House of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィン・ユール)
House of Finn Juhlは、デンマークの家具メーカーワンコレクションが展開するブランドである。1999年から2001年にかけて、Finn Juhl(1912年〜1989年)の遺族Hanne Wilhelm Hansenから家具の製造権を託されたことを起点とし、2017年に独立したブランドとして立てられた。原図と現存する家具の調査にもとづいてFinn Juhlの設計を製品化しており、扱う設計は50点を超える。製作はデンマーク国内の自社工房で行われる。
事業と製造の実体
House of Finn Juhlの事業は、Finn Juhlが1930年代から1950年代にかけて手がけた設計を、現在の生産条件で製品化することにある。製作は運営企業がリンケビングに持つ工房と、2022年に取得したVejenの工場で行われる。
再生産にあたっての課題は、当時の家具が指物師との対話のなかで形が決められていた点にある。図面に残らない寸法や仕上げの判断が多く、原図の精査と現存する家具の実測を照合しながら意図を読み取る作業が製品化の前段となる。すでに入手できない素材については、現在得られる材へ置き換えたうえで本来の構成を保つ方針が採られている。
Finn Juhlの家具は、荷重を受ける枠と、そこに載る座・背を別の部材として組む構成を特徴とする。両者が接する部分の削り出しと仕上げに手数を要し、曲面の多い部材は機械加工だけでは仕上がらない。この構造が、製作に手作業の比重を要する理由にあたる。
沿革
1999年、運営企業は Finn Juhlの遺族Hanne Wilhelm Hansenから、追悼の展示のためにソファ1台の製作を依頼された。これを引き受けたことが関係の始まりとなり、続いて複数の設計の再生産が認められている。
2001年、Hanne Wilhelm Hansenは家具の権利すべてを同社に委ねた。同じ年、ケルンの見本市でコレクションが発表されている。当時のFinn Juhlの家具は市場でほとんど扱われておらず、新規に製造した製品が複製品と受け取られることもあった。
2017年、Finn Juhlの設計を扱う枠組みがHouse of Finn Juhlとして独立したブランドに立てられた。現在は50点を超える設計を扱い、50か国以上で販売されている。
2013年4月、ニューヨークの国連本部の信託統治理事会議場が改修を経て再び開場した。この議場は1950年から1952年にかけてFinn Juhlが設計したもので、改修にあたっては設計競技によりKasper SaltoとThomas Sigsgaardの案が選ばれている。運営企業は新たな椅子の製造を担当した。
デザイナーとの協働
House of Finn Juhlは新規の設計を委嘱するブランドではなく、Finn Juhl一人の設計を対象とする点で通常の家具メーカーと構成が異なる。権利にもとづいて対象となる設計を選び、原図と現存品の照合を経て製造の条件へ落とし込む作業が事業の中心にあたる。
Finn Juhlは、身体を支える枠と支えられる座・背を分離する構成で知られ、デンマークの家具を米国へ広める役割を果たした建築家・設計者である。
Finn Juhlの設計思想や経歴について詳しくはFinn Juhlプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
ソファでは1951年のベイカーソファがある。米国市場向けに設計されたもので、脚部と座部を分離した構成を採る。
椅子ではグラスホッパー チェアがある。このほか、1940年設計のペリカンチェア、1949年設計のチーフテンチェア、ポエトソファ、45チェアなどが製品群に含まれる。
机、卓、壁面の収納も扱われている。
基本情報
| ブランド名 | House of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィン・ユール) |
|---|---|
| ブランドの設立 | 2017年 |
| 運営企業 | OneCollection(1990年設立) |
| 製造権の取得 | 2001年(Finn Juhlの遺族Hanne Wilhelm Hansenより) |
| 本社所在地 | デンマーク・リンケビング |
| 対象となる設計者 | Finn Juhl(1912年〜1989年) |
| 公式サイト | https://finnjuhl.com |
Reference
- House of Finn Juhl - Our Approach
- https://finnjuhl.com/about/our-approach
- OneCollection - Our History
- https://onecollection.com/about/our-history/