シルバーテーブルが長く愛される理由

シルバーテーブル(Silver Table)は、デンマークの建築家・家具デザイナー、フィン・ユールが1948年にデザインしたダイニングテーブルである。別名「ユダステーブル(Judas Table)」としても知られ、天板に散りばめられた純銀(スターリングシルバー)のインレイを最大の特徴とする、フィン・ユールの作品群の中でも最も知られた一点である。

当初フィン・ユール自邸のためにデザインされた本作は、ニールス・ヴォッダーの手によりブラジリアン・ローズウッドで製作され、1948年のコペンハーゲン家具職人ギルド展にて発表された。装飾と造形の関係を掘り下げていた時期の作であり、同年のウィスキーチェアやアートコレクターズテーブルと同じ系譜に位置づけられる。現在はフィン・ユール作品の正規製造権を有するOnecollection(House of Finn Juhl)がデンマークにおいて復刻生産を行っており、生産開始は2014年である。フィン・ユール自邸はオードロップゴー美術館の一部として保存・公開されており、往時のままのシルバーテーブルを目にすることができる。

本ページでは、正規品の仕様・価格、類似作品との比較、暮らしへの取り入れ方、メンテナンス、購入方法を順に扱う。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

シルバーテーブルは、Onecollection(House of Finn Juhl)がフィン・ユール作品の正規製造権に基づき、デンマークにて生産している。すべての製品には真正性証明書(Certificate of Authenticity)が付帯する。ラージサイズとスモールサイズの2サイズ展開であり、それぞれ銀インレイ付きと銀インレイなしの仕様を選択できる。

正式名称 シルバーテーブル / Silver Table(別名:ユダステーブル / Judas Table)
デザイナー フィン・ユール(Finn Juhl, 1912–1989) / デンマーク
デザイン年 1948年
初代製作者 ニールス・ヴォッダー(Niels Vodder)、コペンハーゲン
現行製造 Onecollection / House of Finn Juhl(正規製造権保有)、デンマーク。生産開始2014年
分類 ダイニングテーブル / コンファレンステーブル
モデル番号(ラージ) FJ 4810(銀インレイ付き)/ FJ 4820(銀インレイなし)
モデル番号(スモール) FJ 4840(銀インレイ付き)/ FJ 4830(銀インレイなし)
サイズ(ラージ) W200cm × D140cm × H72.5cm(エクステンション展開時:W310cm)
サイズ(スモール) W180cm × D120cm × H72.5cm(エクステンション展開時:W290cm)
天板 突板仕上げ(無垢材エッジ)、オイルフィニッシュ。エクステンションリーフ2枚付属(天板内収納不可)
フレーム 無垢材(軽やかなプロファイル)
銀インレイ スターリングシルバー製プラケット。ラージ:30枚(展開時42枚)、スモール:22枚(展開時34枚)。円形インレイが席位置を示す目印を兼ねる
素材バリエーション(ラージ) ウォールナット天板×オークフレーム、ウォールナット天板×ウォールナットフレーム、チーク天板×オークフレーム、オーク天板×オークフレーム(銀インレイなしのみ)
素材バリエーション(スモール) ウォールナット天板×ウォールナットフレーム、ウォールナット天板×オークフレーム、オーク天板×オークフレーム、リノリウム天板×オークフレーム、リノリウム天板×ウォールナットフレーム。銀インレイ付きはウォールナット天板のみ対応
最大着席人数 エクステンション使用時:最大14名
参考価格帯(税込目安) 仕様・サイズにより大きく異なる受注生産品。海外正規ディーラーではスモールサイズで1万米ドル台後半からの提示例がある。国内価格は正規販売店に要問合せ
納期 受注生産。仕様と販売店により異なるため要確認
付属品 エクステンションリーフ2枚、真正性証明書(Certificate of Authenticity)
生産国 デンマーク

天板裏面の縁に沿って設けられた溝(インデント)は、天板を引き分けてエクステンションリーフを挿入する際の手掛かりとなる。リーフを追加する際も脚部フレームは移動しないため、大人数への切り替えが容易である。純銀インレイは、4名、6名、8名、10名と着席人数に応じた配置を示す目印も兼ねる。

類似商品・競合との比較

シルバーテーブルは、装飾的なディテールと職人技を併せ持つデンマークモダンのエクステンションテーブルという、やや特異な位置にある。同カテゴリの作品との比較を示す。

比較項目 シルバーテーブル(House of Finn Juhl) CH338 ダイニングテーブル(カール・ハンセン&サン) スーパー楕円テーブル(フリッツ・ハンセン)
デザイナー フィン・ユール ハンス・J・ウェグナー ピート・ハイン&ブルーノ・マテソン
デザイン年 1948年 1962年 1968年
天板形状 楕円形(純銀インレイ装飾) 長方形(端部に丸み) スーパー楕円(楕円と長方形の中間)
エクステンション 2枚リーフ、フレーム固定式(200→310cm / 180→290cm) 2枚リーフ(200→300cm) リーフ追加式(サイズにより異なる)
装飾的特徴 スターリングシルバーインレイ30〜42枚、天板裏の溝 木材の質感と構造の合理性 数学的に定義された曲線
素材 ウォールナット / チーク / オーク突板+無垢材フレーム+純銀 オーク / ウォールナット無垢材 ラミネート / リノリウム / ウォールナット突板、スパンレッグ
デザイン哲学 彫刻的な造形と抽象芸術の影響 素材の正直さと構造の合理性 数学的な曲線と工業生産への適合
参考価格帯 受注生産・要見積り(1万米ドル台後半〜) 約¥600,000〜900,000 約¥300,000〜700,000

選び方の指針

食卓であると同時に見る対象でもあるテーブルを求める方には、シルバーテーブルが適している。純銀インレイは燭台やペンダントライトの光を受けて表情を変える。エクステンション機能により、少人数の日常使いから最大14名の食事まで対応する。

装飾を排した木の質感を重視する方にはウェグナーのCH338が、造形の均整と工業的な仕上がりを求める方にはハイン&マテソンのスーパー楕円テーブルが適している。

使用感と暮らしへの取り入れ方

天板の使い勝手とサイズ選び

ラージサイズ(W200×D140cm)は、通常時4〜6名、エクステンション展開時(W310cm)で最大14名に対応する。広い天板は食器の配置にゆとりがあり、フォーマルな食事や来客時に向く。銀インレイが各席位置を示すため、テーブルセッティングのガイドにもなる。

スモールサイズ(W180×D120cm)は2021年に復刻されたもので、マンションや一般住宅のダイニングにも収まる。エクステンション展開時はW290cmとなる。天板高72.5cmは標準的なダイニングチェアとの組み合わせに適している。

エクステンションリーフは天板内に収納できない仕様のため、使用しない時の保管場所を事前に確保しておく必要がある。天板の突板仕上げはオイルフィニッシュが施されており、日常の食事使用に適した耐久性を持つ。

空間別のコーディネート提案

フィン・ユールは自邸でエジプシャンチェアと組み合わせてダイニングセットとして使用していた。House of Finn Juhlのチェアとの組み合わせが最も正統的であり、108チェアや109チェアは公式にも推奨される。

コンファレンステーブルとしての活用も本作の設計意図に含まれている。楕円形天板は長方形テーブルに比べ会議参加者間の視線の交差が自然であり、銀インレイが着席位置のガイドとなる機能性は会議室でも有効である。

リビング・ダイニング一体型の空間では、楕円形の天板が角を持たないため、周囲の動線を妨げにくい。照明の光が銀インレイに反射する夜の表情も、ダイニングを空間の中心として印象づける。

生活スタイル別の提案

来客の多い暮らしでは、日常は4〜6名のファミリーダイニングとして使い、来客時には脚部を動かすことなくリーフを追加して最大14名を迎えられる。

デンマークデザインのコレクターにとっては、チーフテンチェア、ペリカンチェア、ポエットソファと並ぶフィン・ユールの代表作の一つである。銀インレイなし(FJ 4820 / FJ 4830)の仕様も用意されており、装飾を抑えた楕円テーブルとしても選択肢になる。

スモールサイズ+リノリウム天板の組み合わせは、銀インレイなしの仕様ではより現代的でカジュアルな印象となり、マンション暮らしの方や北欧モダンを日常に取り入れたい方にも適している。

経年変化とメンテナンス

素材ごとの経年変化

ウォールナット突板はオイルフィニッシュにより、経年使用とともに色艶が深まり、木目の表情が豊かになる。チーク突板は特有の油分により、使い込むほど飴色へと変化する。オーク突板は時間とともに蜂蜜色の深みを帯びる。

スターリングシルバーのインレイは、時間とともに酸化被膜による黒ずみが生じ、燻し銀の風合いへと変化する。これを味わいとして残すことも、磨いて元の輝きに戻すこともできる。

日常メンテナンス

木部の日常清掃は、清潔なぬるま湯で固く絞った柔らかい布で拭き取る。頑固な汚れには石鹸フレーク(ソープフレーク)を溶かしたぬるま湯を使用する。それでも残る汚れや傷には、240番以上の極細サンドペーパーで木目に沿って軽く研磨し、乾いた布で粉塵を除去する。リノリウム天板の場合は、湿ったマイクロファイバークロスでの拭き取りが基本である。

スターリングシルバーのインレイは、銀磨き専用クロスで定期的に磨くことで輝きを維持できる。研磨剤を含む液体クリーナーの使用は、周囲の木部を傷める可能性があるため、クロスタイプの磨き剤が推奨される。

修理・パーツ対応

House of Finn Juhlの正規品には真正性証明書が付帯する。天板のオイル仕上げの再塗装、銀インレイの研磨・交換、エクステンションリーフの追加購入など、修理・メンテナンスについてはHouse of Finn Juhlおよび正規販売店を通じた相談が可能である。正規品のみが対象となるため、真正性証明書の保管が重要である。

どこで買うか:正規販売店と購入方法

公式サイトと海外正規ディーラー

House of Finn Juhl公式サイト(finnjuhl.com)にて製品情報を確認でき、正規販売店への問い合わせが可能である。海外の正規ディーラーとしては、hive modern(米国)、FJØRN Scandinavian(米国カーメル)、2Modern(米国)、Modern Planet(米国)、twentytwentyone(ロンドン)、Monologue(ロンドン)、studiotwentyseven、North Sea Design(オランダ)、Danish Red(オーストラリア)などが対応している。

日本国内での購入

日本国内ではHouse of Finn Juhlの正規取扱店を通じて購入可能である。公式サイトのストアロケーターで最寄りの正規販売店を確認できる。受注生産品のため、仕様の選定から納品まで相応の期間を要する。納期は仕様と販売店により異なるため、注文前に確認されたい。

実物を確認できる場所

フィン・ユール自邸(オードロップゴー美術館内、コペンハーゲン近郊)では、フィン・ユールが実際に使用していたオリジナルのシルバーテーブルとエジプシャンチェアのダイニングセットを見学できる。正規販売店のショールームにて現行品の実物や素材サンプルを確認できる場合がある(展示状況は要問合せ)。

中古・ヴィンテージ市場

ニールス・ヴォッダー工房によるオリジナル品(1948年〜1950年代)は、国際的なオークションやヴィンテージ市場で取引されており、ブラジリアン・ローズウッド製の初期作品はとりわけ希少である。個体差と状態によって価格の幅は大きい。オリジナル品の購入時には、天板裏面の「Cabinetmaker Niels Vodder, Copenhagen Denmark, Design: Finn Juhl」の刻印、銀インレイの状態、ローズウッド天板のブックマッチ(左右対称の木目合わせ)の状態、エクステンションリーフの有無を確認されたい。

購入時チェックリスト

  • サイズの選択(ラージ W200/310×D140cm / スモール W180/290×D120cm)
  • 銀インレイの有無(FJ 4810/FJ 4840:銀インレイ付き / FJ 4820/FJ 4830:銀インレイなし)
  • 素材・仕上げの選択(ウォールナット / チーク / オーク / リノリウム。天板とフレームの組み合わせを確認。銀インレイ付きはウォールナットまたはチーク天板のみ)
  • 設置場所の採寸(楕円形天板のため、幅+チェア引き代(片側約60〜70cm)を確保。エクステンション展開時の全長も考慮)
  • エクステンションリーフの保管場所の確保(天板内収納不可)
  • 搬入経路の確認(ラージサイズはW200cm×D140cm。ドア幅・階段・エレベーターの確認が必須)
  • 合わせるチェアの検討(エジプシャンチェア、108チェア、109チェアなどHouse of Finn Juhl製品との組み合わせが推奨)
  • 納期の確認(受注生産のため、販売店に確認)
  • 真正性証明書(Certificate of Authenticity)の付帯を確認
  • 中古品の場合:製造者刻印(Niels Vodder / Onecollection)、銀インレイの欠損・変色、天板の傷・シミ、リーフの有無を確認

コーディネート事例

フィン・ユールの自邸——オードロップゴーの再現

シルバーテーブルの最も正統的なコーディネートは、フィン・ユール自邸のダイニングルームを再現する構成である。エジプシャンチェアをダイニングチェアとして組み合わせ、壁面にはフィン・ユールが愛した抽象芸術作品を飾る。ウォールナット天板×オークフレームの組み合わせは、銀インレイの輝きを引き立てる。ペンダントライトにはデンマークデザインの照明(PHランプなど)を合わせるとよい。

スカンジナビアンモダン・コレクション

シルバーテーブルを中心に、同時代のデンマークデザインを組み合わせる構成も成り立つ。ウェグナーのYチェアやモーエンセンのJ39チェアを合わせると、装飾的な天板と簡素な椅子との対比が生まれる。チーク天板×オークフレームの仕様は、1950年代のデンマーク家具に多く見られた素材の組み合わせである。

コンテンポラリー・エレガンス

スモールシルバーテーブル(リノリウム天板×オークフレーム、銀インレイなし)は、ミニマルな空間にも収まる。楕円形天板の輪郭とエクステンション機能を保ちながら、装飾を抑えた構成となる。現代の北欧デザインのチェアやモノトーンのインテリアとも組み合わせやすい。

よくある質問

シルバーテーブルの正規品の価格はどのくらいですか?
受注生産品であり、サイズ・天板素材・銀インレイの有無によって価格は大きく異なる。海外正規ディーラーではスモールサイズで1万米ドル台後半からの提示例がある(参考価格・税込目安)。日本国内での価格は正規販売店への問い合わせを推奨する。
どこで購入できますか?
House of Finn Juhl公式サイト(finnjuhl.com)経由で正規販売店を確認できる。海外ではhive modern、FJØRN Scandinavian、2Modern(米国)、twentytwentyone、Monologue(英国)などの正規ディーラーで購入可能。日本国内の正規取扱店は公式ストアロケーターで検索できる。
実物を確認できる場所はありますか?
フィン・ユール自邸(コペンハーゲン近郊オードロップゴー美術館内)で往時のオリジナルを見学できる。正規販売店のショールームで現行品や素材サンプルを確認できる場合がある(展示状況は要問合せ)。
納期はどのくらいかかりますか?
受注生産のため、仕様と販売店により納期は異なる。日本への配送の場合は国際輸送期間も加算されるため、注文前の確認を推奨する。
メンテナンスはどのようにすればよいですか?
天板はぬるま湯で固く絞った柔らかい布で清掃する。頑固な汚れには石鹸フレークを溶かしたぬるま湯を使用。銀インレイは銀磨き専用クロスで定期的に磨く。木部の傷には240番以上の極細サンドペーパーで木目に沿って軽く研磨する。
リプロダクトはありますか?
フィン・ユール作品の正規製造権はOnecollection(House of Finn Juhl)が保有しており、現行の正規品はすべて同社がデンマークで生産している。正規品には真正性証明書が付帯するため、購入時に確認されたい。
銀インレイなしの仕様でも十分ですか?
銀インレイなし(FJ 4820 / FJ 4830)の仕様でも、楕円形天板の造形、エクステンション機能、天板裏の溝、無垢材フレームのプロファイルといった構造的・造形的な特質は変わらない。銀インレイは本作を象徴する要素であるが、装飾を抑えたダイニングテーブルとして選ぶ判断も成り立つ。価格差も考慮し、空間の雰囲気と予算に応じて選択されたい。
他に検討すべきフィン・ユールの名作は?
ダイニング関連ではエジプシャンチェア、108チェア、109チェアがシルバーテーブルのコンパニオンとして検討されたい。フィン・ユールの代表作としてはチーフテンチェア、ペリカンチェア、ポエットソファ、45チェアなどがある。テーブルではニューハウン ダイニングテーブルやバタフライテーブルも比較対象となる。それぞれの作品について詳しくは、当サイトの各紹介ページをご参照いただきたい。