概要
チャーナー チェアは、ノーマン・チャーナーが1958年に設計した成形合板の椅子である。ビーチ材の積層合板を三次元に成形したシェルを持ち、アームチェアでは一本の無垢材を曲げてアームとする。1999年からチャーナー・チェア・カンパニーが生産している。
特徴・コンセプト
層の数を場所ごとに変える
シェルは、周縁部で5層、荷重の集まるくびれた部分で15層と、積層数を連続的に変えている。全体を厚くすれば強度は上がるが重くなる。必要な箇所だけ層を増やせば、軽さを保ったまま強度が得られる。厚みの変化が、そのまま外形の絞り込みとして現れる。
一本の材でアームを回す
アームチェアのアームは、長い無垢のビーチ材を蒸気で加熱し、曲げながらねじって背もたれを包む形に成形する。部材を継いで同じ形をつくれば接合部が現れるが、一本で回せば線が途切れない。
部品を交換する
チャーナー・チェア・カンパニーは、部品を交換しながら使い続けられる設計を掲げている。シェル、アーム、脚部が別部材のため、傷んだ部分だけを替えられる。
エピソード
起源は、ジョージ・ネルソンの事務所でジョン・F・パイルが手がけた椅子にさかのぼる。ハーマンミラーのために設計され、マサチューセッツ州のプライクラフト社が生産を担ったが、構造上の問題と製造費の高さから継続が難しくなった。同社はネルソンの推薦を受けてチャーナーに再設計を依頼している。
チャーナーが設計を提出した後、プライクラフト社は計画の中止を通告した。だが実際には別の名義で生産を続けており、チャーナーがニューヨークのショールームで自身の設計を見つけたことから、1961年に訴訟となった。クレジットとロイヤリティは認められている。
1972年にプライクラフト社が生産を終えると、この椅子は市場から姿を消した。1999年、ノーマンの息子であるベンジャミンとトーマスがチャーナー・チェア・カンパニーを設立し、父の図面と仕様にもとづく復刻を始めている。
評価と影響
同じ時期の成形合板の椅子では、イームズ LCW(プライウッド ラウンジチェア)が部材を分けてゴムで結合する構成をとり、ベント・プライウッド・アームチェアは一枚の板に切り込みを入れて曲げている。チャーナー チェアは、積層数を変えることで一枚のシェルの中に強度の差をつくる方向にある。
収蔵
チャーナーの家具では、以下の収蔵が確認できる(AIC=シカゴ美術館)。同館の記録は制作年を1986年としており、1958年の設計との対応は確認できていない。
- AIC アームチェア(1986年) 収蔵番号 1986.1078
ノーマン・チャーナーの設計思想や経歴について詳しくはノーマン・チャーナープロフィールページをご覧ください。
Cherner Chair Companyの歴史や他の製品について詳しくはCherner Chair Companyブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | チャーナー チェア / Cherner Chair |
|---|---|
| デザイナー | ノーマン・チャーナー(Norman Cherner) |
| ブランド | Cherner Chair Company(1999年〜)/プライクラフト(1958〜1972年) |
| 発表年 | 1958年 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | アームチェア/サイドチェア |
| 主要素材 | 成形ビーチ合板のシェル(5層〜15層)、無垢ビーチ材の曲げ木アーム、積層合板の脚部 |
| 構造 | 積層数を場所ごとに変え、軽さと強度を両立させる |
| サイズ(アームチェア) | 幅約67cm × 奥行55cm × 高さ80cm、座面高46cm |
| 製造国 | アメリカ |
| 収蔵 | AIC(1986.1078/アームチェア、1986年) |
Reference
- Armchair | The Art Institute of Chicago
- https://www.artic.edu/artworks/1986.1078
- Cherner Chair Company
- https://www.chernerchair.com/