LC6テーブルが長く愛される理由
LC6テーブル(LC6 Table)は、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンの三者によって1928年に設計されたテーブルである。翌1929年、パリのサロン・ドートンヌで「住居設備」と題された展示空間の一部として発表された。1964年よりイタリアのカッシーナ(Cassina)が正規ライセンスのもとで製造を継続している。
LC6の核心は、支持する部分(ベース)と支持される部分(天板)を明確に分離した構成にある。航空機に用いられた楕円断面のスチールパイプによる重いベースが、4つの支持体を介して天板を受ける。両者は互いに完結した別々の要素であり、そのあいだには意図的な空隙が設けられている。装飾を持たない工業素材によって近代の生活空間を組み立てようとした試みの、具体的な帰結である。
本ページでは、LC6テーブルの購入を検討されている方に向けて、正規品の仕様・サイズ・天板素材・ベースカラー・価格、類似商品との比較、暮らしへの取り入れ方、経年変化とメンテナンス、購入方法、よくある質問までをお伝えする。
ル・コルビュジエの設計思想や経歴について詳しくはル・コルビュジエ プロフィールページをご覧ください。
LC6テーブルのデザインストーリーについて詳しくはLC6テーブル紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
LC6テーブルはカッシーナの「イ・マエストリ(I Maestri)」コレクションに属し、権利者との協力のもと、原設計図面に基づいてイタリアで製造されている。すべての正規品には固有の製造番号が刻印される。
| 正式名称 | LC6テーブル / LC6 Table(通称「テューブ・ダヴィオン」=航空機パイプ) |
|---|---|
| デザイナー | ル・コルビュジエ(Le Corbusier, 1887–1965)、ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret, 1896–1967)、シャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand, 1903–1999) |
| デザイン年 | 1928年(1929年サロン・ドートンヌにて発表) |
| ブランド | Cassina(カッシーナ)/ イタリア。1964年にLCコレクションの正規ライセンスを取得 |
| コレクション | イ・マエストリ(I Maestri) |
| 製造国 | イタリア |
| 天板サイズ | ガラス・大理石:W2250 × D850mm / 木製:W1700 × D750mm(天板素材によりサイズが異なる) |
| ベースサイズ | 約W1600 × D700mm |
| 高さ | 約690〜740mm。4つの支持体(スチールねじ式シャンク)により最大50mm程度の調整が可能 |
| ベース | 中空スチールパイプ(航空機に用いられた楕円断面の部材に着想)。溶接跡を残さない仕上げ、角部はマイター接合 |
| ベースカラー | ル・コルビュジエの色彩パレットによるエナメル塗装:ブラック、ライトブルー、グレー、グリーン、マッド(トープ)、アイボリー |
| 天板(ガラス) | クリスタルガラス(透明)、テクスチャードガラス(型板ガラス) |
| 天板(木製) | ナチュラルオーク、ブラック染色オーク、アメリカンウォールナット |
| 天板(大理石) | ホワイト・カラーラ大理石(ブラック+ホワイトベースのみ対応)、ブラック・マルキーナ大理石(ブラックベースのみ対応) |
| 真正性保証 | 固有の製造番号刻印。著作権による保護 |
| 参考価格帯 | 天板素材とベースカラーの組み合わせにより大きく変動する。ガラス天板が最も手頃で、大理石天板が最も高額となる。正規販売店への見積もり依頼を推奨 |
| 納期 | 受注生産。数週間から数ヶ月を要する場合がある(仕上げ・時期により変動) |
航空機産業に着想を得たベース構造
LC6のベースは1928年に設計され、複葉機の翼間を支持する楕円断面のストラットに着想を得ている。中空スチールパイプを溶接跡が残らないよう仕上げ、角部はマイターで納める。4つの支持体はベースと天板の間に空隙を生み、重いベースの上に天板が浮いているように見せる。この支持体はスチールねじ式シャンクにより、最大50mm程度の高さ調整を兼ねる。
天板の選択
ガラス天板を選ぶと、ベースの構造が天板越しにそのまま見える。天板を「載っているだけのもの」として扱うLC6の設計が、最も明瞭に読める選択である。透明のクリスタルガラスはベースを完全に露出させ、テクスチャードガラス(型板ガラス)は半透明の表面がベースの輪郭を柔らかく透かす。
木製天板はナチュラルオーク、ブラック染色オーク、アメリカンウォールナットから選択できる。ガラスとは異なる温かみを持ち、日常のダイニングテーブルとしての実用性が高い。ただし木製天板のサイズは1700 × 750mmとなり、ガラスや大理石の2250 × 850mmより小さくなる点に留意されたい。大理石天板はホワイト・カラーラまたはブラック・マルキーナから選択でき、天然石ならではの紋様が一点ごとに異なる。ベースカラーとの組み合わせには制限がある。
類似商品・競合との比較
LC6テーブルは「20世紀モダニズムの巨匠による建築的ダイニングテーブル」というカテゴリに位置する。同じカッシーナのイ・マエストリ、およびモダニズムのダイニングテーブルとの比較を示す。
| 比較項目 | LC6テーブル(カッシーナ) | LC12 ラ・ロッシュ(カッシーナ) | バルセロナ・テーブル(ノル) |
|---|---|---|---|
| デザイナー | ル・コルビュジエ&ジャンヌレ&ペリアン(1928年) | ル・コルビュジエ&ジャンヌレ(1925年) | ミース・ファン・デル・ローエ(1929年) |
| 構造的特徴 | 航空機の構造材に着想したベース。4つの支持体で天板を浮かせる。高さ調整可 | プロポーションの逆転。細い脚部×厚い天板。内側配置の脚 | X字型クロムスチール脚。クロスフレームの構造美 |
| 天板素材 | ガラス / 木材 / 大理石 | ガラス / 木材 | ガラスのみ |
| ベースカラー | 6色エナメル塗装(コルビュジエの色彩パレット) | クロムめっき / ライトブルー塗装 | クロムスチール |
| サイズ | 天板素材により225×85cmまたは170×75cm | LC6より小型 | 多サイズ展開 |
| 発表の場 | 1929年サロン・ドートンヌ | ラ・ロッシュ邸(1925年) | バルセロナ・パヴィリオン(1929年) |
| 価格帯 | 天板素材により大きく変動 | LC6より抑えられる傾向 | LC6より抑えられる傾向 |
選び方の指針
ベースと天板を切り離すという構成に惹かれる方、ガラス・木材・大理石という天板の選択肢と6色のベースカラーから組み合わせを選びたい方には、LC6が適している。ガラスまたは大理石天板の225×85cmは6〜8名のダイニングやコンファレンスに対応し、本格的な食卓を求める方に応える。
同じコルビュジエ作品であるLC12はLC6より小型で、デスクやコンソールとしても使える。プロポーションを反転させた造形に惹かれる方に適している。ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナ・テーブルは1929年の同時代の作であり、X字型フレームのミニマルな構成を好む方に向いている。
使用感と暮らしへの取り入れ方
ダイニングテーブルとしての使用感
ガラスまたは大理石天板の225×85cmは、6〜8名が着座できる本格的なダイニングテーブルとなる。奥行85cmは、向かい合って座る二人が料理を共有するのに足り、なおかつ互いの顔が見える距離を保つ。4つの支持体による高さ調整(約69〜74cm)は、組み合わせるチェアの座面高に応じて天板を追い込める実用的な機構である。
木製天板の170×75cmは4〜6名のダイニングに適し、日本の住環境にも収まりやすい。ダイニングテーブルとしてだけでなく、ワークテーブルやコンファレンステーブルとしても機能する。
ガラス天板は食器やグラスの接触音が響くため、日常使用ではランチョンマットやテーブルランナーの併用が現実的である。木製天板は日常のダイニングに向き、大理石天板は重量があるぶん配置換えが難しくなる。この三つの選択は、見え方だけでなく日々の扱いやすさも分ける。
空間別のコーディネート提案
ダイニングルームでは、同じLCコレクションのLC7スイヴル・チェアやLC1スリング・チェアと組み合わせることで、1929年サロン・ドートンヌの展示空間に近い構成が得られる。ベースカラーをブラック、チェアのレザーをブラックで統一すればモノクロームの空間に。ライトブルーのベースを選べば、コルビュジエのポリクロミー(建築的多色彩)を食卓に持ち込む提案となる。
ミースのブルーノ・チェアやブロイヤーのチェスカ・チェアなど、同時代のスチールパイプ家具と組み合わせる方法もある。同じ工業素材を用いた椅子とテーブルが並ぶことで、素材の系統が揃う。
オープンプランのリビングダイニングでは、クリアガラス天板を選ぶと視線が天板を通り抜け、テーブルが空間を分断しない。床から立ち上がるベースの構造だけが視界に残る見え方は、間仕切りの少ない住空間との相性がよい。
経年変化とメンテナンス
素材別の経年変化
エナメル塗装のベースは、長期にわたり色調が安定する。ガラス天板は物理的な破損がない限り、ほとんど変化しない。木製天板はオーク材やウォールナット材の性質により、時間とともに色味がわずかに深まる。大理石天板は使用に伴い微細な傷が入り、艶が落ち着いていく。
日常メンテナンス
カッシーナは製品に素材別のケア&メンテナンスマニュアルを提供している。ガラス天板はガラスクリーナーでの清掃が可能。指紋や水滴痕が目立ちやすいため定期的な拭き上げを推奨する。木製天板は柔らかい布での乾拭きが基本。大理石天板は中性洗剤を薄めた溶液で拭き取り、酸性の液体(レモン、ワイン、酢等)のこぼれには特に注意が必要である。
エナメル塗装ベースは柔らかく湿らせた布での拭き取りが基本。研磨剤や強い溶剤の使用は避ける。4つの支持体のねじ部は定期的に確認し、緩みがあれば締め直すことで天板の安定性を維持できる。
修理・パーツ対応
カッシーナは正規販売店を通じた修理・パーツの相談に応じている。ガラス天板の破損時は同仕様品への交換、エナメル塗装の補修、支持体のパーツ交換などが想定される。固有の製造番号による製品追跡が可能であり、長期的なアフターサービスの基盤となっている。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
公式サイトと正規ディーラー
カッシーナ公式サイト(cassina.com)にて全バリエーションの仕様確認が可能で、2D/3Dドローイングやテクニカルシートもダウンロードできる。海外正規ディーラーとしては、Luminaire(米国)、twentytwentyone(英国)、Hive Modern(米国)、AmbienteDirect(ドイツ)などがある。LC6は天板素材とベースカラーの組み合わせにより価格が大きく変動するため、正規ディーラーへの見積もり依頼が推奨される。
日本国内での購入
日本国内ではカッシーナ・イクスシー(Cassina ixc.)の直営店および正規取扱店で購入可能である。直営ショールームでは実物確認と素材サンプルの閲覧ができる。イ・マエストリのコレクションは受注生産品が中心であり、納期・価格についてはショールームでの直接相談を推奨する。
ヴィンテージ市場
カッシーナによる長年の製造の結果、1970年代から2000年代に製造されたヴィンテージ品が1stDibs等のプラットフォームで流通している。購入にあたってはカッシーナの刻印(ブランド名、モデル名、製造番号)の確認が重要である。ガラス天板の状態(欠け、ひび割れ)、エナメル塗装の摩耗、支持体の機能も確認されたい。
購入時チェックリスト
- 天板サイズの確認(ガラス・大理石:225×85cm=6〜8名 / 木製:170×75cm=4〜6名。天板素材によりサイズが決まる点に注意。設置空間の実測と椅子配置スペースの確認)
- 天板素材の選択(ガラス:構造の露出と空間の透明性 / 木製:温かみと日常使用の実用性 / 大理石:重厚感と一点ごとに異なる紋様。メンテナンス頻度も考慮)
- ベースカラーの選択(6色エナメル:ブラック、ライトブルー、グレー、グリーン、マッド、アイボリー。LCコレクション他作品との統一、空間の色彩計画に応じて選定)
- 大理石天板を選ぶ場合のベース制限確認(カラーラ=ブラック+ホワイトベースのみ / マルキーナ=ブラックベースのみ)
- チェアとの組み合わせ(LCコレクション内、または他のモダニズムチェアとのミックス。高さ調整機能を活かした組み合わせが可能)
- 搬入経路の確認(225×85cmの天板は搬入経路の実測が必須。設置サービスの利用を検討)
- 納期の確認(受注生産品のため数週間から数ヶ月。仕上げ・時期により変動)
- 正規品の確認(カッシーナ正規販売店からの購入。固有の製造番号刻印の確認)
- 見積もりの取得(天板素材とベースカラーの組み合わせにより価格が大きく変動。正規ディーラーへの事前見積もり依頼を推奨)
コーディネート事例
サロン・ドートンヌの再現
クリアガラス天板×ブラックエナメルベースのLC6を空間の中心に据え、LC7スイヴル・チェアをブラックレザーで6脚揃える。壁面にはLC2グラン・コンフォール・アームチェアを2脚、コーナーにはLC4シェーズロングを配する。すべてがカッシーナのLCコレクションで構成されたこの空間は、1929年サロン・ドートンヌで発表された「住居設備」の展示に近い構成となる。ガラス天板を通して見えるベースの構造が、食卓の中心に据わる。
大理石天板を主役に据える
ホワイト・カラーラ大理石天板×ブラック+ホワイトエナメルベースのLC6を、天井の高いダイニングルームに配置する。天然大理石の重量感とスチールパイプの工業的な精密さが対比し、ベースと天板を切り離すというLC6の構成が最も明瞭に読める組み合わせとなる。チェアにはマリオ・ベリーニのCab(カッシーナ)をブラックレザーで合わせ、照明にはフロスのアルコ・フロアランプ(アキッレ・カスティリオーニ)を配する。
ポリクロミーのダイニング
テクスチャードガラス天板×ライトブルーエナメルベースのLC6を、白い壁面の空間に配置する。半透明のガラス面がライトブルーのベースを柔らかく透かし、コルビュジエの建築的多色彩(ポリクロミー)を食卓に持ち込む。チェアはLC1スリング・チェアをナチュラルレザーで4脚合わせる。壁面には抽象絵画やモノクロームの版画を掛け、色数を抑えることでベースの青が生きる。
よくある質問
- 正規品の価格はどのくらいですか?
- 天板素材とベースカラーの組み合わせにより価格が大きく変動します。ガラス天板が最も手頃で、木製、大理石の順に高額となります。正規ディーラーへ見積もりをご依頼ください。
- どこで購入できますか?
- 日本国内ではカッシーナ・イクスシーの直営店および正規取扱店で購入できます。海外ではLuminaire(米国)、twentytwentyone(英国)、AmbienteDirect(ドイツ)等の正規ディーラーが取り扱っています。仕様の確認はカッシーナ公式サイトでも可能です。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- 国内のカッシーナ・イクスシー直営ショールームで実物を確認できます。ただしLC6は受注生産品のため常時展示されているとは限りません。来店前に展示状況をお問い合わせください。
- 納期はどのくらいかかりますか?
- 受注生産品のため、数週間から数ヶ月を要します。仕上げの組み合わせや時期により変動しますので、正規販売店にて正確な納期をご確認ください。
- 高さ調整はどのように行いますか?
- 天板とベースの間にある4つの支持体(スチールねじ式シャンク)を回転させることで、最大50mm程度の高さ調整ができます。おおむね69〜74cmの範囲で、チェアの座面高や床面の状態に応じて微調整が可能です。
- 大理石天板の注意点は?
- 天然石のため、酸性の液体(レモン汁、ワイン、酢など)はシミの原因となります。こぼした場合は速やかに拭き取り、清掃は中性洗剤を薄めた溶液で行ってください。またベースカラーとの組み合わせに制限があります(カラーラはブラック+ホワイトベースのみ、マルキーナはブラックベースのみ)。
- LC6とLC12の違いは?
- LC6はコルビュジエ、ジャンヌレ、ペリアンの三者によるデザイン(1928年)で、航空機に着想したベースの上に天板を浮かせる構成をとり、大型のダイニングに向きます。ベースは6色のエナメル塗装から選べ、天板はガラス・木材・大理石から選択できます。LC12はコルビュジエとジャンヌレによるデザインで、よりコンパクトなプロポーションを持ち、デスク兼用に適します。
- 他に検討すべきル・コルビュジエの名作は?
- 同じカッシーナのイ・マエストリより、LC2 グラン・コンフォール、LC4 シェーズロング、LC7スイヴル・チェア、LC12 ラ・ロッシュ テーブルなどが挙げられます。LC6と組み合わせることで、LCコレクションによる空間構成が可能となります。