New Order:構成を組み替えられるモジュラー収納システム

New Orderは、ドイツの工業デザイナー、シュテファン・ディーツ(Stefan Diez)がデンマークの家具メーカーHAYと協働し、2014年に発表したモジュラー式のシェルフ・テーブルシステムである。シンプルなオープングリッド構造を基本とし、使い手のニーズに合わせて構成を自由に組み替えられる点を特徴とする。

このページでは、New Orderの構造と素材、組み立て方式、2018年に拡張されたNew Order 2.0、そして住宅から商業空間までの使い方を整理する。

デザインの考え方

New Orderは、倉庫の収納棚のようにアルミニウム製の棚板を横へ、上へ、奥へと積み重ねていく発想から出発している。押出成形したアルミニウムプロファイルを、鋳造したペグ(差し込みピン)で連結する構造で、組み立て・組み替え・拡張を少ない手間で行える。

当初はグラフィカルで簡素な骨格に見えるが、トレイ、パネル、引き出し、ドア、テーブルトップといったコンポーネントを加えることで、収納から空間を仕切る要素まで役割を広げられる。ディーツはHAYのロルフ・ヘイ、メッテ・ヘイと協働し、構成の多様さと価格のバランスを保ちながら量産可能な工業製品としてまとめた。

構造と組み立て

フレームにアルミニウムを用いることで、最大2メートル幅の棚板でも撓みを抑え、書籍などの重量物を安定して支えられる。これは木製シェルフでは難しい長さで、空間に開放感と視覚的な軽さをもたらす。

組み立ては、基本的にアレンキー1本で完結する。プロファイルに備わるセットスクリューで棚・トレイを固定して構造を安定させる仕組みで、専門的な工具や技術を必要としない。ヒンジは薄く設計され、ドアやパネルは工具を使わずに着脱できる。壁付け時にもシステムを動かさずに前後どちらの面にもドアやパネルを取り付けられ、フリースタンディング配置でも同様に対応する。

素材とカラー

フレームはパウダーコート仕上げのアルミニウムで、展開色は時期により異なる(ライトグレーやチャコールなど)。木製のトレイ・シェルフにはライトグレーにステインしたアッシュ材が用いられ、金属の産業的な質感と木の温かみを対比させる。パネル、引き出し、スライディングドアには、突板仕上げのMDFまたはパウダーコートした鋼板が使われ、用途に応じて選択できる。

New Order 2.0:ワークスペースへの拡張

2018年、ディーツとHAYはNew Order 2.0を発表し、システムを大きく拡張した。同年のミラノデザインウィークの展示では、この拡張版が会場の構造体そのものとして使われた。New Order 2.0では、テーブル、パネル、引き出し、ドア、ワークスペース管理用のコンポーネントが加わり、初代と同様にアレンキー1本で設置できる構造を保っている。

この拡張は、HAYとコワーキングスペース運営企業WeWorkとの協働から生まれた。WeWorkの利用実態やメンバーの声をもとに、共有ワークスペースのニーズに応える柔軟なソリューションが開発された。吸音性のファブリックパーティション、ケーブルマネジメント、キャスター付きトローリーなどを組み合わせ、書類・配線・作業面を整理する仕組みとして機能する。

空間への取り入れ方

New Orderは、住宅のリビングやキッチン、ホームオフィスから、店舗、展示会場、オフィスまで幅広い用途に対応する。壁面設置型としても、部屋の中央に置くフリースタンディング型としても使え、オープンシェルフと扉付き収納を組み合わせることで、見通しのよさと収納力のバランスを使い手が決められる。

モジュールの追加や既存要素の入れ替えによって、家族構成や働き方の変化に合わせて構成を組み替えられる点も特徴である。色の異なるセクションを組み合わせて新しい構造をつくることもでき、必要に応じて段階的に拡張していける。

基本情報

デザイナー シュテファン・ディーツ(Stefan Diez)
ブランド HAY
発表年 2014年(New Order 2.0は2018年)
分類 シェルフ/テーブル/収納システム(モジュラー)
主要素材 パウダーコート仕上げアルミニウム、突板仕上げMDF、アッシュ材、スチール
カラー パウダーコート仕上げ(展開色は時期により異なる)
最大棚幅 約200cm
組み立て アレンキー1本で組み立て可能(ドア・パネルは工具不要で着脱)
主な用途 住宅(リビング、キッチン、ホームオフィス)、店舗、オフィス、展示空間