概要

インフィニティ テーブルは、ステファノ・ビジがポラダのために設計したテーブルである。数学の無限大記号に由来する無垢材の脚部を金属の円盤で受け、その上に天板を載せる。2009年にコーヒーテーブルとして発表され、まもなくダイニングテーブルへ広がった。天板の形状と素材は選択肢が多く、現在も生産が続いている。削り出した彫刻的な脚部と、円や楕円という単純な輪郭の天板を上下に重ねた構成が特徴で、ポラダとビジの協働はこの卓から始まっている。

特徴・コンセプト

無限大記号から起こした脚部

脚部は、交差しながらどこにも端をもたない閉じた曲線でできている。ビジはこの形を数学の無限大記号の曲線から起こした。天板の輪郭が円や楕円という単純な形であるのに対し、脚部は見る角度によって重なり方が変わる。

ビジはA' Design Awardへの登録記録のなかで、木という上質な素材と、ガラスや金属というありふれた素材を組み合わせることで、実体のない観念に形を与えたかったと述べている。

12の部材でつくる一本の輪

脚部はカナレットウォールナットまたはアッシュの無垢材で、12の部材から組み立てられる。断面が三次元にねじれていく形のため、表面に薄板を貼る突板や、板を層に重ねて曲げる成形合板では成立しない。どこを削っても中まで同じ木である必要があり、無垢材が前提になる。

部材が分けられている理由は木の性質にある。無垢材は繊維に沿う方向には強く、繊維を横切る方向では折れやすい。うねる曲線を一本の材から削り出せば、曲がりの外側で繊維が途切れる箇所ができる。12に分けて木取りすれば、各区間の繊維方向を曲線の向きへ合わせられる。接合部は研磨で均され、仕上がった脚部は継ぎ目の見えない一本の輪として立ち上がる。この加工はポラダの工房で手作業により行われている。

脚部は木地を着色するほか、マットのラッカー塗装も選べる。塗装にはオープンポアとクローズドポアの二通りがあり、前者は導管を埋めずに木目を残し、後者は導管を埋めて均一な面に仕上げる。

接地をまとめる金属の円盤

木の脚部は、下端で金属の円盤に固定される。曲線が交差する脚部は床に触れる位置が一定しないため、円盤で受けて接地をひとつにまとめ、天板の荷重を脚部全体へ回している。円盤の仕上げはクロムめっき、ピューター、ブラッククローム、ブラッシュドマットブラックが用意されている。

脚部を見せるための天板

発表時の天板は透明の強化ガラスだった。コーヒーテーブルでは厚さ10mm、ダイニングテーブルでは12mm。透明な板を載せることで、上から見下ろしたときにも脚部の絡み合いが読み取れる。スモークガラスも選べる。

のちに無垢材、大理石、セラミックと強化ガラスを一体化した天板が加わった。天板が長い長方形やオーバルでは、脚部を2基に増やして支点の間隔を詰めている。

使うための卓として

脚部が中央に集まる構成のため、天板の四隅に脚が立たない。椅子は縁のどこにでも寄せられ、着席できる人数は天板の大きさだけで決まる。ビジは、家具は収集の対象ではなく住まいを構成する一部であるべきだと語っており、彫刻に近い脚部を持つこの卓も、日々使う食卓として設計されている。

エピソード

2009年、ミラノに設計事務所を構えて4年目だったビジは、この卓の図面を持ってポラダを訪ねた。無垢材を削り出して入り組んだ曲線をつくるという案を、木工を続けてきたポラダの工房が引き受けた。

A' Design Awardに残る登録記録によれば、プロジェクトは2009年2月に始まり3月に完了し、同年4月のミラノサローネで公開された。最初の型は直径1200mm・高さ390mmのコーヒーテーブルで、脚部はカナレットウォールナット、円盤はクロムめっき、天板は透明ガラスという組み合わせだった。製作地はポラダの本拠であるカビアーテである。

最初の実物ができるまでは短かったが、量産の水準へ整えるまでには時間がかかった。エル・デコレーション英国版は、必要とされる手仕事のために基準を満たすまで数か月を要したと伝えている。

コーヒーテーブルとして生まれた形は、まもなくダイニングテーブルへ拡張された。その後、天板の形状と素材が増え、大型の卓では脚部を2基使う構成が加わっている。この卓はビジとポラダの最初の仕事にあたり、以後エステル チェアやコズモなど、両者の協働は続いている。

評価と影響

インフィニティは、一般的にポラダのカタログを代表する製品のひとつと評価されている。ポラダは製品ページで、ダイニングテーブルとしては円形・ガラス天板から始まり、その後セラミックや無垢材の天板、オーバルや長方形の形状へ広がったと説明している。発表から10年にあたる2019年には、エル・デコレーション英国版が既存の製品を1点ずつ解説する連載「Design Decoded」でこの卓を取り上げた。

受賞歴

  • 2009年 Young&Design 特別賞(Special Mention)/コーヒーテーブル版
  • 2011〜2012年 A' Design Award & Competition 家具デザイン部門 受賞/コーヒーテーブル版

基本情報

名称 インフィニティ テーブル / Infinity
デザイナー ステファノ・ビジ(Stefano Bigi)
ブランド ポラダ(Porada)
発表年 2009年
デザインの成立国 イタリア
分類 テーブル/ダイニングテーブル(コーヒーテーブル版あり)
脚部 無垢材12部材(カナレットウォールナット/アッシュ/マットラッカー塗装)
ベース 金属の円盤(クロムめっき/ピューター/ブラッククローム/ブラッシュドマットブラック)
天板 強化ガラス(透明・スモーク、厚さ10mmまたは12mm)/無垢材/大理石/セラミック
天板の形状 円形/オーバル/楕円/長方形(大型は脚部2基)
初出時の寸法 直径1200mm × 高さ390mm(2009年のコーヒーテーブル版)
初出 2009年 ミラノサローネ

Reference

INFINITY - TABLES - Porada
https://www.porada.it/en/product/infinity/
Infinity Coffee table by Stefano Bigi - A' Design Award & Competition
https://competition.adesignaward.com/design.php?ID=24757
Design decoded: 'Infinity' Table by Stefano Bigi for Porada - ELLE Decoration UK
https://www.elledecoration.co.uk/design/a27953618/infinity-table-stefano-big-porada/
Stefano Bigi - Behance(受賞記録)
https://www.behance.net/StefanoBigi
MFL n.36, aprile 2015 - Class Editori(インフィニティ誕生の経緯)
https://issuu.com/classlife/docs/mfl36_apr_2015_lr