このページについて
コステスは、フィリップ・スタルクが1982年に設計しドリアデが1984年から製造する椅子である。背もたれが円筒状に曲がり、脚は3本。前に2本、後ろの中央に1本を配する。
このページでは、3本脚がもたらす設置と使い方の条件、選べるシェルの仕上げ、同種の椅子との比較、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
フィリップ・スタルクの設計思想や経歴について詳しくはフィリップ・スタルク プロフィールページをご覧ください。
コステスチェアのデザインストーリーについて詳しくはコステスチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
コステスチェアの誕生は、パリのカフェオーナー、ジャン=ルイ・コステスがスタルクに内装デザインを依頼したことに端を発する。当時イタリアではほとんど無名であったスタルクにとって、このプロジェクトは国際的名声を確立する転機となった。三本脚という構造は、カフェ空間でウェイターが椅子の脚につまずかないようにという実用的な着想から生まれた。湾曲した合板シェルは、以前のモダニズムの禁欲的な機能主義に対し、より人間的で感情的な要素を取り入れたポストモダンの精神を反映している。現行品ではフレームにナノテクノロジーベースの金属合金・セラミック塗装(チタニウムカラー)が採用されており、製造技術の進化が反映されている。
| 正式名称 | Costes(コステス)アームチェア |
|---|---|
| 製造ブランド | ドリアデ(イタリア) |
| 製造国 | イタリア |
| フレーム | 鋼管。つや消しの仕上げまたは黒の塗装から選ぶ |
| シェル | 曲げた合板。内部にポリウレタンのフォームを入れる |
| シェル仕上げ | マホガニー、オーク、竹などの突板から選ぶ。黒く染めた仕様もある。全面に革を張る仕様も用意される |
| 座面 | ポリウレタンのフォームに革を張る。張り替えを前提としない固定式 |
| サイズ | 幅480 × 奥行580 × 高さ800mm、座面高470mm |
| 脚構造 | 3本。前に2本、後ろの中央に1本を配し、いずれも外へ傾く |
| 使用環境 | 屋内向け |
| 参考価格帯 | ドリアデは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。シェルの仕上げと張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 収蔵 | 本製品の美術館収蔵は、公開情報の範囲では確認できていない。同じ設計者の他の椅子では、AIC が Royalton Dining Chair(2017.414)を、MoMA が複数の作品を収蔵している |
| リードタイム | 受注生産。納期は取扱店に確認する |
| 生産状況 | 現行 |
三本脚構造の革新性
3本脚の構成は、カフェでの給仕の動線に配慮した結果として採られた。前面二本、背面中央一本の強い傾斜を持つ脚は、視覚的な軽快さと十分な構造的安定性を両立させている。背もたれから座面へと連続する湾曲合板シェルは一枚の殻として人体を包み込み、接合部のない清潔なエッジラインが簡素な優雅さを際立たせる。この構造はポストモダンの装飾性と機能主義のバランスを示すものであり、形態の絶対性を追求しつつも実用性と美的価値を損なわないスタルクの設計哲学の核心を表している。
シェルバリエーションの多彩さ
現行生産のコステスチェアは、合板シェルの仕上げにおいて極めて多彩な選択肢を提供している。オリジナルのダークマホガニーに加え、エボナイズド(黒染め)マホガニー、ナチュラルマホガニー、グレーオーク、エボナイズドオーク、ストライプドウェンジ、バンブー、グレーエラブルメイプルが選択可能であり、それぞれが異なる空間の個性に対応する。加えてフルレザー張り版ではシェル全体がレザーで覆われ、より柔らかく都会的な印象となる。フレームもチタニウムカラーのナノテクノロジー塗装版と従来の黒色塗装版が選択でき、シェルとフレームの組み合わせにより空間演出の幅が大きく広がる。
類似商品・競合との比較
脚の本数は、床との接し方と安定の性質を決める。3本と4本では、不陸への対応と傾きやすさが異なる。
| 比較項目 | コステス | ナガサキチェア | CH24 ウィッシュボーンチェア |
|---|---|---|---|
| 脚の本数 | 3本(前2・後ろ1) | 3本 | 4本 |
| 床の不陸 | がたつかない | がたつかない | 調整が要る場合がある |
| 背もたれ | 円筒状に曲がり、肘掛けを兼ねる | 面で受ける | 笠木が肘掛けを兼ねる |
| 座面 | ポリウレタンに革を張る(固定式) | 穴を開けた金属の板 | ペーパーコードを編む |
| 座面高 | 470mm | 製品による | 製品による |
選び分けの目安
- 床が平らでない場所に置く場合
- 3本脚は3点で床に接するため、不陸があってもがたつかない。4本脚では脚裏の調整が要る場合がある。
- 座ったまま身体を動かす場合
- 後ろの脚が中央の1本のため、後方の左右へは傾きやすい。背もたれに体重をかけて身体をひねる動作では、この点に注意する。
- 座面を後から替えたい場合
- 座面の革は固定式で、張り替えを前提としない。
使用感と設置条件
3本脚の性質
前に2本、後ろの中央に1本を配する。3点で床に接するため、床に不陸があってもがたつかない。
そのかわり、後ろの脚が中央の1本であるため、後方の左右へは傾きやすい。背もたれに体重をかけて身体をひねる動作では、この点に注意する。
脚はいずれも外へ傾く。床に接する範囲が座面の投影より広くなるため、狭い場所に置く際は確かめる。
背もたれと肘
背もたれが円筒状に曲がり、そのまま肘を置く高さまで回り込む。背もたれと肘掛けが1つの面として連続する。
身体の側面まで覆われるため、座ったまま大きく身体をひねる動作には制約がある。
設置に要する寸法
幅480×奥行580×高さ800mm、座面高470mm。座面高470mmは一般的な食卓の椅子と同程度である。
背もたれが円筒状に張り出すため、テーブルの下に収める場合はこの張り出しを確かめる。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
シェルは曲げた合板に突板を貼る。表層が薄いため、深い傷では下地の合板が出る。曲げた部分は応力がかかった状態にある。
座面の革は使用によって色と艶が変わる。固定式のため張り替えを前提としない。傷んだ場合の対処は取扱店に確認する。
鋼管の仕上げは、擦れると下地が現れる。脚は床に近く、掃除機や他の椅子が当たる位置にある。
日常の手入れ
- シェル
- 乾いた柔らかい布で拭く。水分を残さない。
- 座面の革
- 乾いた布で埃を払う。年に数回、革用のクリームで油分を補う。
- 脚
- 乾いた布で拭く。脚裏の保護材の状態を確かめる。
- 置き場所
- 屋内向けである。直射日光と暖房の風を避ける。
どこで買うか
取扱店の調べ方
ドリアデは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決める項目は、シェルの仕上げ(突板の樹種、または全面に革を張る仕様)、脚の仕上げ、座面の革の色である。受注生産のため、納期は取扱店に確認する。
実物を確認する
背もたれが身体の側面まで覆う感触と、後方への傾きやすさは、座ってみないと分からない。テーブルに寄せる場合、背もたれの張り出しもあわせて確かめられるとよい。
中古の流通
1984年以降の個体が流通している。相場は年式、仕上げ、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、シェルの突板の剥がれと曲げた部分の状態、座面の革のひび割れ、脚の仕上げの擦れ、シェルと脚の接合部の緩み、脚裏の保護材の有無である。座面の革は固定式のため、傷みがある場合の対処を取扱店に確認しておく。
購入前チェックリスト
- シェルの仕上げ(突板の樹種/全面に革を張る仕様)
- 脚の仕上げと座面の革の色
- 設置場所の寸法(幅480×奥行580×高さ800mm)
- テーブルに寄せる場合、背もたれの張り出し
- 後ろの脚が中央の1本のため後方の左右へ傾きやすいこと
- 座面の革が固定式であること
- 屋内向けであること
- 中古の場合、突板の剥がれと接合部の緩み
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- ドリアデは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。シェルの仕上げと張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- ドリアデの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産のため納期もあわせてご確認ください。
- なぜ脚が3本なのですか?
- カフェでの給仕の動線に配慮した結果として採られた構成です。前に2本、後ろの中央に1本を配します。3点で床に接するため、床に不陸があってもがたつきません。
- 3本脚で安定しますか?
- 3点で床に接するため床の不陸には強くなっています。ただし後ろの脚が中央の1本であるため、後方の左右へは傾きやすくなります。背もたれに体重をかけて身体をひねる動作ではこの点にご注意ください。
- 座り心地はどうですか?
- 背もたれが円筒状に曲がり、そのまま肘を置く高さまで回り込みます。背もたれと肘掛けが1つの面として連続し、身体の側面まで覆われます。そのため座ったまま大きく身体をひねる動作には制約があります。座面高470mmは一般的な食卓の椅子と同程度です。
- 座面の革は張り替えられますか?
- 座面の革は固定式で、張り替えを前提としない構造です。傷んだ場合の対処は取扱店にご確認ください。
- テーブルの下に収まりますか?
- 背もたれが円筒状に張り出すため、この張り出しをご確認ください。また脚がいずれも外へ傾くため、床に接する範囲は座面の投影より広くなります。
- 手入れはどうすればよいですか?
- シェルは乾いた柔らかい布で拭き、水分を残さないでください。突板を貼った構造のため、深い傷では下地の合板が出ます。座面の革は乾いた布で埃を払い、年に数回クリームで油分を補ってください。屋内向けの製品です。