モデル57 ソファは、デンマークの建築家・家具デザイナー、フィン・ユールが1957年にデザインした彫刻的なソファである。同年、コペンハーゲンのチボリ公園で開かれた家具展で初めて公開された。翼を広げた鳥を思わせる高いアームレストと、流れるような曲線のシルエットは当時としては前衛的で、発表から40年以上のあいだ広く受け入れられることはなかった。しかし、1999年にOnecollection(現House of Finn Juhl)によって再発売されて以降、その価値が見直され、今日ではデニッシュモダンを代表する一作として知られている。

特徴・コンセプト

モデル57 ソファの最大の特徴は、座る人を包み込むように立ち上がる高いアームレストにある。外側へゆるやかに傾くアームレストは、通常の姿勢だけでなく、足を座面に上げて横向きに座るときにも背中を支える。アームレストと背もたれが接する部分には切り込みが設けられ、横向きに座った際に腕を自然に置けるよう配慮されている。

フィン・ユールは、実用的な構造から発想するのではなく、彫刻家のような思考で家具の形をつくった。その結果、モデル57 ソファは「家具」というより「座れる彫刻」と呼ぶにふさわしい佇まいをもつ。

張地は、座面と背もたれで色や素材を変えるツートーン仕様も選べ、このコントラストが彫刻的な造形を際立たせる。手縫いの張り込み、座面に組み込まれたスプリング構造、ブラッシュドステンレスまたはバーニッシュドスチールの脚部、ウォールナットまたはオークの木製トウ(足先)の組み合わせが、見た目の軽やかさと構造の確かさを両立させている。

復刻の経緯

フィン・ユールが1989年に亡くなった後、その作品の多くは長らく生産が途絶えていた。1998年、フィン・ユールの妻で音楽・演劇の出版社を営んでいたハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンは、夫の没後10周年を記念する展覧会のために、このソファの製作をOnecollectionに依頼した。図面をもとに一点だけ製作されたこのソファの仕上がりがハンセン夫人を深く満足させ、これをきっかけにOnecollectionはフィン・ユールの家具を製造・販売する権利を託されることとなった。モデル57 ソファは同社が復刻した最初のフィン・ユール作品であり、その後50点以上の名作の復刻へとつながる出発点となった。

評価

モデル57 ソファは、発表当初は時代に先んじすぎていたために受け入れられなかったが、21世紀に入ってからの再評価は著しく、世界各地のデザイン専門店やギャラリーで扱われている。彫刻的な造形と、横向きにも座れる機能性、そして端正なエレガンスは、デニッシュモダンの魅力を今に伝えるものとして、専門家から一般の愛好家まで幅広い支持を集めている。

基本情報

名称 モデル57 ソファ / Model 57 Sofa / 57 Sofa
デザイナー フィン・ユール / Finn Juhl
デザイン年 1957年
メーカー House of Finn Juhl(旧Onecollection)
生産国 デンマーク
サイズ W234cm × D83cm × H86cm(座面高38cm)
素材 張地:ファブリックまたはレザー(手縫い)、脚部:ステンレススチールまたはバーニッシュドスチール、トウ:ウォールナットまたはオーク
構造 座面スプリング内蔵
復刻年 1999年(Onecollectionによる)