材料と構造を仕上げで覆わず、そのまま外に出すことを原則とした建築の傾向。語源は打ち放しコンクリートを指すフランス語で、残忍という意味ではない。
ブルータリズム
ブルータリズムとは、材料と構造を仕上げで覆わず、そのまま外に出すことを原則とした1950年代以降の建築の傾向のこと。転じて、同じ扱いを採る家具や工芸品を指す語としても用いられる。英語では Brutalism、New Brutalism と呼ぶ。
解説
語源は、ル・コルビュジエが打ち放しのコンクリートを指して用いたフランス語の béton brut にある。ジャン・デュビュッフェのアール・ブリュットも背景にあった。1953年、アリソン・スミッソンがロンドン・ソーホーの住宅計画(実現せず)について「new brutalism」の語を用い、1955年12月に批評家レイナー・バンハムが『アーキテクチュラル・レビュー』に発表した論文「The New Brutalism」がこの傾向を輪郭づけた。バンハムが取り上げたのはアリソン&ピーター・スミッソン設計のハンスタントン校で、鉄骨の骨組みと設備配管を隠さずに見せる構成だった。バンハムはのちに1966年の著書で議論を整理している。
建築における原則は、材料をそのものとして扱うこと、構造を明示すること、そして像として記憶に残ることの三点に整理された。日本語では「残忍」を思わせる語感から誤解されやすいが、もとになった brut は「加工していない」「生の」という意味である。
家具の分野では、この語は溶接跡や鋳肌、割れた面をそのまま残す造形に対して用いられる。米国のポール・エヴァンスは、鋼板を溶接して起伏をつけ、ブロンズを流して表面をつくる手法で家具を制作した。PE-128 スタラグマイト・コーヒーテーブル(円形ガラス天板)やシティスケープ・クレデンザがその例にあたる。工業的な均質さを目指さず、工程の痕跡を仕上げとして扱う点が、建築での原則と対応している。
基本情報
| 英語表記 | Brutalism / New Brutalism |
|---|---|
| 語の由来 | フランス語 béton brut(打ち放しコンクリート) |
| 語の定着 | 1953年アリソン・スミッソンの用例、1955年レイナー・バンハムの論文 |
| 主な地域 | 英国を起点に各国へ。家具では米国の例が知られる |
Reference
- Brutalism in Architecture: Origins, Features & Legacy(RIBA)
- https://www.riba.org/explore/riba-collections/architectural-styles/brutalism-movement/
- The New Brutalism|Architectural Review, December 1955(Reyner Banham)
- https://architecture-history.org/library/AJ/The New Brutalism by Reyner Banham 1955.pdf
- Brutalist Architecture Movement Overview(The Art Story)
- https://www.theartstory.org/movement/brutalism/