概要

グラウンドピースは、アントニオ・チッテリオが2001年にフレックスフォルムのために設計したモジュール式のソファである。座面を低く、奥行きを深くとり、背もたれと肘掛けを独立した部材として組み替える。肘掛けや背もたれの一部は牛革を張った金属のユニットに置き換えることができ、そのまま本や器を置く面になる。発表以来フレックスフォルムの主力製品として生産が続き、同じ名前でテーブルやベッドにも展開されている。

特徴・コンセプト

低く、深い座

ソファの上で起きることは、腰かけて人と向き合うことだけではなくなっていた。横になってテレビを見る、脚を上げて本を読む、膝にパソコンを載せて仕事をする、器を手に食事をする。フレックスフォルムはこうした行為の変化を出発点に、姿勢を正して腰かけるという前提そのものを外した。

座面を床に近づけ、奥行きを深くとると、背もたれに背中を預けきらない座り方が成り立つ。腰を前に出す、脚を座面に上げる、体を斜めに倒すといった姿勢を、どれも同じ座面が受け止める。座のユニットは奥行きの異なる2種類(97cmと122cm)が用意され、深く沈む場所と普通に腰かける場所を一つの構成のなかに混在させられる。

肘掛けと背もたれを棚に置き換える

肘掛けと背もたれの一部は、牛革を張った金属のユニットに差し替えられる。上面は平らな置き場になり、側面には物を納める開口がある。ソファの脇にサイドテーブルを寄せるかわりに、座る位置ごとに手の届く面をつくるという考え方で、飲み物や本、パソコンの置き場が座面と一体になる。

張り地で覆う肘掛けは2種類あり、金属の芯にモールド成形したポリウレタンフォームをかぶせたものと、無垢材の芯にウレタンフォームを巻いたものが選べる。これらは座面と同じ柔らかさで連続する。革を張った金属のコンソールだけが硬い面として立ち上がり、置き場としての用を担う。

羽毛と革の対比

座クッションは、殺菌処理したグースダウン(アッソピウマのゴールドラベル認証)に型崩れしにくい芯材を入れたものを基本とし、ポリウレタンフォームとダクロンによる仕様、芯材に高反発材を用いたプレミアム仕様も選べる。羽毛は座るたびに形を変えるため、輪郭は使うほどに緩む。

その緩みに対して、革を張ったユニットは輪郭を保つ。チッテリオは、美術から得た比例と非対称を住まいの道具に置き換えることを可能にしたのは革だったと述べている。崩れる面と直線を保つ面を同じ製品のなかで隣り合わせることが、この製品の構成を決めている。

構造と張り替え

座と背の構造体は金属で、モールド成形したポリウレタンフォームを介して保護布で覆う。詰め物の肘掛けも革を張った収納ユニットも金属を芯としているため、同じ構造のなかで互いに差し替えられる。オットマンの構造体だけは無垢材を用いる。脚はエポキシ樹脂の粉体塗装を施した金属の丸パイプで、床には樹脂のパッドが当たる。

張り地はファブリック・レザーとも取り外せる。座面の高さが低く、クッションの体積が大きいこの構成では、汚れも型崩れもクッション側に集まる。カバーを外して洗える構造は、そのまま使い続けるための条件にあたる。

エピソード

名称は、アメリカの美術家ドナルド・ジャッドの彫刻に由来する。チッテリオはこの名前を美術の世界とのつながりから採ったと説明し、空間の中央に置かれた柔らかな面をつくったのだと振り返っている。床に近い水平面を室内に据えるという発想が、家具の側からではなく彫刻の側から来ていたことになる。

設計当時、チッテリオはこの案が商品として成立するか確信を持てなかったという。単純で、それまでのソファの形から外れており、ソファと呼べるかどうかも判然としない。それでもクッションと美術を出会わせる試み自体に関心があったため製作に進み、発表から数か月で反応が返ってきたと語っている。

2001年の広告写真は、建築写真家のガブリエーレ・バジリコが、ジオ・ポンティの設計によるミラノのピレリ・タワーで撮影した。以後もマリア・ヴィットリア・バックハウス、ピエルパオロ・フェラーリ、ロベルト・リーガーが撮影を手がけている。

評価と影響

発表から四半世紀を経て生産が続いており、一般的にフレックスフォルムを代表する製品と評価されている。2021年には発表20年、2026年には25年にあたる企画が組まれた。

同じ名前はソファ以外にも広がった。牛革を張った金属のコーヒーテーブルとサイドテーブルは、ソファと同じ金属のベースの上に載り、収納の開口を備える。ヘッドボードを備えたベッドとナイトスタンド、寸法を抑えたグラウンドピース スリムも加わり、居間から寝室までを同じ構成で揃えられるようになっている。

基本情報

名称 Groundpiece(グラウンドピース)
デザイナー アントニオ・チッテリオ
ブランド フレックスフォルム
発表年 2001年
デザインの成立国 イタリア
分類 ソファ(モジュール式)
主要素材 構造体:金属+ポリウレタンフォーム(オットマンは無垢材)/座クッション:グースダウン+芯材、またはポリウレタンフォーム+ダクロン/肘掛け・棚ユニット:金属+牛革/脚:粉体塗装の金属
サイズ 座ユニットの奥行き97cmまたは122cm(構成により全体寸法は異なる)
張り地 ファブリックまたはレザー(取り外し可能)
同名の展開 コーヒーテーブル/サイドテーブル、ベッド、ナイトスタンド、グラウンドピース スリム

Reference

GROUNDPIECE Sectional sofas | Flexform
https://www.flexform.it/en/products/indoor/all-products/sofas/sectional-sofas/groundpiece
GROUNDPIECE Coffee and Side tables | Flexform
https://www.flexform.it/en/products/indoor/all-products/coffee-and-side-tables/groundpiece
GROUNDPIECE Beds/Bed accessories | Flexform
https://www.flexform.it/en/products/indoor/all-products/beds-bed-accessories/groundpiece
Discover the Antonio Citterio-Designed Flexform Collection | Galerie
https://galeriemagazine.com/the-antonio-citterio-designed-flexform-collection/
Flexform celebrates 20th anniversary of Groundpiece sofa by Antonio Citterio | Dezeen
https://www.dezeen.com/2021/04/01/groundpiece-sofa-antonio-citterio-flexform-20th-anniversary/
Antonio Citterio's Groundpiece sofa for Flexform | Wallpaper*
https://www.wallpaper.com/design/antonio-citterio-groundpiece-sofa-flexform