概要

チューブチェアは、ジョエ・コロンボが1969年に発表した座具である。直径の異なる4本の中空のチューブを金属のフックで連結し、アームチェアにもシェーズロングにも構成できる。オリジナルはフレックスフォームが製造し、2016年にカッペリーニが復刻した。

特徴・コンセプト

脚・座面・背もたれを分けない

通常の椅子は、脚、座面、背もたれという役割の異なる部材で構成される。チューブチェアは、これらを径の異なる4本のチューブに置き換えた。どのチューブも同じ形をしているため、順序と角度を変えるだけで、座面にも背もたれにもなる。フックの留め方で、座面の高さと背の傾きが決まる。

入れ子に収まる

4本のチューブは直径が異なるため、使わないときは小さいものから順に大きいものの中へ収められる。占有する容積は最大の1本分にまで縮む。輸送時にも、この性質がそのまま効く。

素材と製法

各チューブはポリウレタンフォームで内張りされ、伸縮する生地またはレザーで覆われる。現行版のチューブは回転成形によりポリプロピレンの中空体として一体成形される(オリジナルはPVC製)。継ぎ目のない構造体が得られ、軽量でありながら強度を持つ。

エピソード

チューブチェアは、コロンボが1969年のヴィジオナ展で提示した「未来のリビングルーム」の要素として発表された。都市生活の流動化と住空間の縮小という当時の状況に対し、単一の用途に固定されない家具という方向が示されている。

生産が途絶えていた本作について、2016年、カッペリーニのクリエイティブ・ディレクターであるジュリオ・カッペリーニが復刻を決めた。

評価と影響

同じ形の部材を並べ替えて用途を変えるという方式は、以後のモジュール式の家具に引き継がれた。同時期のイタリアでは、UP5_6 アームチェア&オットマンセルペントーネなど、椅子の構成そのものを組み替える試みが並行して行われていた。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、PVC・ポリウレタンフォーム・生地による1969〜70年の「Tube Chair of Nesting and Combinable Elements」を収蔵番号470.1972で登録している(製造元からの寄贈。寸法64.1×61×111.8cm、入れ子にした状態では幅61cm・直径49.2cm)。メトロポリタン美術館も1969〜70年のチューブチェアを収蔵番号1987.98.1a-dで登録している。

基本情報

名称 チューブチェア / Tube Chair
デザイナー ジョエ・コロンボ(Joe Colombo)
ブランド カッペリーニ(Cappellini/2016年より復刻)/フレックスフォーム(オリジナル)
発表年 1969年(ヴィジオナ展)
デザインの成立国 イタリア
分類 ラウンジチェア(モジュール式)
構造 直径の異なる4本のチューブを金属フックで連結。入れ子に収納可
主要素材 ポリプロピレン(現行版)/PVC(オリジナル)、ポリウレタンフォーム、金属フック
張地 伸縮する生地またはレザー
製法 回転成形(ロテーショナルモールディング)
収蔵 ニューヨーク近代美術館(470.1972)、メトロポリタン美術館(1987.98.1a-d)

Reference

Tube Chair of Nesting and Combinable Elements | MoMA
https://www.moma.org/collection/works/1413
"Tube" Chair | The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/1987.98.1