このページについて
イームズ プラスチック サイドチェア DSW は、チャールズ&レイ・イームズが1948年に設計した椅子である。一体成形の樹脂の座面(シェル)を、木の脚に載せる。同じシェルに異なる脚を組み合わせた複数の型番が展開される。ハーマンミラーとヴィトラが地域を分けて製造している。
このページでは、2社の製造地の違い、2024年に切り替わったシェルの素材、選べる脚と色、正規品とライセンスを受けていない製品との差、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
チャールズ・イームズの設計思想や経歴について詳しくはチャールズ・イームズ プロフィールページをご覧ください。
イームズ プラスチック サイドチェア DSWのデザインストーリーについて詳しくはイームズ プラスチック サイドチェア DSW紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
イームズ プラスチック サイドチェア DSWは、戦後アメリカの住宅事情に応えるべく、コンパクトで手頃な量産家具として構想された。イームズ夫妻は当初、成型合板による一体型シェルの実現を試みたが三次元曲面の成形は困難を極め、金属板プレス成形を経て、最終的に第二次世界大戦中の軍事技術として発展したグラスファイバー強化プラスチック(FRP)に着目した。ゼニス・プラスチック社との協働により1950年に製品化が実現し、ハーマンミラー社が量産販売を開始。その後、環境負荷への配慮からFRPからポリプロピレンへ(1990年代)、そして2024年にはリサイクルプラスチック(RE)への素材転換が行われ、デザインの本質を保ちながら75年にわたる素材進化を遂げている。2015年には人々の平均身長の伸びに対応し、座面高が従来の41.5cmから43cmに調整された。日本市場では2010年末まではヴィトラ社製が流通していたが、以後ハーマンミラー社製に完全移行し、シェル裏面のエンボスロゴが「Vitra」から「HermanMiller」へと変更されている。
| 正式名称 | Eames Plastic Side Chair DSW。2024年以降のヴィトラ製は RE DSW |
|---|---|
| 製造ブランド | ハーマンミラー(米国、日本を含むアジア)とヴィトラ(欧州、中東)。いずれも正規の製造元にあたり、販売地域が分かれる |
| 製造国 | アメリカ(ハーマンミラー)、スイスまたはドイツ(ヴィトラ) |
| シェル素材 | 2024年からヴィトラ製は再生ポリプロピレンによる。それ以前はポリプロピレン、1950年代から1990年代まではガラス繊維で強化したポリエステル樹脂が用いられた |
| ベース素材 | メープルまたはアッシュの無垢材による脚。スチールのワイヤーで連結し、内部に金属の補強を持つ |
| サイズ | 幅465 × 奥行550 × 高さ830mm、座面高430mm。2015年より前の仕様は座面高415mm |
| 重量 | 約3.2〜3.5kg |
| シェルカラー | 12色以上を展開する。扱われる色は時期によって変わるため、購入時に確認する |
| オプション | 座面のみのクッション、シェル全面を覆う張り地、脚裏の部品(硬い床用のフェルトと、絨毯用の樹脂)から選ぶ |
| 関連モデル | DSR(エッフェルベース)、DSX(4レッグベース)、DAW(アームチェア+ウッドベース)、DAR(アームチェア+エッフェルベース)、RAR(ロッキングアームチェア)、DSHCX/DSHBX(カウンター/バーハイトスツール) |
| 価格 | いずれの製造元も公式サイトで価格を公開している(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は取扱店により異なる。シェルの色、脚の仕上げ、追加する部品で価格が変わる |
| 保証 | ハーマンミラーは5年。ヴィトラはメーカー保証の対象 |
| 収蔵 | MoMA サイドチェア(1950年) 収蔵番号 641.1973 |
| 生産状況 | 現行 |
2社の製造と地域
この椅子はハーマンミラーとヴィトラが製造している。いずれも正規の製造元にあたり、販売する地域が分かれる。ハーマンミラーは米国と日本を含むアジア、ヴィトラは欧州と中東を担う。
日本国内で正規に流通するのはハーマンミラー製である。ヴィトラ製は欧州向けの製品にあたる。
| 比較項目 | ハーマンミラー | ヴィトラ |
|---|---|---|
| 販売地域 | 米国、日本を含むアジア | 欧州、中東 |
| 製造国 | アメリカ | スイスまたはドイツ |
| シェルの素材 | ポリプロピレン | 2024年より再生ポリプロピレン |
| 保証 | 5年 | メーカー保証の対象 |
シェルの素材の変遷
シェルの素材は時期によって異なる。中古で選ぶ場合、製造時期によって素材が変わる点を踏まえる。
- 1950年代〜1990年代
- ガラス繊維で強化したポリエステル樹脂による。表面に繊維の質感が現れる。
- 1990年代〜2024年
- ポリプロピレンによる。表面は均一で、繊維の質感を持たない。
- 2024年以降(ヴィトラ製)
- 再生ポリプロピレンによる。ガラス繊維で強化される。
正規品とライセンスを受けていない製品の違い
権利者のライセンスを受けていない同型の製品が広く流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。
個体の識別
正規品にはシェルの裏面に製造元の表示がある。中古で選ぶ場合、この表示の有無で判別できる。
公表されている仕様
いずれの製造元も、シェルの素材、脚の樹種と構成(スチールのワイヤーで連結し内部に金属の補強を持つ)、寸法、重量、製造国、保証を公表している。
ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が公表されていない場合が多い。脚の内部の補強は外から見えないが、脚のワイヤーの接合部の作りは確認できる箇所にあたる。
| 比較項目 | 正規品 | ライセンスを受けていない製品 |
|---|---|---|
| 裏面の表示 | 製造元の表示がある | なし |
| シェルの素材 | 公表 | 公表なし |
| 脚の構成 | 無垢材+内部の金属補強(公表) | 公表なし |
| 寸法と重量 | 公表 | 公表なし |
| メーカー保証 | 対象 | 対象外 |
類似商品・競合との比較
樹脂を成形した椅子は、座面と脚が分かれるか一体かで性格が変わる。分かれる方式では脚を選べるいっぽう、一体の方式では重ねられる。
| 比較項目 | DSW | ベジタルチェア | パントンチェア |
|---|---|---|---|
| シェルと脚 | 分かれる(脚を選べる) | 一体 | 一体 |
| 座面の素材 | ポリプロピレン | ガラス繊維で強化したポリアミド | 樹脂 |
| 重ねられるか | DSWは不可 | 可 | 可 |
| 屋外での使用 | 屋内向け | 対応する | 屋内向け |
| 座面高 | 430mm | 製品による | 製品による |
選び分けの目安
- 脚を選びたい場合
- 同じシェルに異なる脚を組み合わせた型番が展開される。木の脚(DSW)のほか、金属のワイヤー、4本脚、ロッキングなどがある。
- 重ねて収納する場合
- DSWは木の脚のため重ねられない。重ねる必要がある場合、別の型番が該当する。
- 座面の硬さを和らげたい場合
- 座面のみのクッション、またはシェル全面を覆う張り地を別に注文できる。
使用感と設置条件
座り方
座面高430mm。シェルは一体に成形され、座面から背もたれ、肘の高さまで連続する。詰め物を持たないが、シェルの曲面が身体を受ける。
2015年より前の仕様は座面高415mmであった。中古で選ぶ場合、この差がテーブルとの関係に影響する。
脚裏の部品
硬い床用のフェルトと、絨毯用の樹脂から選ぶ。床材に合わないものを使うと、床を傷めるか椅子が動きにくくなる。
フェルトは摩耗する消耗品である。交換の可否を取扱店に確認しておく。
設置に要する寸法
幅465×奥行550×高さ830mm、重量約3.2〜3.5kg。軽く、片手で持ち上げられる。
木の脚がワイヤーで連結される構造のため、脚は床面で広がる。座面の投影より広い範囲を占める。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
ポリプロピレンは紫外線で劣化し、色が変わる。直射日光の当たる面から先に進む。表面に細かい傷が付くと、光の反射が変わる。
木の脚は日光を受けると色が変わる。樹種と仕上げによって変化の方向が異なる。
シェルと脚の接合部には、座るたびに力がかかる。緩みが生じた場合、早めに対処する。
日常の手入れ
- シェル
- 固く絞った布で拭ける。研磨剤は表面を傷める。
- 木の脚
- 乾いた布で拭く。水分を残さない。
- 脚裏の部品
- 摩耗の状態を確かめる。フェルトが薄くなると床を傷める。
- 接合部
- シェルと脚を留める箇所に緩みがないか確かめる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
いずれの製造元も公式サイトで製品情報と価格を公開している。日本国内で正規に流通するのはハーマンミラー製で、価格は取扱店により異なる。
注文の際に決める項目は、シェルの色、脚の仕上げ、脚裏の部品(床材に応じて選ぶ)、クッションの有無である。
実物を確認する
シェルの色は12色以上あり、時期によって扱われる色が変わる。現在の展開を確認する。
座面高430mmが合わせるテーブルの高さに対して適切かも、あわせて確かめられるとよい。
中古の流通
1950年代以降の個体が流通している。製造時期によってシェルの素材が異なり、2015年より前の仕様は座面高が415mmである。相場は年式、素材、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、シェル裏面の製造元の表示、シェルの割れとひび、色の変化、シェルと脚の接合部の緩み、脚の状態、脚裏の部品の有無である。
購入前チェックリスト
- シェルの色(時期により展開が変わる)
- 脚の仕上げ
- 脚裏の部品(硬い床用/絨毯用。床材に合わせる)
- クッションの有無
- 座面高430mm(合わせるテーブルの高さを確認)
- 重ねられないこと
- 脚が座面の投影より広い範囲を占めること
- 中古の場合、製造時期による素材と座面高の差
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- いずれの製造元も公式サイトで価格を公開しています(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は取扱店により異なり、シェルの色、脚の仕上げ、追加する部品で価格が変わります。
- どこで購入できますか?
- この椅子はハーマンミラーとヴィトラが製造しており、販売地域が分かれます。日本国内で正規に流通するのはハーマンミラー製です。ヴィトラ製は欧州向けの製品にあたります。
- 2社の製品はどう違いますか?
- 販売地域と製造国が異なります。ハーマンミラーは米国と日本を含むアジアを担当しアメリカで製造、ヴィトラは欧州と中東を担当しスイスまたはドイツで製造します。ヴィトラ製は2024年からシェルが再生ポリプロピレンに切り替わっています。
- シェルの素材は変わりましたか?
- 変わりました。1950年代から1990年代まではガラス繊維で強化したポリエステル樹脂、1990年代から2024年まではポリプロピレン、2024年以降のヴィトラ製は再生ポリプロピレンによります。中古で選ぶ場合は製造時期によって素材が変わる点を踏まえてください。
- 重ねて収納できますか?
- DSWは木の脚のため重ねられません。重ねる必要がある場合は、同じシェルに別の脚を組み合わせた型番が該当します。
- 脚裏の部品はどれを選べばよいですか?
- 硬い床用のフェルトと、絨毯用の樹脂から選びます。床材に合わないものを使うと、床を傷めるか椅子が動きにくくなります。フェルトは摩耗する消耗品のため、交換の可否を取扱店にご確認ください。
- 正規品かどうかはどう見分けますか?
- 正規品にはシェルの裏面に製造元の表示があります。中古で選ぶ場合はこの表示の有無で判別できます。
- 中古で買う場合の注意点はありますか?
- 製造時期によってシェルの素材が異なります。また2015年より前の仕様は座面高が415mmで、現行の430mmと差があるため、テーブルとの関係に影響します。シェル裏面の製造元の表示、シェルの割れとひび、シェルと脚の接合部の緩みをご確認ください。