概要
ビューロー・プレジダンスは、ジャン・プルーヴェが1948年に設計した執務用のデスクである。当初は「ビューロー・アリコ(Haricot=隠元豆)」または「H」と呼ばれた。天板がL字に湾曲し、折り曲げ鋼板による非対称の脚部で支えられる。製作台数はおよそ30台と推定される。
特徴・コンセプト
天板を湾曲させる
天板はL字に湾曲し、幅が場所によって変わる。手前の狭い部分が執務の面にあたり、広く張り出した袖が書類を広げる場になる。同じ天板の上で用途が分かれるため、机を並べずに済む。
三人から六人が囲める寸法をとるため、会議の卓としても使える。個人の机と会議卓を別に用意する必要がない。
脚を非対称にする
脚部は折り曲げた鋼板による門型で、幅の異なる二つを貫がつなぐ。天板の幅が場所ごとに違うため、支える門型も大きさを変えている。左右対称にすれば加工は揃うが、天板の形に合わなくなる。
プルーヴェは鋼板を折り曲げて剛性を得る手法を繰り返し用いた。板は平らなままでは曲がるが、折れば断面に高さが生まれて曲がりにくくなる。
素材
天板は当初無垢材、のちに突板(多くはオーク)で、ガラス板を載せる例もある。天板にはペン皿が埋め込まれる。塗装鋼板の収納ユニットも用意された。
エピソード
最初の一台はブリュッセルの郵便振替局長のために、ほどなくもう一台がナンシーのフェレンバル社社長のためにつくられた。この二台をもとに展開された型が、後年「建築家と大経営者の机」と呼ばれるようになる。
1950年代には、パリや地方の建築家の事務所に置かれた。ゼルフュス、ジャン・ド・マイイ、ジャン・スバッグ、アンドレ・ルモンデ、ルイ・サンソーリューら、プルーヴェの友人や協働者が名を連ねる。産業界にも納入され、イソワールのSCAL社長のために製作された一台が知られる。
1956年以降はギャラリー・ステフ・シモンが販売と製造を引き受けた。1965年12月の価格表にも掲載されており、1970年代初頭まで散発的に売られている。20年ほどの流通期間を通じて、仕様に大きな変更はなかった。
評価と影響
プルーヴェの家具のなかでも現存数が少ない。ヴィトラは2017年に共同企画として限定的に製作したが、恒常的な復刻品はない。
ジャン・プルーヴェの設計思想や経歴について詳しくはジャン・プルーヴェプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ビューロー・プレジダンス / Bureau Présidence(Présidence n° 201) |
|---|---|
| 当初の名称 | Haricot(隠元豆)/H |
| デザイナー | ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé) |
| 製造元 | アトリエ・ジャン・プルーヴェ/1956年以降はギャラリー・ステフ・シモン |
| 発表年 | 1948年 |
| デザインの成立国 | フランス |
| 分類 | デスク |
| 構造 | L字に湾曲した天板。折り曲げ鋼板による幅の異なる二つの門型脚 |
| 主要素材 | 脚部:折り曲げ鋼板/天板:無垢材のち突板(主にオーク)。ガラス板を載せる例あり |
| 製作台数 | およそ30台と推定される |
| サイズ | 個体により異なる |
Reference
- Jean Prouvé | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/about-vitra/designers/jean-prouve