概要
モデル75は、ニールス・オットー・モラーが1954年に発表したダイニングチェアである。肘掛けを持たず、平らな板の背もたれとペーパーコードの座面を組み合わせる。モラー自身が1944年に設立したJ.L. Møllers Møbelfabrikで、発表以来つくり続けられている。
特徴・コンセプト
貫を必要としない接合
座枠の四隅では、木のダボが互いに噛み合う形で組まれる。この接合によって座枠そのものが四方向の力を受け止められるため、通常のダイニングチェアで脚を横につなぐ貫がなくても強度が成立する。
モラーはそのうえで貫を残しているが、位置を通常より高く上げている。脚の下側が抜けて見えるため、床に近い部分の視覚的な重さが減る。構造上は不要になったものを、意匠のために配置し直した処理である。
肘掛けを持たない形
背もたれは平らな板で、左右への張り出しがない。肘掛けもないため、使わないときはテーブルの下に深く押し込める。1950年代のデンマークでは住宅の規模が小さく、椅子を並べたときの占有面積が設計上の条件になっていた。テーブルまわりに複数脚を置くことを前提とした寸法と輪郭になっている。
素材と仕上げ
フレームはオーク材やビーチ材の無垢材で、オイル、ソープ、ラッカーの各仕上げのほか、燻煙オークやブラックステインも選べる。座面はペーパーコード(ナチュラルまたはブラック)が基本で、ファブリックや本革の張地も用意される。ペーパーコードは編み込んだ面がわずかにたわみ、座る人の体重で沈み込む。
エピソード
モラーは1944年にオーフスでJ.L. Møllers Møbelfabrikを設立し、1946年に最初の椅子を発表した。モデル75はその後の一連のダイニングチェアの初期にあたる。1961年にはヘイビャウに工場を設け、現在もこの工場で生産が続く。
工場には大規模な組立ラインがなく、職人が工程ごとに分担して一脚ずつ仕上げる。接合はホゾとホゾ穴による伝統的な方法をとり、最終的な研磨も手作業で行われる。
評価と影響
発表から70年を経て生産が続いており、デンマークのダイニングチェアの標準的な形のひとつとして扱われている。1950年代から1960年代に製作された個体は中古市場でも流通しており、現行品と同じ製法で作られている。
ニールス・オットー・モラーの設計思想や経歴について詳しくはニールス・オットー・モラープロフィールページをご覧ください。
J.L. Møllers Møbelfabrikの歴史や他の製品について詳しくはJ.L. Møllers Møbelfabrikブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | モデル75 / Model 75 |
|---|---|
| デザイナー | ニールス・オットー・モラー(Niels Otto Møller) |
| ブランド | J.L. Møllers Møbelfabrik |
| 発表年 | 1954年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | ダイニングチェア |
| 主要素材 | フレーム:オーク材またはビーチ材の無垢材/座面:ペーパーコード、ファブリックまたはレザー |
| サイズ | 幅50cm × 奥行47cm × 高さ75cm、座面高44cm |
| 接合 | 座枠四隅の木ダボ嵌合とホゾ組み |
Reference
- Model 75 | North Sea Design
- https://www.northseadesign.nl/en/model-75-no-moeller.html
- J.L. Møllers Model 75 Side Chair | Hansen Interiors
- https://www.hanseninteriors.com/products/moller-75-chair-side-chair