概要

ノグチ コーヒーテーブルは、イサム・ノグチが1944年に設計し、ハーマンミラーが1947年に発表したローテーブルである。厚いガラスの天板と、同じ形の木製部材2つという3つの要素だけで構成される。2つの部材を組み合わせると三脚になり、金具を使わずに自立する。型番はIN-50。

特徴・コンセプト

同じ部材を2つ使う

脚部は、自由曲線を描く同一形状の木製部材2つでできている。一方を裏返して直交させ、中央のダボで留めると、床に接する点が3か所の構造になる。同じ型で2つ分をまかなえるため部品の種類が減り、組み合わせたときの輪郭も揃う。荷重は天板から2つの部材へ分かれ、それぞれの接地点へ流れる。

ハーマンミラーは当初これを分解して出荷する家具として販売し、届いた先で組み立てられることを利点として示した。複雑な金具を持たない構造が、そのまま輸送と組み立ての条件に合っている。

天板が構造を見せる

天板は角を丸めた不規則な三角形で、透明なガラスである。下の木製部材が透けて見えるため、構造そのものが眺める対象になる。脚を隠す幕板や枠を持たないので、どの角度から見ても部材の重なり方が読み取れる。

素材の展開

脚部の材は、当初ウォールナットバーチ、チェリーが用いられた。現在ハーマンミラーはウォールナット、黒仕上げ、ホワイトアッシュ、ホワイトオークで製造し、ヨーロッパと日本で流通するヴィトラ製はウォールナット、ブラックアッシュ、メープルの3種である。1965年にはガラス天板の厚さが改められ、それに伴って全体の高さも調整された。

エピソード

設計の経緯

この形の原型は、1939年にニューヨーク近代美術館の初代会長A・コンガー・グッドイヤーの依頼で制作したテーブルにさかのぼる。

ノグチは自作のガラス天板のテーブルの模型を、英国の家具デザイナーT・H・ロブスジョン=ギビングスに手渡していた。のちに、それとよく似たテーブルが無断で量産・販売されているのを知る。ノグチは自伝のなかで、この経緯を踏まえてより優れたテーブルを設計したと述べている。

ハーマンミラーとの縁

1944年当時、建築誌の編集者であったジョージ・ネルソンは「How to Make a Table」と題した記事にノグチのテーブルを図版として取り上げた。ネルソンはその後ハーマンミラーのデザインディレクターに就任し、これが縁となってノグチと同社の協働が始まる。1948年に刊行されたネルソン編集による同社のカタログに、このテーブルが掲載された。

生産は1973年にいったん終了したが、1984年に再開され、以後途切れていない。正規品には、ガラス天板の縁と脚部の下面にノグチの署名が刻まれる。

評価と影響

彫刻としての性格と家具としての実用を同じ形で成立させた作例として参照される。部材を隠す枠を持たず、各要素がそのまま現れる構成は、以後のローテーブルにも引き継がれた。模倣品が多く流通していることでも知られる。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、バーチ材・ガラス・アルミニウムのダボによる1944年のコーヒーテーブル(model IN-50)を収蔵番号256.2002.a-dで登録している(エドガー・スミスからの寄贈。寸法39.7×127.6×91.1cm)。

基本情報

名称 ノグチ コーヒーテーブル / Noguchi Coffee Table(model IN-50)
デザイナー イサム・ノグチ(Isamu Noguchi)
ブランド ハーマンミラー(アメリカ)/ヴィトラ(ヨーロッパ・日本)
発表年 1944年設計/1947年 発売
デザインの成立国 アメリカ
分類 ローテーブル/コーヒーテーブル
構成 ガラス天板1枚+同一形状の木製部材2つ(金具はダボのみ)
脚部の材 ウォールナット、黒仕上げ、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク(ヴィトラ製はウォールナット、ブラックアッシュ、メープル)
真正性 ガラス天板の縁と脚部下面にノグチの署名を刻印
収蔵 ニューヨーク近代美術館(256.2002.a-d)

Reference