概要

ジェイ・オズガビー(1969年生まれ)は、イギリスのデザイナーである。1996年にエドワード・バーバーとバーバー・オズガビーを設立し、以後すべての作品を共同名義で発表している。家具のほか、店舗や展示の空間、公共の設置物を手がけ、2012年ロンドンオリンピックの聖火リレー用トーチも設計した。ヴィトラ、ノル、B&Bイタリアなどと協働している。

バイオグラフィー

1969年10月23日、イギリスのオックスフォードに生まれた。ウェストミンスター大学で建築を学び、続いてロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで建築の修士号を得ている。

ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで同期だったエドワード・バーバーと、1996年にロンドンでバーバー・オズガビーを設立した。最初の製品は合板を折り曲げて構成したループ・テーブルで、1997年からカッペリーニが生産している。

2001年には建築と内装を扱う部門を設け、店舗、展示、公共空間の設計にも関わるようになった。ロンドンのデザイン・ミュージアムの移転先の内部構成にも携わっている。

2012年、ロンドンオリンピックの聖火リレー用トーチを設計した。2013年に大英帝国勲章(OBE)を受けている。

デザインの思想と方法

バーバー・オズガビーの仕事は、家具と空間の両方を同じ事務所で扱う。この体制では、椅子一脚の設計と展示室全体の構成が同じ寸法体系のもとに置かれる。オズガビーは建築と内装の部門を担当してきた経緯があり、製品が置かれる場の側から条件を出す役割にあたる。

置かれる場から条件を出す

公共施設のための椅子は、使われる時間と回数が住宅とは桁違いになる。清掃の方法、積み重ねの可否、破損時の交換のしやすさが設計条件に入る。デ・ラ・ウォー・パビリオンやボドリアン図書館の椅子は、いずれも施設側の運用から寸法と材料が決まっている。

製造数から材料を選ぶ

ロンドンオリンピックのトーチは8,000本を製造する必要があった。金型を要する成形では単価が合わず、板材の加工で成立させる必要がある。アルミ合金の板に穴を開けて丸めるという構成は、この数量から導かれている。

模型の手法を実寸に持ち込む

二人が建築の課程で身につけたのは、板に切り込みを入れて折り曲げる模型の作り方である。ループ・テーブルはこの操作を実寸で成立させたもので、初期の仕事の出発点にあたる。板の厚みと折り線の位置だけで形が決まる。

共同名義で発表する

すべての作品はエドワード・バーバーとの共同名義で発表され、個々の担当は公表されていない。V&Aの登録も「Barber Osgerby」というスタジオ名でなされている。

代表作にみる方法

ループ コーヒーテーブル(1996年)

合板を曲げて天板と脚を一続きの面で構成した卓である。折り曲げた縁が剛性を生むため、脚を別部材として付けない。同じ構成で棚の系列も展開された。V&Aが卓と棚をあわせて収蔵している。

デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア(2005-06年)

イギリス南岸ベクスヒルの1935年竣工の建物のために設計した椅子である。海沿いで屋内外の両方に置かれるため、塩分と紫外線に耐えるアルミの鋳造とし、座面に開口を設けて水を抜く。施設の運用条件が材料を決めた例にあたる。

ティップ・トン(2011年、ヴィトラ)

ポリプロピレンの一体成形による椅子である。脚の底面に角度を付けることで、後傾と前傾の二つの安定位置が生まれる。可動部を持たないため、学校や講堂のように多数を並べる場所で保守が要らない。→ティップ・トン

ロンドンオリンピック 聖火リレー用トーチ(2012年)

アルミ合金の板を三角断面に丸めたトーチである。表面には多数の孔が開けられ、軽量化と燃焼部の放熱を兼ねる。走者が片手で長時間保持するため重量の上限が厳しく、板厚と孔の配置はそこから逆算されている。V&Aが収蔵している。

トビ・イシ テーブル(2009年、B&Bイタリア)

厚い天板を、面で接する塊状の脚が支える卓である。脚は床から天板へ向かって断面が変わり、接地面積を確保しながら上部では細くなる。大判の天板を少ない支持点で支えるための形状にあたる。→トビ・イシ テーブル

評価と影響

バーバー・オズガビーは一般に、家具と空間を同じ事務所で扱う体制を確立したイギリスの設計者として評価されている。公共施設のための椅子と、量産される家具の両方を継続して手がけている点が特徴にあたる。

2012年のロンドンオリンピックのトーチは、製造数と重量の制約から形が決まった例として言及される。設計の条件が公表されている点で、公共の場の物としては珍しい。

作品はすべてエドワード・バーバーとの共同名義で発表される。ヴィトラ、ノル、B&Bイタリア、カッペリーニと複数のメーカーで長期の関係を持つ。

受賞・収蔵

受賞

  • 2007年 ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー(英国王立芸術協会)
  • 2013年 大英帝国勲章(OBE)

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Met=メトロポリタン美術館、AIC=シカゴ美術館)。V&Aは「Barber Osgerby」というスタジオ名で登録している。

  • V&A ループ コーヒーテーブル(2000年受入) 収蔵番号 W.2-2000
  • V&A ループ シェルフ(2000年受入) 収蔵番号 W.3-2000
  • V&A オリンピック トーチ(2012年) 収蔵番号 M.5-2013
  • Met ループ・テーブル(1995年設計) 収蔵番号 1999.116
  • Met ループ・テーブルの模型(1995年) 収蔵番号 1999.117.3
  • Met ループ・テーブルの図面(1995年) 収蔵番号 1999.117.1
  • AIC デ・ラ・ウォー・パビリオン チェア(2006年) 収蔵番号 2009.585
  • AIC ティップ・トン チェア(2011年) 収蔵番号 2012.506

作品一覧

作品の一覧はエドワード・バーバーのページに共通のものを掲げている。以下は主要な設計の抜粋である。

発表年 区分 作品名 ブランド / 場所
2009年 テーブル トビ・イシ テーブル B&B Italia
2011年 椅子 ティップ・トン Vitra
2012年 公共 ロンドンオリンピック 聖火リレー用トーチ ロンドン

プロフィール

生年 1969年10月23日
出身地 イギリス・オックスフォード
国籍 イギリス
活動拠点 ロンドン
分野 家具、建築、展示、公共の設置物
主な協働ブランド Vitra、Knoll、Cappellini、B&B Italia、Established & Sons

Reference

Barber Osgerby(公式)
https://barberosgerby.com/
Barber Osgerby | Vitra
https://www.vitra.com/en-us/product/designer/edward-barber-and-jay-osgerby
Olympic Torch | Victoria and Albert Museum
https://collections.vam.ac.uk/
The Metropolitan Museum of Art Collection
https://www.metmuseum.org/art/collection