概要

アイソコンのネストテーブルは、マルセル・ブロイヤーが1936年にイギリスで設計した入れ子式の小テーブルである。1枚の樺合板を切り出して曲げ、脚と天板を継ぎ目なくつなぐ。発売当時、アイソコン社はこれをこれまでに作られたもっとも簡素なテーブルとして紹介した。同社が2022年に復刻している。

特徴・コンセプト

一枚の合板から成形する

各テーブルは厚さ11mmの樺合板1枚から切り出される。合板は1.5mmの単板7層で構成される。切り出した板の両端を下向きに曲げてそのまま脚とするため、天板と脚のあいだに接合部がない。金物も接着による組み立ても使わないので、部材は文字どおり1点である。材料の使用量と工程の少なさが、そのまま形に表れている。

入れ子の構成

脚が両端の2辺だけにあり、残る2辺が開いている。そのため小さいものを大きいものの下へ横から差し込める。脚を4隅に置く構造では、入れ子にするために寸法を大きく変える必要があるが、2辺だけを閉じる構成なら差が小さくても収まる。当初は3点組で生産され、2022年の復刻以降は2点組で供給されている。

エピソード

ブロイヤーは1935年にイギリスへ渡った。ヴァルター・グロピウスの推薦により、同年に設立されたばかりのアイソコン社と仕事を始める。グロピウスは同社でデザイン部門の統括を務めていた。ブロイヤーが最初に手がけたのは成形合板のリクライニングチェアで、続いてダイニングチェアとダイニングテーブルを設計し、ネストテーブルはその流れのなかで生まれた。

ドイツ時代のスチールパイプの家具とは素材が入れ替わっているが、部材を減らして形をつくるという考え方は引き継がれている。初期の生産はエストニアのヴェネスタ社が担った。

評価と影響

ブロイヤーがバウハウス時代に設計したB 9 ネストテーブルは、同じ入れ子の考え方を曲げた鋼管で実現した製品である。素材が木に替わっても、部材の数を絞って形を成立させるという方針は変わらない。同じくアイソコン向けに設計したS44シェルフの時期とも近い。

美術館コレクション

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、1936年頃の設計による3点組のネストテーブルを収蔵番号CIRC.314-1965で登録している。同館の記録では、1枚の樺合板から切り出して曲げるという構想が設計の出発点であったとされる。同館が所蔵する個体は1965年頃にイギリスで製造されたもので、樺ではなくブナの積層合板が使われている。同館は1936年の別の個体も収蔵番号W.12-2015で登録している。

基本情報

名称 ネストテーブル / Nesting Tables(アイソコン)
デザイナー マルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)
ブランド アイソコン(Isokon)
発表年 1936年(2022年に復刻)
デザインの成立国 イギリス
分類 ネストテーブル/サイドテーブル
主要素材 厚さ11mmの樺合板(1.5mm単板7層)
構造 1枚の合板を切り出して両端を曲げる。接合部なし
構成 当初3点組。2022年の復刻以降は2点組
サイズ 大:幅460mm × 奥行610mm × 高さ370mm/中:幅415mm × 奥行610mm × 高さ352mm
初期の製造 ヴェネスタ(エストニア)
収蔵 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(CIRC.314-1965、W.12-2015)

Reference

Three Nesting Tables | Victoria and Albert Museum
https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=CIRC.314-1965
Nesting Tables | Isokon Plus
https://www.isokonplus.com/products/nesting-tables