概要

バスケットチェアは、ナナ・ディッツェルとヨルゲン・ディッツェルが1950年に設計したラウンジチェアである。籐を編んだ椀形のシェルを、木のフレームに掛けて支える。夫妻が最初に手がけた籐のシェルで、当初は籠職人と家具職人の手仕事でつくられた。2014年からはスペインのケタルが、屋内用と屋外用の2仕様で製造している。

特徴・コンセプト

座と背をひとつの椀にまとめる

座面と背もたれを別々の部材にせず、籐を編んだひと続きの椀形にまとめている。座と背の境目がないため、身体を預ける位置が一つに決まらない。姿勢を変えながら座ることができる。製造元のケタルも、この椅子を収蔵するクーパー・ヒューイット(スミソニアン・デザイン博物館)も、さまざまな姿勢で座れる点をこの形の特徴として挙げている。

座と背を一枚の曲面にするには、板を組み合わせるより編むほうが適している。曲げた籐を編み重ねれば、継ぎ目を設けずに縁から底まで連続した面が得られる。編み目は空気を通すため、座面に熱がこもりにくい。

支える骨組みと受け止める面を分ける

シェルは自立せず、チークのフレームに掛けられている。荷重を床へ伝える骨組みは木で組み、身体を受け止める面は籐で編む。木工と籠編みという二つの手仕事を、一脚のなかで役割ごとに使い分けた構成である。

夫妻の作品を管理するナナ・ディッツェル・デザインは、支持構造とシェルを切り離したことで椅子全体が軽く見え、シェルが宙に浮いているように見えると説明している。

エピソード

籠職人と家具職人の協働

1950年、ディッツェル夫妻は籠職人R.ヴェングラー、家具職人ルドヴィ・ポントピダンと組んでこの椅子を製作した。シカゴ美術館とクーパー・ヒューイットの収蔵品は、いずれも製作者をポントピダン、素材を籐とチークとして登録している。

夫妻はこの椅子を自宅のアームチェアとして長く使い続けた。

ケタルによる製造

2014年、ケタルはミラノサローネでこの椅子を発表し、製造を始めた。屋内用は天然の籐をオークのフレームに、屋外用は雨や日差しに耐える人工繊維をチークのフレームに組み合わせる。素材を替えても、椀形のシェルを枠に掛ける構成は変えていない。

クッションの張り地には、ナナ・ディッツェルがクヴァドラのためにデザインした毛織物ハリングダールが用意されている。

評価と影響

クーパー・ヒューイットは、この椅子の有機的な形を、夫妻がのちに発表する籐の吊り椅子に先立つものと位置づけている。1959年のハンギングエッグチェアは、籐で編んだシェルを脚ではなく天井から吊る。

収蔵

以下の収蔵が確認できる。

  • シカゴ美術館 Basket Chairs(2脚、1950年頃、籐・チーク) 収蔵番号 2017.338.1-2
  • クーパー・ヒューイット(スミソニアン・デザイン博物館) Lounge Chair(1950年頃、チーク・籐) 収蔵番号 1990-141-1

クーパー・ヒューイットの収蔵名は「Lounge Chair」だが、設計者・製作者・素材・年代がシカゴ美術館の個体と一致し、寸法もほぼ同じである。

基本情報

デザイナー ナナ・ディッツェル、ヨルゲン・ディッツェル
ブランド ケタル(2014年〜)
発表年 1950年
デザインの成立国 デンマーク
当初の製作 R.ヴェングラー(籠職人)、ルドヴィ・ポントピダン(家具職人)
主要素材 当初:籐、チーク/ケタル屋内用:天然籐、オーク/ケタル屋外用:人工繊維、チーク
別名 Basket Club Chair

Reference

Basket Club Chair – Nanna Ditzel Design
https://www.nanna-ditzel-design.dk/furniture/basketclub
Basket collection – Kettal
https://www.kettal.com/collections/basket
Basket Chairs – The Art Institute of Chicago
https://www.artic.edu/artworks/240273
Lounge Chair (Denmark) – Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum
https://collection.cooperhewitt.org/objects/18634191/
Kettal Basket by Nanna & Jørgen Ditzel – Stylepark
https://www.stylepark.com/en/kettal/basket