概要

イームズ アルミナムグループ チェアは、チャールズ&レイ・イームズが1958年に発表した椅子のコレクションである。ダイキャストのアルミニウムによる側面フレームのあいだに、座面と背もたれを兼ねる一枚の張り材を渡す。ハーマンミラーが製造を始め、ヨーロッパではヴィトラが製造している。

特徴・コンセプト

張り材を渡す構造

それまでのイームズの椅子は、成形したシェルに身体を受けさせる構造をとっていた。アルミナムグループは、シェルを持たない。左右のフレームのあいだに一枚の面を張り渡し、荷重がかかると面がたわんで身体の形に沿う。詰め物を厚くせずに座り心地を得るため、椅子全体の厚みと重量が下がる。

張り材は座面から背もたれまで連続し、途中で切れない。水平方向のリブが高周波溶着によって入れられ、たわむ量が場所ごとに調整される。レザー、ファブリック、メッシュから選べる。

側面フレームが決める形

アルミニウムの側面フレームは砂型鋳造で成形され、その輪郭が背もたれの傾きと座面の位置を決める。フレームの断面形状に張り材を差し込む溝があり、外から留め具が見えない。フレームと張り材という二つの要素だけで椅子が成立する。

用途ごとのベース

同じフレームと張り材に、用途の異なるベースを組み合わせる。ダイニング用の固定脚、会議用の回転脚、チルト機構を備えた事務用のキャスター脚、くつろぐためのラウンジ仕様などである。シェルとベースを分ける考え方は、イームズ夫妻がイームズ プラスチック サイドチェア DSWで示したものと共通する。

エピソード

この椅子は、建築家エーロ・サーリネンとテキスタイルデザイナーのアレキサンダー・ジラードが、インディアナ州コロンバスに建設中だったJ・アーウィン・ミラー邸のための屋外家具を探していたことから始まった。建物にふさわしい屋外用の家具が市場になく、イームズ夫妻に相談が持ち込まれている。

イームズ夫妻は当初この椅子を「インドア・アウトドアグループ」と呼び、屋内外の双方で使える家具を目指した。しかし屋外用途としては定着せず、1959年までにハーマンミラーは名称を「アルミナムグループ」へ改めている。

チャールズ・イームズによれば、着想は封筒の裏に描いた小さな断面図から生まれたという。建築の断面図のように描かれたその図に、構造の原理がまとまっていた。イームズ・オフィスのロバート・ステイプルズが木製の試作を手で彫り、ドン・アルビンソンとともに形が詰められている。

評価と影響

張り材を渡す構造は、後の一連の設計の起点になった。1969年にはフレームを共有しつつクッションを加えたソフトパッドグループが加わり、空港用の連結座席やシェーズへと展開されている。一つの構造原理から用途の異なる家具が派生していく過程は、イームズ夫妻の進め方をよく表している。発表から半世紀以上を経て、生産が続いている。

美術館コレクション

メトロポリタン美術館は、アルミニウムとサラン繊維の張り材による1958年のラウンジチェア(収蔵番号1992.216.3)とオットマン(1992.216.4)を登録している。いずれも1992年、ロナルド・S・ケインからの寄贈である。

基本情報

名称 イームズ アルミナムグループ チェア / Eames Aluminium Group Chair
デザイナー チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)
協力 ドン・アルビンソン(Don Albinson)
ブランド ハーマンミラー(アメリカ)/ヴィトラ(ヨーロッパ)
発表年 1958年
デザインの成立国 アメリカ
分類 チェア(ダイニング、会議、事務、ラウンジ)
主要素材 ダイキャストアルミニウムのフレーム、レザー/ファブリック/メッシュの張り材
フレームの仕上げ ポリッシュ、クローム、粉体塗装
構造 左右のフレームに張り材を渡し、たわみで身体を受ける
関連製品 ソフトパッドグループ(1969年)
収蔵 メトロポリタン美術館(1992.216.3、1992.216.4)

Reference

"Aluminum Group" Lounge Chair | The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/1992.216.3
Eames Aluminium Group | Vitra
https://www.vitra.com/en-us/product/details/aluminium-chair-ea-108