概要
カーリ ウォールシェルフは、ロナン&エルワン・ブルレックとアルテックの最初の協働から生まれた壁面収納である。2015年のストックホルム家具見本市で発表されたカーリコレクションの一つで、無垢オーク材の壁面ブラケットと、曲げ加工したスチールバンドを組み合わせる。カーリ(Kaari)はフィンランド語でアーチを意味し、スチールバンドが描く弧に由来する。
特徴・コンセプト
三角形で支える
垂直方向の荷重を無垢オーク材のブラケットが受け、曲げたスチールバンドが斜めから支える。垂直材と斜材が三角形をつくることで、部材を細く保ったまま棚板を支持できる。壁付けの棚は、荷重が壁との接点に集まりやすい。斜材を入れて力を分散させることで、細いブラケットでも成立する。
この仕組みは、もともとカーリのテーブル脚として考案されたものである。アルヴァ・アアルトのL-レッグがアルテックの家具を特徴づけたように、同じ原理を天板にも棚板にも使える汎用の構造として展開された。設計の過程で壁面設置にも応用できることが見いだされ、ウォールシェルフが生まれている。
素材の対比
壁面ブラケットには天然のオーク材を用い、保護用のクリアヴァーニッシュで仕上げる。曲げたスチールバンドには黒の粉体塗装が施され、木の質感と対をなす。棚板の表面は高光沢のメラミン仕上げで、縁にはABS樹脂を用いる。デスクを備える仕様では、作業面にリノリウムが採用される。
横と縦の構成
横長に棚板を並べた構成と、縦方向に棚板を重ねた構成が用意される。前者は壁面を広く使う場合に、後者は限られた幅の壁を縦に使う場合に向く。棚板の間隔はおよそ35cmで、書籍や小物が収まる。デスクを一体化した仕様もあり、収納と作業面を組み合わせられる。いずれも壁面に固定して使う。
エピソード
カーリコレクションは、テーブル、デスク、ウォールコンソール、ウォールシェルフなどで構成される。アルテックにとってブルレック兄弟との協働は初めてであり、アアルトのL-レッグに続く構造の原理を新たに導入する試みでもあった。同じ兄弟が手がけたベジタルチェアやパリサードチェアと同様、構造そのものが形を決めている。
評価と影響
アルテックの伝統的な素材であるオーク材と、スチールという工業材を組み合わせた点が特徴として挙げられる。シリーズ全体の構成については カーリ コレクション にまとめている。
二人の設計思想や経歴について詳しくはロナン・ブルレック、エルワン・ブルレックの各プロフィールページをご覧ください。
アルテックの歴史や他の製品について詳しくはアルテックブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | カーリ ウォールシェルフ / Kaari Wall Shelf |
|---|---|
| デザイナー | ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan & Erwan Bouroullec) |
| ブランド | アルテック(Artek) |
| 発表年 | 2015年(ストックホルム家具見本市) |
| デザインの成立国 | フィンランド |
| 分類 | ウォールシェルフ(壁面収納) |
| 主要素材 | ブラケット:無垢オーク材(クリアヴァーニッシュ)/支持材:スチール(黒の粉体塗装)/棚板:メラミン(高光沢)/縁材:ABS樹脂 |
| 構造 | 垂直のブラケットと湾曲したスチールバンドが三角形をつくる |
| 展開 | 横長構成、縦構成、デスク一体型 |
| 設置 | 壁面固定(組み立てが必要) |
Reference
- Kaari Collection | Artek
- https://www.artek.fi/en/products/collections/kaari