概要
PP501は、ハンス・J・ウェグナーが1949年に発表したアームチェアである。背もたれとアームレストが一本の半円を描き、座面には籐(ケイン)を手編みで張る。デンマークではラウンドチェア、アメリカではザ・チェアと呼ばれる。ヨハネス・ハンセンの工房でJH501として製作され、現在はPP Møblerが生産している。
特徴・コンセプト
籐編みの座面
座面にはラタン(籐)の蔓の外皮を剥いだ材を用いる。竹に似た見た目でありながら柔軟性が高く、座枠に手で編み込むことで、面としてわずかにたわむ座になる。1949年の初出時からこの仕様で、501という型番は座面が籐であることを指す。
柔軟性の代償として、籐は乾燥に弱い。PP Møblerは、乾くと割れるおそれがあるため定期的に湿らせるよう案内しており、籐部分の保証は2年、用途は家庭用に限られる。湿度や使用頻度が読めない屋外や商業施設には向かない。この制約を外したモデルが翌年のPP503 ザ・チェアである。
背と肘の一体
背もたれから左右のアームレストまでが途切れずにつながり、上から見ると半円を描く。背は5インチ厚の無垢材から削り出され、アームレストは3つの部材を接いで構成される。手が触れる部分に段差や継ぎ目の金物が現れないため、どこを握っても同じ感触になる。部材の詳細は ラウンドチェア にまとめている。
1949年の初期型では、背とアームレストの接合部を籐の巻きで覆っていた。座面の籐編みと巻きの籐が呼応する構成である。現行のPP501は、翌年のPP503で採用された接合方法を共有しており、木の面がそのまま現れる。
寸法と樹種
幅63cm、奥行52cm、高さ76cm、座面高44cm、アームレスト高70cm。樹種はオーク、アッシュ、チェリー、ウォールナットから選べる。仕上げはソープ仕上げ、ホワイトバイオオイル、クリアバイオオイルが用意され、樹種によって選べる組み合わせが異なる。PP Møblerは、材の調達と乾燥に長い時間がかかるため生産数が限られると案内している。
収蔵
ニューヨーク近代美術館は、オーク材・籐座の1949年型を建築・デザイン部門に収蔵している(収蔵番号486.1953、1953年、ゲオルグ・イェンセン社からの寄贈)。寸法は幅62.5cm、奥行54cm、高さ76.2cm、座面高43.2cmと記録されており、現行品とわずかに異なる。
評価と影響
1950年にアメリカの雑誌『Interiors』がこの椅子を取り上げたこと、1960年のケネディとニクソンのテレビ討論会で用いられたことなど、国外で知られていく経緯については ラウンドチェア を参照されたい。ウェグナー自身は後年、輸出の成功ではなく、他のどの仕事よりも入念に検討した点において自身の最良の仕事だと述べている。
ハンス・J・ウェグナーの設計思想や経歴について詳しくはハンス・J・ウェグナープロフィールページをご覧ください。
PPモブラーの歴史や他の製品について詳しくはPPモブラーブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | PP501 ザ・チェア(ラウンドチェア) |
|---|---|
| デザイナー | ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner) |
| ブランド | PP Møbler(当初はヨハネス・ハンセン) |
| 発表年 | 1949年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 座面 | 籐(ケイン)の手編み |
| 樹種・仕上げ | オーク、アッシュ、チェリー、ウォールナット/ソープ、ホワイトバイオオイル、クリアバイオオイル |
| サイズ | 幅63cm × 奥行52cm × 高さ76cm、座面高44cm、アームレスト高70cm |
| 取り扱い | 籐の座面は定期的に湿らせる必要がある(籐の保証は2年・家庭用に限定) |
| 旧型番 | JH501(ヨハネス・ハンセン時代) |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(486.1953) |
Reference
- pp501/pp503 | Round Chair | PP Møbler
- https://pp.dk/product/pp501-pp503/
- Hans Wegner. Armchair (1949) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/4041