概要

カーリ コレクションは、ロナン&エルワン・ブルレックがフィンランドのアルテック社のために設計した家具の一群である。2015年のストックホルム家具見本市で発表され、同年のミラノ・サローネ、翌2016年のケルン国際家具見本市でも紹介された。両者にとって最初の協働にあたる。

「カーリ」はフィンランド語でアーチを意味する。無垢のオーク材が垂直方向の荷重を受け、曲げた鋼の帯が斜め方向の支持を担うという一つの構成原理を、テーブルからシェルフまで全点で共有する。

共通する設計原理

構成は二つの部材で完結する。無垢材の柱が天板や棚板の重さを直接受け止め、そこに曲げた鋼の帯が斜めに架かって水平方向の力を受ける。帯は幅が狭く厚みも薄いため、視界を遮らずに構造が成立する。

この組み合わせは、天板の形と大きさを変えても成り立つ。小さな円テーブルには柱状のベース、大きな長方形テーブルには左右対称の翼形の脚、デスクには片側だけに翼形の支持を置いた脚が用いられる。同じ原理は壁面にも適用され、ブラケットとシェルフの構成へ展開される。

素材は、ブラケットや脚に保護塗装を施した無垢のオーク材、帯には黒く粉体塗装した平鋼が用いられる。棚板には光沢のあるメラミン、デスクの天板にはリノリウムが使われる。

成立と展開の経緯

ブルレック兄弟は、この設計の出発点をテーブルという形式に置いた。椅子には脚と背と肘があり、表情を持たせる余地が多いのに対し、テーブルは水平の板を一定の高さに置くという機能に還元される。設計史に残る椅子は多いが、テーブルは少ないというのが両者の見立てであり、この形式そのものを検討の対象とした。

アルテック社との協働にあたっては、同社の歴史的な製品を直接参照しないことが方針とされた。ただし、一つの構成要素を多様な製品に展開するという考え方は、アルヴァ・アアルトがL字脚を椅子・スツール・テーブル・収納に用いた方法と重なる。素材の選択に加えて、この体系の組み立て方においてアルテックの系譜に連なりつつ、外観としては独自のものになっている。

コレクションは、二つのサイズの長方形テーブルと円テーブル、デスク、ウォールコンソール、小さな円形のシェルフ、大型の壁面シェルフで構成される。

メンバー一覧

発表年 区分 製品名 位置づけ
2015年 デスク [interior slug="kaari-desk-artek-ronan-erwan-bouroullec"] 片側に翼形の支持を置いた脚を持つデスク。天板はリノリウム仕上げ。
2015年 収納家具 [interior slug="kaari-wall-shelf-artek-ronan-erwan-bouroullec"] 同じ原理を壁面に適用したシェルフ。オークのブラケットと鋼の帯で構成する。

このほか、長方形および円形のテーブルが各2サイズ、ウォールコンソール、小型の円形シェルフなどが展開されている。

評価と影響

一つの構成要素から製品群を組み立てるという方法は、アルテックが創業期から用いてきたものである。カーリはその方法を継承しながら、木と鋼という異なる材の役割を分担させることで、外観としては従来の同社製品とは異なる性格を得ている。

床置きの家具と壁付けの家具が同じ原理で成立するため、同一空間で組み合わせたときの整合性が高い。一方で、壁面のシェルフは下地の状況によって設置可否が左右されるため、導入時には壁の構造を確認する必要がある。

基本情報

シリーズ名 カーリ コレクション(Kaari Collection)
種別 共通の設計言語による製品群
デザイナー ロナン&エルワン・ブルレック
ブランド アルテック
発表年 2015年
名称の由来 フィンランド語で「アーチ」
共通構造 無垢オーク材が垂直荷重を受け、曲げた鋼の帯が斜め方向を支持する

Reference

Kaari Collection - Artek
https://www.artek.fi/en/collections/kaari-collection
Bouroullec brothers use bent steel to support furniture for Artek - Dezeen
https://www.dezeen.com/2015/02/03/ronan-erwan-bouroullec-kaari-tables-shelving-bent-steel-wood-artek/

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