概要

イームズ エレファントは、チャールズ&レイ・イームズが1945年に成形合板でつくった象の形の玩具である。1945年12月に成形合板の椅子とあわせて公開されたが、当時は生産に移らなかった。ヴィトラが2007年に限定版を出し、2017年から合板版の量産を開始している。プラスチック版と、寸法を小さくしたスモールも展開されている。

特徴・コンセプト

成形合板の限界を試す形

1940年代初頭、イームズ夫妻は薄い板を三次元の曲面に成形する技術の開発に数年を費やしていた。椅子だけでなく彫刻や玩具をつくったのは、材料を節約しながら小さな形で成形の可能性を試すためである。象は2枚のシェルを左右で合わせる二部構造をとり、曲率のきつい複合曲面を含む。この一連の造形のなかで最も技術的に難しい題材となり、量産には至らなかった。

耳から胴、脚へと続く面は、成形合板が割れずに曲がりうる限界を探った結果として決まっている。玩具としての親しみやすさと、技術的な試作という性格が同じ形の上に重なっている。

素材とバリエーション

ヴィトラの合板版は、アメリカンチェリーの突板を表面に用いたものを基本とし、ウォールナット、チェスナット、グレーに着色したアッシュ(番号を付した特別仕様)が加わる。プラスチック版はポリプロピレン製で、屋外でも使える。のちに産業由来の再生プラスチックを用いた「イームズ エレファント RE」と、寸法を小さくした「イームズ エレファント(スモール)RE」が加わった。色は複数から選べる。

エピソード

成形に用いた型はイームズ・オフィスで設計・製作された。1945年12月、バークレー・ホテルで開かれたプレス向けの展示で成形合板の椅子とともに公開され、翌1946年には建築連盟のプレビューとニューヨーク近代美術館の展示にも出ている。それでも当時は生産に移らなかった。

つくられた1体は、チャールズの当時14歳の娘ルシア・イームズに贈られ、現在もイームズ家のアーカイブに残っている。1946年のニューヨーク近代美術館の展示にはこの個体が貸し出された。

ヴィトラは2007年、チャールズ・イームズの生誕100年を機に合板版を2000点の限定生産で世に出した。2017年からは定番として量産され、その後プラスチック版が加わったことで、当初想定されていた子どもの手に届く玩具としての姿になった。チャールズ・イームズは玩具について、見た目ほど無邪気なものではなく、真面目な考えの前触れなのだという趣旨の言葉を残している。

基本情報

名称 イームズ エレファント / Eames Elephant
デザイナー チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)
ブランド ヴィトラ(Vitra)
発表年 1945年(当時は生産に至らず)
製品化 2007年 合板版を2000点限定生産/2017年より量産
デザインの成立国 アメリカ
分類 キッズ・ベビー/インテリア雑貨
主要素材 成形合板(チェリー、ウォールナット、チェスナット、着色アッシュ)/ポリプロピレン(再生材のREを含む)
サイズ 通常版とスモールの2種

Reference