概要
ベイカーソファは、フィン・ユールが1951年に発表した2人掛けのソファである。アメリカ・ミシガン州の家具メーカー、ベイカー・ファニチャーのために設計された。背もたれが左右二つに分かれ、木製フレームの上に座面と背のクッションが載る。現在はハウス・オブ・フィン・ユールが復刻版を製造している。
特徴・コンセプト
背もたれを二つに分ける
背もたれは一枚ではなく、左右二つに分かれている。中央では腰を支え、両端では背の面が斜めに向くため、身体を斜めに預けて肘と頭を休められる。2人掛けのソファでは、座る位置によって求められる支え方が変わる。分割することで、姿勢ごとに異なる面を用意している。
一枚の背もたれに比べて面の幅が狭くなるため、このサイズのソファとしては軽い印象になる。
支えるものと支えられるものを分ける
オークまたはウォールナットの無垢材によるフレームの上に、張り込んだ座面と背が載る。両者の間に隙間が残るため、クッションが床から浮いて見える。この扱いはフィン・ユールの家具に一貫しており、モデル46ソファやモデル57 ソファにも共通する。
素材と仕上げ
張り地はファブリックまたはレザーから選べ、座面と背の上部・下部で異なる生地を組み合わせることもできる。クッションにはスプリングが内蔵される。張りは手縫いで仕上げられる。
エピソード
1948年、ニューヨーク近代美術館のインダストリアルデザイン部門を率いていたエドガー・カウフマン・ジュニアがスカンジナビアを訪れ、フィン・ユールの家具に関心を持った。カウフマンが1949年に『Interiors』誌へ寄せた紹介記事が、ミシガン州グランドラピッズの家具メーカーを率いるホリス・ベイカーの目に留まる。
ベイカーはフィン・ユールにコレクションの設計を依頼し、椅子、テーブル、サイドボード、デスクなど24点の家具が生まれた。ベイカー・ファニチャーはこれらを「Baker Modern」として販売した。フィン・ユールは当初アメリカの製造品質に懐疑的だったが、グランドラピッズの工場を訪ねて技術を確かめたうえで引き受けたと伝えられる。
フィン・ユールの没後、2000年にハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンが設計の権利をワンコレクション(現ハウス・オブ・フィン・ユール)へ譲渡した。ベイカーソファは2009年に復刻されている。復刻にあたっては、フィン・ユールが残した原図と水彩のスケッチが参照された。
評価と影響
2009年の復刻版は、翌2010年のWallpaper* Design Awardsで「Best Reissue」部門を受けている。デニッシュモダンと呼ばれる家具がアメリカ市場へ広がる過程で、この協働は早い時期の例にあたる。
フィン・ユールの設計思想や経歴について詳しくはフィン・ユールプロフィールページをご覧ください。
House of Finn Juhlの歴史や他の製品について詳しくはHouse of Finn Juhlブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ベイカーソファ / Baker Sofa |
|---|---|
| デザイナー | フィン・ユール(Finn Juhl) |
| ブランド | House of Finn Juhl(旧Onecollection)/ベイカー・ファニチャー(オリジナル) |
| 発表年 | 1951年(復刻は2009年) |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | 2人掛けソファ |
| 構造 | 背もたれを左右二つに分割。フレームとクッションを分離 |
| 主要素材 | フレーム:オークまたはウォールナットの無垢材/張り地:ファブリックまたはレザー |
| サイズ | 幅195cm × 奥行80cm × 高さ98cm、座面高44cm |
| クッション | スプリング内蔵、手縫い仕上げ |
| 受賞 | Wallpaper* Design Awards 2010「Best Reissue」 |
Reference
- Baker Sofa | House of Finn Juhl
- https://finnjuhl.com/products/baker-sofa