606ユニバーサルシェルビングシステムは、1960年にディーター・ラムスがVitsœのためにデザインした革命的なモジュラーシェルフシステムである。当時28歳であったラムスが生み出したこのシステムは、壁面取り付け式トラックベースの収納システムとして世界初のものであり、工具を使わずに再構成可能な柔軟性と、世代を超えて使用できる耐久性を兼ね備えた画期的なデザインとして、現代に至るまで高い評価を受け続けている。

アルミニウム製のE字型トラックに、棚板、キャビネット、デスクモジュールなどを自在に組み合わせることができるこのシステムは、使用者の生活の変化に応じて進化し続けることを前提として設計されている。発売から65年以上が経過した現在もなお、基本設計を変えることなくVitsœによって製造され続けており、ニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめとする世界の主要デザイン美術館の永久コレクションに収蔵されるなど、20世紀を代表するデザインの傑作として広く認知されている。

デザインの背景と誕生

606の構想は、意外にもデザインスタジオではなく、1950年代半ばのBraun社のショールーム内で生まれた。当時、若手デザイナーとしてディスプレイ空間の再考に取り組んでいたラムスは、従来の家具とは異なる、軽量かつモジュラー式の壁面システムというアイデアを着想した。この初期のスケッチは、数年後、オットー・ツァップフとの協働により、新設されたVitsœ社において具体的なプロジェクトとして結実することとなる。

システムの核心は、壁面に直接取り付けられるE字型断面を持つ押出成形アルミニウム製の支柱である。棚板、キャビネット、各種モジュールは、ピンとウェッジによるシンプルな機構によってこのトラックに取り付けられ、高さを自由に調整できる仕組みとなっている。当初RZ 60という名称で発売されたこのシステムは、1970年に606へと改称された。

Vitsœ社は1959年、デンマークの家具商ニールス・ヴィッツゥとドイツの工業デザイナー、オットー・ツァップフによってフランクフルトに設立された。Braun社で既に活躍していたディーター・ラムスの家具デザインを製品化するという明確な目的のもと創業されたこの企業は、606ユニバーサルシェルビングシステムを最初の製品として世に送り出し、以後60年以上にわたってラムスのデザイン哲学を体現し続けている。

特徴とデザインコンセプト

モジュラーシステムの先駆性

606の最も革新的な特徴は、その徹底したモジュラー性にある。システムは陽極酸化処理されたアルミニウム製のE-トラックとピンを中心に構成され、棚板、キャビネット、テーブルは工具を使用せずに、切り込み付きピンを所定の位置にスライドさせるだけで取り付けることができる。狭幅(66.7cm)と広幅(91.2cm)の2種類のベイ幅が用意されており、これらを組み合わせることで、ほぼあらゆる空間に適応可能な構成を実現する。E-トラックには57cm、114cm、171cm、200cm、228cmといった複数の標準高が用意されている。

1980年までに、Vitsœのカタログには150以上の異なる構成が掲載されるに至った。基本的な棚板に加え、スライドドア付きキャビネット、デスクモジュール、テーブルモジュール、LPラック、Braunステレオシステムコンポーネント用ホルダーなど、多様な互換性のある要素がデザインされている。棚板は3つの異なる向きで取り付けることができ、直立、逆さ、または垂直に回転させて磁気式「ピンボード」として使用することも可能である。

適応性と柔軟性

606は、使用者の人生の変化とともに進化することを前提として設計されている。「小さく始め、必要に応じて追加し、引っ越し時には持ち運び、再構成し、次世代へ引き継ぐ」というコンセプトは、システムの本質的な価値を表現している。E-トラックは縦に連結できるほか、X-ポストに取り付けることで壁面の障害物を回避したり、床から天井まで圧縮固定する独立型システムを構築したりすることも可能である。

システムの控えめで適応性の高いデザインは、19世紀のタウンハウスから現代建築の傑作まで、あらゆる種類の空間において調和を保つ。住宅、オフィス、アーカイブ、小売店など、多様な環境に適応し、時代を超越した存在として機能し続けることが可能である。

素材と製造

システムに使用される素材は、耐久性と美的品質の両立を追求して選択されている。陽極酸化処理された押出成形アルミニウムが垂直支柱と構造プロファイルに、ダイキャストアルミニウムが特定の構造部品に、ポリエステル粉体塗装スチールが棚板とブラケットに、ラッカー塗装ファイバーボードパネルがキャビネットと扉に、そしてビーチ材仕上げが一部の棚板とキャビネットユニットに採用されている。

カラーオプションとしては、オフホワイト、ブラック、シルバー、ビーチ&オフホワイト、ビーチ&ブラック、ビーチ&シルバーの6色が用意されている。これらの素材と仕上げの選択は、機能性を損なうことなく、視覚的に中立でありながら高品質な存在感を実現している。

デザイン哲学との関連

606ユニバーサルシェルビングシステムは、ディーター・ラムスが1970年代後半に提唱した「グッドデザインの10原則」を体現する代表的な作品である。1970年代後半、ラムスは自身を取り巻く世界の状態に対して「形、色、騒音の不可解な混乱」として懸念を深めていた。その世界に対する重要な貢献者である自覚を持った彼は、「私のデザインはグッドデザインか?」という根本的な問いを自身に投げかけた。その答えが、10の原則として結晶化したのである。

606は、これらの原則の具現化として理解することができる。革新性においては、トラックベースの壁面取り付けシステムという新しいアプローチを提示した。有用性においては、収納という明確な機能を、装飾的要素を排除しながら最大限に実現している。美的品質においては、形式的過剰を避けながら、日常的に使用される製品としての洗練性を達成している。理解可能性においては、工具を必要とせず、直感的に操作できる構造を実現している。

控えめさにおいては、収納される物品に対して背景として機能し、使用者の自己表現のための余地を残している。誠実さにおいては、素材と構造が正直に表現され、実際以上の価値を持つように見せかけることがない。長寿命においては、65年以上にわたって基本設計を変えることなく製造され続け、1970年代に購入された部品が現在製造される部品と互換性を持つという驚異的な継続性を実現している。細部への徹底においては、棚の縁の曲線など、新しい金属折り曲げ技術が利用可能になった際に改良されたわずかな改善を除き、すべての要素が慎重に検討されている。

環境への配慮においては、「デザインは環境の保護と維持に貢献できるし、貢献しなければならない」というラムスの信念に基づき、製品のライフサイクル全体を通じて資源を保護し、物理的・視覚的汚染を最小限に抑えることを目指している。そして最後に、「より少なく、しかしより良く」という原則においては、本質的な側面に集中し、非本質的な要素で製品に負担をかけないという、ラムスのデザイン哲学の核心を完璧に体現している。

エピソードと開発の軌跡

606の開発において興味深いエピソードの一つは、ラムスがBraun社の上司エルヴィン・ブラウンにVitsœのための家具デザインを申し出た際の逸話である。1959年、ラムスがこの提案を行った際、ブラウンの返答は「はい。それは我々のラジオの市場拡大に役立つだろう」というものであった。この寛容な姿勢が、その後の長期にわたる協働関係の基礎を築いた。

1976年、ニューヨークでのVitsœにおける自身の仕事について講演を行った際、ラムスは自らのデザイン哲学について核心的な発言を行っている。「グッドデザインを達成しようとするデザイナーは、趣味や美学に従って製品に土壇場の衣装を着せる芸術家として自身を見なすべきではない。デザイナーは創造的エンジニア、すなわちゲシュタルトエンジニアでなければならない。彼らの仕事は大部分が合理的であり、美的決定は製品の目的に対する理解によって正当化される」。この発言は、606のデザインアプローチを明確に示している。

ラムス自身は、2007年のインタビューにおいて606について次のように語っている。「流行の対象は長寿命を持つことができない。我々はもはやこの使い捨ての考え方を許容できない。グッドデザインには本来的な長寿命性が組み込まれていなければならない。私は自分の家具デザインのほぼすべてとともに、それらが最初に生産されて以来ずっと生活してきたが、すべてが良好に経年変化している。606シェルビングシステムについて言えば、新しい金属折り曲げ技術が利用可能になった際に改良した棚の縁の曲線のような小さな詳細を除き、デザインは40年以上にわたって基本的に変わっていない。そしてまだ生産されている。私の家具の長寿命性の秘密は、そのシンプルさと抑制にあると信じている。家具は支配的であってはならず、静かで、快適で、理解しやすく、耐久性があるべきだ」。

評価と影響

606ユニバーサルシェルビングシステムは、発売以来、デザイン界において一貫して高い評価を受け続けている。多くの尊敬される評論家たちは、この控えめなシェルビングシステムをデザインの古典として位置づけている。MoMAをはじめとする世界の主要デザイン美術館が永久コレクションとして収蔵していることは、このシステムが機能的対象であると同時に文化的対象としての地位を確立していることを示している。

606の影響は、数十年にわたるモジュラー家具やフラットパック家具の発展において追跡することができる。しかしながら、このシステムは例外的な存在であり続けている。一貫性を保ち、流行に左右されることなく、大量市場向けに簡略化されることもなく、Vitsœが恣意的な変更や商業的適応を避けるという決定によって、その完全性を維持してきたのである。

Vitsœの興味深い顧客統計は、このシステムの価値を物語っている。常に、受注の半数以上が既存顧客からのものであり、システムへの追加や拡張のための注文である。最も頻繁に寄せられる新規顧客からのコメントは「もっと早くこれをすれば良かった」というものである。中古市場において606のコンポーネントが新品と同等か、それ以上の価格で取引されているという事実も、その永続的な価値を証明している。

ディーター・ラムスの影響力は、606を通じて現代のデザインにも継続的に作用している。Apple社のジョナサン・アイブをはじめとする多くの現代デザイナーが、ラムスの原則に触発されたことを公言している。2010年のインタビューにおいて、ラムスはアイブがiPhoneと共に「素敵な手紙」を送り、自身の仕事がインスピレーションになったことへの感謝を表明したことを明かしている。アイブは2011年のラムスのモノグラフ『Dieter Rams: As Little Design as Possible』の序文も執筆している。

収蔵・展示

606ユニバーサルシェルビングシステムは、世界の主要なデザイン美術館において永久コレクションとして収蔵されている。これらの機関におけるシステムの存在は、機能的製品としてだけでなく、20世紀デザイン史における重要な文化的対象としての地位を確立している。

ニューヨーク近代美術館(MoMA)には、陽極酸化処理された押出成形アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ポリエステル粉体塗装スチール、ラッカー塗装ファイバーボード、スチールで構成されたシステムが、製造者からの寄贈として収蔵されている。スミソニアン協会のクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館もまた、Vitsœからの寄贈により、このシステムをコレクションに加えている。

ヨーロッパにおいても、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、ドイツ・ヴァイル・アム・ラインのヴィトラ・デザイン博物館、パリのポンピドゥー・センター、ベルリンのヴェルクブント・アーカイブ、アムステルダムのステデライク美術館など、権威あるデザイン機関が606を収蔵している。特筆すべきは、ロンドンのデザイン博物館では、このシステムが展示されているだけでなく、ギャラリー内で実際に機能的な役割を果たしていることである。

2016年には、ヴィトラ・デザイン博物館において「Dieter Rams. Modular World」と題された展覧会が開催され、ラムスのグリッドとシェルビングへの「執着」に焦点が当てられた。2021年には、フランクフルトの応用美術館において約30点の作品、100点の写真、情報パネルを含む展覧会が開催され、2022年には同館がラムスの90歳の誕生日を記念して「Dieter Rams. A Style Room」と題された常設展示を更新・拡張している。

基本情報

デザイナー ディーター・ラムス
ブランド Vitsœ(ヴィッツゥ)
デザイン年 1960年(当初の名称はRZ 60、1970年に606へ改称)
分類 モジュラーシェルフシステム / 壁面収納システム
主要素材 陽極酸化処理押出成形アルミニウム、ダイキャストアルミニウム、ポリエステル粉体塗装スチール、ラッカー塗装ファイバーボード、ビーチ材
カラー展開 オフホワイト、ブラック、シルバー、ビーチ&オフホワイト、ビーチ&ブラック、ビーチ&シルバー
寸法 可変式(ベイ幅:66.7cm / 91.2cm、E-トラック高:57cm / 114cm / 171cm / 200cm / 228cm)
生産状況 1960年より現在まで継続生産中
主要収蔵先 ニューヨーク近代美術館(MoMA)、クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、ヴィトラ・デザイン博物館、ポンピドゥー・センター、他