概要
ボールクロックは、George Nelson Associates が1949年に発表した壁掛け時計である。ハワード・ミラー・クロック・カンパニーのために設計された時計群の最初の製品にあたり、モデル番号は4755。
中央の円盤から12本の金属スポークが放射状に伸び、先端に木製の球が付く。文字盤を持たず、球が時刻の目盛りを担う。
時刻を読む際、針が指す方向は12の位置との関係で判断される。数字そのものは方向を示す記号にすぎないため、位置さえ示せれば形は問わない。球を等間隔に配せば、数字と同じ役割を果たす。
特徴・コンセプト
球と放射状の構成
球と放射状の線による構成は、当時の分子模型の図示に用いられた形式と共通する。文字盤の面を持たないため、壁面が球のあいだから見える。
数字なき時計という革新
12個の球が目盛りとして働く。数字は近くで読む必要があるが、球は形として離れた位置からも判別できる。壁掛け時計は距離をおいて見られるため、この差が効く。
壁面との距離
球はスポークの先端で壁面から離れた位置にある。平面の文字盤では影は輪郭の外にしか落ちないが、球が浮いていれば壁面に個別の影が落ちる。光の角度によって影の位置が動く。
誕生の経緯
1947年、ネルソンのスタジオで複数の設計者が集まり、時計の案を検討する機会があった。その場で描かれた図案のなかからボールクロックの構成が生まれたとされるが、誰の案であったかは特定されていない。最終的にアーヴィン・ハーパーが仕上げと製品化を担当し、George Nelson Associates の作品として発表された。
評価と影響
数字を除いて位置だけで時刻を示す構成は、ペタル クロックにも見られる。線に置き換えるテンポ ウォールクロック、数字を残すリキクロックやフィレンツェ クロック、数字が直接現れるダトール5と並べると、読み取りの手がかりの与え方が段階的に異なる。
1999年よりヴィトラが正規ライセンスのもとで復刻生産している。2024年には配色を変えた限定仕様が発表された。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、AIC=シカゴ美術館)。MoMAは George Nelson Associates 名義で「Ball Wall Clock (model 4755)」として登録し、素材はクロームめっきスチール、ラッカー塗装の木、エナメル塗装の金属とされる。AICはアーヴィン・ハーパーの設計として登録している。
- MoMA ボール ウォールクロック(model 4755、1952年頃) 収蔵番号 1276.2018
- AIC ボールクロック(1948-69年) 収蔵番号 1999.678
製造と仕様
オリジナルは1949年から1980年代中頃まで、ハワード・ミラー・クロック・カンパニーが製造した。現在はヴィトラが製造している。
中央の円形ベースから12本のスポーク(真鍮または鋼)が伸び、先端に木製の球をネジで固定する。直径は約33cm、奥行は約6.5cm。復刻版のムーブメントはクオーツ式で、単3電池1本で駆動する。
配色は複数用意される。球ごとに色を変えられるため、12個の球で複数色を組み合わせる仕様と、単色で揃える仕様がある。
ジョージ・ネルソンの設計思想や経歴について詳しくはジョージ・ネルソンプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ジョージ・ネルソン(George Nelson)/ アーヴィン・ハーパー(Irving Harper) |
|---|---|
| デザイン年 | 1949年 |
| 初期製造元 | ハワード・ミラー・クロック・カンパニー(Howard Miller Clock Company) |
| 現在の製造元 | ヴィトラ(Vitra) |
| サイズ | 直径:約33cm / 奥行:約6.5cm |
| 素材 | 木材(ボール部分)、金属(スポーク部分) |
| ムーブメント | クオーツ式(単3電池1本使用) |
| カラーバリエーション | マルチカラー、ナチュラル、チェリーウッド、ブラック、レッド、オレンジ他 |
| 収蔵美術館 | ニューヨーク近代美術館(MoMA、収蔵番号1276.2018)、シカゴ美術館(収蔵番号1999.678) |