概要
キャブ412は、マリオ・ベリーニが1977年にカッシーナのために設計したアームレスのチェアである。スチールパイプのフレームに、裁断した革を縫い合わせたカバーをかぶせ、脚の内側を走るジッパーで留める。革そのものが外形を保つ構造をとり、フレームは外から見えない。
特徴・コンセプト
革が外形を保つ
骨格に皮膚がかぶさる関係を椅子に置き換えた構成である。黒く塗装したスチールパイプのフレームが荷重を受け、その上を厚手のサドルレザーが覆う。座面には黒い樹脂のシェルが入り、冷間成形のポリウレタンフォームが詰められる。
張り地としての革は木や金属の面に留め付けるのが通例だが、キャブでは革のカバーが立体として自立し、フレームはその内側に隠れる。カバーは脚の内側に通したジッパーで固定され、取り外せる。
アームレスの形
412にはアームレストがない。背もたれは座面から立ち上がってそのまま終わり、側面の輪郭は上下に通った直線に近い。同じ設計でアームレストを備えたキャブ 413と比べると幅が10cm狭く、テーブルの下に収めやすい。
標準寸法は幅52cm、奥行49cm、高さ82cm、座面高45cm。ダイニングテーブルに複数脚を並べる用途を主に想定した寸法である。
3つのサイズ
2019年以降、標準に加えて2つの寸法が用意されている。奥行を5cm広げたXL(型番M)と、小ぶりなBaby(型番B)である。いずれも同じ手作業の工程で作られる。
革の色は、グレー、ブライヤールート、ロシアンレッド、トープ、ブルー、ブラックなどが標準で、マロングラッセ、ボルドー、グリーン、ブルーには手作業でぼかしをかけた仕上げもある。
評価と影響
カッシーナの現行コレクション「イ・コンテンポラネイ」の一点として生産が続いている。412と413に共通する設計と製法については キャブ にまとめている。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、スチールパイプと革によるキャブのサイドチェアを収蔵番号475.1978で登録している(1978年、製造元からの寄贈)。同館は制作年を1976年とし、寸法を幅47.6cm・奥行47.3cm・高さ81.9cm、座面高45.1cmと記録している。現行品とはわずかに異なり、初期の個体にあたる。
マリオ・ベリーニの設計思想や経歴について詳しくはマリオ・ベリーニプロフィールページをご覧ください。
カッシーナの歴史や他の製品について詳しくはカッシーナブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | キャブ 412 / Cab 412 |
|---|---|
| デザイナー | マリオ・ベリーニ(Mario Bellini) |
| ブランド | カッシーナ(Cassina) |
| 発表年 | 1977年(美術館の記録では1976年) |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | ダイニングチェア(アームレス) |
| 主要素材 | 黒塗装スチールパイプ、樹脂製シートシェル、冷間成形ポリウレタンフォーム、サドルレザー |
| サイズ(標準) | 幅52cm × 奥行49cm × 高さ82cm、座面高45cm |
| 寸法展開 | 標準、XL(奥行+5cm)、Baby |
| コレクション | イ・コンテンポラネイ |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(475.1978) |
Reference
- Cab Side Chair | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/3982