらが1930年代にアイソコンのために設計した家具を復刻しており、成形合板の扱いに慣れていた。発売は1996年。バーバー・オズガビーによれば、アイソコンが新しい設計の家具を製造・販売するのは、1963年にペンギン・ドンキーが作り直されて以来のことで、これを機にアイソコン・プラスという会社が立ち上がっている。
ブースに置かれた1台
1997年、二人はロンドンの見本市100% Designで『Wallpaper*』誌のブースの設計を担当し、そこにこの卓を置いた。目に留めたのはイタリアのジュリオ・カッペリーニで、卓は同じ年のうちにカッペリーニのカタログに加わる。以後、同じ輪の構成を使ったデスク・棚・ベンチ・シェーズロングが続き、二人とイタリアの家具産業との関係はここから始まった。
評価と影響
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、ループの一群を、簡素で軽く機能に沿った1990年代のロフト的な住まいと結びつけて説明している。輪郭が途切れず部材が少ないことから、モダニズムの家具との近さが指摘されることもある。
仕上げは段階的に増えた。発売から18か月のあいだ選べたのはバーチのみで、その後に濃い杢のウォールナット突板と白い塗装が加わっている。同館が1999年製の個体を収める際、バーバーは3種のうちバーチのものが最も適切だと考えた、と記録は伝える。
2021年には、発売から25年に合わせて青く着色した仕様がアイソコン・プラスから出された。
受賞歴・収蔵
1997年、ニューヨークのインターナショナル・コンテンポラリー・ファニチャー・フェアで、この卓は二人に「Best New Designers」の賞をもたらした。
収蔵は以下が確認できる。
- ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 ループ コーヒーテーブル(1996年設計/1999年製造) 収蔵番号 W.2-2000
- メトロポリタン美術館 ループ テーブル(1996年9月製造) 収蔵番号 1999.116
- メトロポリタン美術館 設計図2点・模型1点(1995年) 収蔵番号 1999.117.1〜1999.117.3
メトロポリタン美術館の本体を寄贈したのは、輪の接合を担ったウィンドミル・ファニチャーのクリス・マッコートである。同館は設計の時期を1995年10月と記録しており、発表年として通用している1996年とは1年のずれがある。収蔵された模型の素材は紙で、厚紙の模型から始まったという経緯と重なる。
同じ輪の構成による棚も、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に収蔵されている(収蔵番号 W.3-2000)。
二人の設計思想や経歴について詳しくはエドワード・バーバー、ジェイ・オズガビーの各プロフィールページをご覧ください。
アイソコンの歴史や他の製品について詳しくはアイソコンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | エドワード・バーバー、ジェイ・オズガビー |
|---|---|
| 製造 | アイソコン(発売時はウィンドミル・ファニチャー) |
| 発表年 | 1996年 |
| デザインの成立国 | イギリス |
| 主要素材 | バーチ合板(表面の突板はバーチ、オーク、ウォールナット) |
| サイズ | 幅1350mm × 奥行600mm × 高さ290mm |
| 重量 | 16kg |
| 収蔵美術館 | ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(収蔵番号 W.2-2000)、メトロポリタン美術館(収蔵番号 1999.116、1999.117.1〜1999.117.3) |
Reference
- Loop Table | Isokon Furniture
- https://www.isokon.furniture/products/loop-table
- Loop table | Barber Osgerby
- https://barberosgerby.com/work/loop-table-1
- Loop coffee table | Victoria and Albert Museum
- https://collections.vam.ac.uk/item/O49202/loop-coffee-table-loop-coffee-table-barber-osgerby/
- Loop Table | The Metropolitan Museum of Art
- https://www.metmuseum.org/art/collection/search/490673
- How Barber Osgerby made their Loop Table | Phaidon
- https://www.phaidon.com/agenda/design/articles/2017/september/01/how-barber-and-osgerby-made-their-loop-table/
- Barber Osgerby Loop table turns 25 and goes blue | Wallpaper*
- https://www.wallpaper.com/design/barber-osgerby-loop-table-isokon-plus-25-anniversary