概要

レディチェアは、マルコ・ザヌーソが1951年にアルフレックスのために設計したアームチェアである。金属のばねを使わず、弾性のあるテープを張った上に発泡素材を載せる構造をとる。同年の第9回ミラノ・トリエンナーレで金賞を受けた。2015年からはカッシーナが「720 Lady」として生産している。

特徴・コンセプト

ばねを使わない

従来の張り椅子は、木枠に金属のばねを組み、その上に詰め物を重ねる。ばねと枠が場所を取るため、外形は厚くなる。レディチェアはばねの代わりにゴム引きの弾性テープ(ナストロコード)を張り、その上に発泡素材を載せた。ばねの高さが不要になるぶん、断面を薄くできる。

構造はすべて座面・背・肘掛けの内部に収まり、外にフレームが出ない。厚みのある上部を細い金属脚が支える対比が、この椅子の外形を決めている。

部位ごとに密度を変える

ザヌーソは、身体の各部位にかかる圧力に応じて詰め物の密度を変えた。荷重の集まる座面と、体重のかからない肘掛けとでは、必要な硬さが違う。一様な詰め物では、どちらかに合わせると他方が合わなくなる。

部品に分けて組み立てる

座面、背もたれ、肘掛けをそれぞれ独立した部品として製造し、最終工程で組み立てる。職人が枠の上で張り込む方法と違い、部品ごとに並行して作れる。工程を分けられることが、量産の条件になっている。

現行の仕様

カッシーナ版は、スチールロッドのフレームとポプラ合板の肘掛け、CFCを含まないポリウレタンフォームとポリエステル中綿で構成される。脚部の仕上げは3種類から選べる。カバーは取り外せない。

エピソード

発端は1948年にさかのぼる。タイヤメーカーのピレリが、自社で開発した発泡ゴムを家具に応用する研究をザヌーソに委託した。この研究からアルフレックスが設立され、レディチェアはその初期の製品にあたる。

評価と影響

素材の性質から出発して、構造と生産工程の双方を組み直した例として扱われる。同じザヌーソとアルフレックスのアントロプス(1949年)が先行し、フィオレンツァ(1952年)が続く。アントロプスが発泡ゴムで全体を覆う方向をとったのに対し、レディチェアは弾性テープによる支持をより明確に打ち出している。

美術館コレクション

メトロポリタン美術館は、1951年制作の「Lady」アームチェアを収蔵番号1986.287で登録している(セオドア・R・ギャンブル・ジュニアの寄付による購入)。ニューヨーク近代美術館も1951年のレディチェアを収蔵番号1436.2000で登録している。

基本情報

名称 レディチェア / Lady Chair(型番 720 Lady)
デザイナー マルコ・ザヌーソ(Marco Zanuso)
ブランド アルフレックス(オリジナル)/カッシーナ(2015年〜)
発表年 1951年
デザインの成立国 イタリア
分類 アームチェア
構造 金属ばねを用いず、弾性テープの上に発泡素材を載せる。フレームは外に出ない
主要素材(現行) スチールロッドフレーム、ポプラ合板(肘掛け)、CFC不使用ポリウレタンフォーム、ポリエステル中綿
カバー 取り外し不可
受賞 1951年 第9回ミラノ・トリエンナーレ 金賞
収蔵 メトロポリタン美術館(1986.287)、ニューヨーク近代美術館(1436.2000)

Reference

"Lady" Armchair | The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/1986.287
720 Lady | Cassina
https://www.cassina.com/ww/en/products/lady.html