概要
コステスチェアは、フィリップ・スタルクが1984年に設計した椅子である。パリのカフェ・コステスのために設計された。前に2本、後ろ中央に1本という3本脚の構成をとる。ドリアデが製造している。
デザインの特徴と哲学
脚は前に2本、後ろ中央に1本の3本による。4本脚では後方に2本が並ぶが、1本に絞れば背後を通る動線に脚が張り出さない。背もたれと座面は湾曲した合板のシェルで、背が円周に沿って回り込む。脚は黒く塗装したチューブスチールによる。座面にはポリウレタンフォームのレザークッションを載せる。
既存の形式との関係
背もたれは既存の形式を踏まえた曲面をとる。装飾を排するモダニズムの方向に対し、輪郭に既存の椅子の記憶を残す扱いにあたる。同じスタルクによるルイゴーストも、既存の様式の輪郭を透明樹脂で置き換えている。
製造とブランドの協働
製造はドリアデによる。初期の一部はドリアデのブランドであるアレフ名義でも流通した。
3本脚の理由
3本脚という構成は、カフェの給仕が脚につまずかないようにという配慮によるとされる。テーブルのあいだを通る際、後方に脚が2本あれば足を引っ掛ける機会が増える。カフェ・コステスは1994年に閉店したが、椅子の生産は続いている。
評価と影響
3本脚は不整地でも接地するが、後方の1本に荷重が集まるため断面の設計が要る。同じ3本脚ではメリベルスツールが座面を円形とし、背を持たない。コステスは背を持つため、後方の脚が背の支持も兼ねる。
シカゴ美術館が収蔵する 2017.414 は Royalton ダイニングチェア(1988年)であり、コステスチェアとは別の作品にあたる。MoMAにもスタルクの椅子が複数収蔵されているが、いずれも別の製品で、コステスチェア自体の収蔵は、公開情報の範囲では確認できていない。
フィリップ・スタルクの設計思想や経歴について詳しくはフィリップ・スタルクプロフィールページをご覧ください。
ドリアデの歴史や他の製品について詳しくはドリアデブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | フィリップ・スタルク(Philippe Starck) |
|---|---|
| ブランド | ドリアデ(Driade) |
| デザイン年 | 1984年(設計は1982年頃、カフェ・コステス開業に合わせて製品化) |
| サイズ | 幅475mm×奥行600mm×高さ800mm(座面高470mm) |
| 素材 | チューバルスチール(黒色塗装)、マホガニー合板、レザー、ポリウレタンフォーム |
| 用途 | ダイニングチェア、ラウンジチェア、カフェチェア |
| 特徴 | 三本脚構造、湾曲合板シェル、ポストモダンデザイン |