概要
シティスケープ・クレデンザは、ポール・エヴァンスがディレクショナルのために設計した収納家具である。クロムメッキスチール、真鍮、ニッケル、バール材などを不規則なモザイク状に配し、面が光を反射する。シティスケープ・シリーズは1971年から1981年にかけて製作され、二つのラインで多数の型が展開された。
特徴・コンセプト
面を分割して貼る
箱型の本体の表面に、長方形の金属板と木の板を不規則に組み合わせて貼る。同じ素材で覆えば面は一様になるが、素材を切り替えることで面が分節される。金属の反射面は光の角度によって明るさが変わるため、面ごとに異なる見え方が生まれる。高層建築が並ぶ街並みを抽象的に写し取った構成として、シリーズ名が付けられている。
滑らかな面への転換
エヴァンスは1960年代に、表面に高低差をつけたスチールの家具を手がけていた。シティスケープでは一転して、滑らかで反射する面が採られる。素材の物質感を前面に出す方向から、光の反射で面を扱う方向への転換にあたる。
素材の組み合わせ
クロムメッキスチールのみで構成したもの、真鍮とクロムを混ぜたもの、バール材と金属を組み合わせたものなど、素材の取り合わせに幅がある。混ぜる素材や色みによって割付けが変わるため、型や個体ごとに面の構成が異なる。バール材は杢目のよく出た材が選ばれ、金属の幾何学的な構成と対をなす。
手仕事による製作
各作品は一点ずつ手作業で製作・仕上げされ、制作の各段階がエヴァンスの監督下に置かれた。金属パネルは切り出して溶接で接合され、クロムメッキや真鍮の仕上げが施される。多くの作品には「Paul Evans」の署名があり、特注品には日付が記される例もある。
エピソード
シリーズは当初、数種類のケース類から始まった。その後ミラー、テーブル、チェア、各種の小物へと広がっている。後年の型では、より大きな金属片や多面的な構成、バール材の使用によって奥行きが強調された。
評価と影響
収納家具としての機能と、光を反射する面による視覚的な存在感を併せ持つ点が、このシリーズの性格を表している。1970年代のアメリカの家具として、金属を工業的な素材としてではなく仕上げの対象として扱った例にあたる。
ポール・エヴァンスの設計思想や経歴について詳しくはポール・エヴァンスプロフィールページをご覧ください。
ディレクショナルの歴史や他の製品について詳しくはディレクショナルブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | シティスケープ・クレデンザ / Cityscape Credenza |
|---|---|
| デザイナー | ポール・エヴァンス(Paul Evans) |
| ブランド | ディレクショナル(Directional) |
| 製造期間 | 1971年〜1981年 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | 収納家具/クレデンザ |
| シリーズ | シティスケープ(Cityscape I / Cityscape II) |
| 主要素材 | クロムメッキスチール、真鍮、ニッケル、バール材、木材、ガラス |
| 製作 | 一点ずつ手作業。金属パネルは切り出して溶接 |
| 署名 | 多くの作品に「Paul Evans」の署名(特注品には日付を記す例もある) |
Reference
- Paul Evans | Cityscape | Directional
- https://www.1stdibs.com/creators/paul-evans/furniture/