シルバーテーブルは、デンマークの建築家・家具デザイナーであるフィン・ユールが1948年にデザインしたダイニングテーブルである。別名「ユダステーブル(Judas Table)」とも呼ばれ、天板に施された純銀のインレイを特徴とする。ニールス・ヴォッダーの手によってブラジリアン・ローズウッドで製作され、1948年のコペンハーゲン家具職人ギルド展にて発表された。現在は、フィン・ユール作品の正規製造権を有するOnecollection(House of Finn Juhl)が復刻生産を行っている。
特徴・コンセプト
最も際立った特徴は、天板に配された30枚(最大展開時42枚)の純銀プラケットである。この円形インレイは装飾にとどまらず、4人、6人、8人、10人と着座人数に応じた席の配置を示す機能的な目印でもある。1948年前後のフィン・ユールは装飾性を細やかに扱うことに関心を寄せており、同時期にはウィスキーチェアやアートコレクターズテーブルを発表している。
楕円形の天板は、2枚のエクステンションリーフによって最大310センチメートルまで拡張できる。その際も脚部フレームは移動せず、天板だけが滑らかに開く。天板裏面の縁に沿って設けられた溝は、天板を引き分ける際の手掛かりとなる。目には留まりにくいが、使い手の動作から形を導くフィン・ユールの設計観が表れた箇所である。
素材と仕上げ
現行モデルは、ウォールナット天板×オークフレーム、ウォールナット天板×ウォールナットフレーム、チーク天板×オークフレーム、オーク天板×オークフレーム(銀インレイなしのみ)の4つのバリエーションで展開される。いずれも突板天板と無垢材フレームの組み合わせである。
エピソード
「ユダステーブル」という通称は、銀のインレイが、ユダが受け取ったとされる30枚の銀貨を想起させることに由来する。現在の正式名称は「シルバーテーブル」であり、銀のプラケットが本作を特徴づける要素であることから、この名が用いられている。
フィン・ユールは自邸において、本テーブルとエジプシャンチェアを組み合わせてダイニングセットとして使用していた。この邸宅は現在、オードロップゴー美術館の一部として保存・公開されており、往時のままのシルバーテーブルを目にすることができる。Onecollectionによる復刻生産は2014年に始まった。
2021年には、より小型の「スモールシルバーテーブル」が復刻された。当初は銀インレイなしでの再導入が計画されていたが、フィン・ユールの伴侶ハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンがプロヴァンスの別荘に置いていた個体に銀インレイが施されていたことが判明し、その現物からインレイの正確な配置を採寸することで、銀インレイ付きの仕様が実現した。
評価
シルバーテーブルは、フィン・ユールの作品群の中でも最も知られた一点である。造形、職人技、希少素材の三つが同居する点で、20世紀中葉のデンマークデザインを代表する一作とされる。
ニールス・ヴォッダー工房によるオリジナル品は、現在も国際的なオークションで取引されている。
基本情報
| デザイナー | フィン・ユール(Finn Juhl) |
|---|---|
| 国籍 | デンマーク |
| 発表年 | 1948年 |
| 製造元(現行) | Onecollection(House of Finn Juhl) |
| 初代製作者 | ニールス・ヴォッダー(Niels Vodder) |
| モデル番号 | FJ 4810(銀インレイ付)/ FJ 4820(銀インレイなし) |
| サイズ(ラージ) | W200/310cm × D140cm × H72.5cm |
| サイズ(スモール) | W180/290cm × D120cm × H72.5cm |
| 素材 | ウォールナット、チーク、オーク(突板天板、無垢材フレーム)/ スターリングシルバー |
| 生産国 | デンマーク |
| 最大着座人数 | 14人(エクステンション使用時) |